

嬉(うれ)しさは 水道よりも 古いはず ポンプ直せと ばあちゃん言うとき
「このポンプな、この辺に水道つく前から有るんよ」、
『古そうですが、なんぼ何でもそんなことないでしょ』、
『国府に水道ついたの、もう60年も昔の昭和27年ですよ』と話します。
どうしても動かしてもらえんかと頼まれて、
伺ったTさんちのポンプは古いです。錆びちょろけのとても古い物でした。
『いつから使えなくなったの?』、
「ああ、もう何年前か知らんけれど、ほったらかしで使ってないの」、
「うちは水道がつくより先に、井戸があったところに汲み上げポンプを付けたんよ」、
『えっ、このポンプ最初から。それとも2台目、3台目なんですか?』、
「最初からだや~な。最初からこれ1台だけ」、
『この錆びちょろけのポンプ、ええ~~、水道つく前から有ったって。ウソでしょ、60年も経っとらんわね』、
『まあ、ばあちゃんがそう言うならそうで良いけど。こりゃ直らんで無理のようだけど』、
『ダメでもともと、分解して診てみましょ』と、いじくりまわしてなんとか動くようになりました。
『やかんに水用意して、回しながらどんどん水を入れていくよ。呼び水なんよ』と言いながら、大きなやかん2杯分差しますね。
入れても入れてもブクブクブクブク泡を吹いて、ガラガラモーターは回るだけ、少しも水が吹き上がりませんよ。
『ばあちゃん、どっか抜けてるわ。よう吸い上げんよ、このポンプ30年物かな』なんて話します。
ばあちゃんは「30年ちゃあうで、水道ついておらん時からポンプの方が先なんだ。何年か前は使ってたの。直らんかな~、あかんかな~」と声出しますよ。
3杯目のやかんの水を差し込んでいた時です。「ボゴボゴボゴ」と吹き上がってきます。
慌ててキャップを閉めて、そのまま運転続けます。
「直った~、出るで~、蛇口から水が出るがな~。
やっぱりアトムさんはエライわ。よう直しんさる、エライわ」と、ばあちゃん小躍り喜びますね。
錆びちょろけの、
ばあちゃんは60年経ってると大勘違いの、ポンプが不思議と動きます。