
楽(たの)しみは 25年使った 洗濯機 よう頑張ったと 手を合わすとき
「私(わた)しゃあ、2槽式洗濯機がよろしいですやあな」と言って、
Tさんちのばあちゃんは傷んでしまった洗濯機を愛おしそうに眺めます。
ご注文の2槽式洗濯機を配達します。
「息子の仕事着は色が落ちるの、白いもんと別々に洗わんならんし、
どうも全自動は使いにくいの、洗濯したような気がしないのよ」なんて言って、新しく据え付けた洗濯機を嬉しそうに見つめます。
持ち帰る古い洗濯機にリサイクル券を貼ります。
『電気屋さん、
こんなん券を貼られて洗濯機はどこに放られちゃうのですか?」、
『ばあちゃんが大事に使ってくれた洗濯機は、そこらに放ったりされませんよ。
リサイクルっていってね、分解する工場で丁寧に鉄やプラスチックに分けられるの。そして次のところで材料として再利用されるんよ』と話します。
「よう働いてくれた洗濯機、何年経ってますきゃあな」、
『ほれ、ここに91年と書いてあるでしょ。今は2016年だから25年も経っとるがな。ちょっと錆びとるけれど長いこと頑張ったね』と、25年もよ~く働いてくれたことを伝えます。
トラックの上に載せます。
『ありがとうばあちゃん。それじゃあ帰りますよ』、
走る車の上の洗濯機に向かって、ばあちゃんはそっと手を合わせます。