(テレビの前に、手作りのおひな様が並んでいます)
「で・ん・き・や・さ~~ん・で・ご・ざ・い・ま・す・か~、・・・・・〇〇のKで・ご・ざ・い・ま~す。・・・・・・ベ・ッ・ト・の・と・こ・ろ・の・ち~さ・い・た・ま・が・き・れ・て・ま~す。・・・・・・と・り・か・え・に・き・て・い・た・だ・ま・せ・ん・で・しょ・う・か~」と、一人暮らしのおばあさんから電話です。 Kさんは、とてもご高齢なのですが昔からです敵(かな)いませんね。話す口調がなんとも云えぬ、上品っぽいことば使いでお話が、それに兎に角ゆっくりとした声で、一字一句をスローに喋る、電話を受けて聞いてるうちに次の文句が分かってしまう、実に奇妙なことですね。 、『こんにちわ~、電気屋ですよ。こんにちわ~』と、勝手口を開けて声張り上げKさん呼んでも、いっぺんには出てきませんね。 喋る口調も上品で、超スローな話と同じこと、動作も滅茶苦茶ユックリですね。 もういっぺん、『電気屋さんですよ~、来ましたよ~球替えに。聞こえますか~』と叫んでやっとです。ヌッと奥からユックリと、1オクターブ高い声出して「で・ん・き・や・さ~ん・き・て・い・た・だ・け・ま・し・た~。・・・・・あ・り・が・と・う~」、もう何と云うかかんと云うか、お上品な声出す幽霊なのです堪(たま)りませんね。 『ハイ、ナツメ球ですね、替えましたよ、これで夜安心して寝られます』と挨拶しながら、『他に何か診るものありませんか。なんでも云って下さいよ診ますから』と説明します。 「あ・り・が・と・う~、こ・れ・で・よ・る・ト・イ・レ・に・お・き・て・も・あ・ん・し・ん・で・す。・・・・・あ・り・が・と・う~」、「い・く・ら・お・し・は・ら・い・し・た・ら・よ・ろ・し・い・の」、 もうユックリ過ぎて、聞いてて先が読めてしまいます。 『ハイ、もう球代と出張料で300円貰っておきますわ』、『Kさん、ご主人が亡くなってから一人で大変ですね、ヘルパーさんですか食事の用意は?』と、説明しながら様子を聞くと、「エ~、な・ん・で・す・っ・て、・・・・・・デ・イ・サー・ビ・ス・に、か・よ・う・と、ど・よ・う・の・2・か・い・いっ・て・ま・す。・・・・・・そ・の・と・き・に・お・ひ・な・さ・ま・を・つ・くっ・た・の・よ」、 なんとも上品ぶったスローモーションな声を聞いていますと、ちょっぴり疲れて参ります。 『きれいにおひな様が作れたね、良かったですね、記念に一枚写真を撮ってあげますよ』とパチリと写して帰ります。 Kさんと喋っていますと、浮世離れの世界です。
《ヘルパーも 大変だろな お相手は》