「「北朝鮮人権問題啓発週間」への要請について」
12月10日~16日までは「北朝鮮人権侵害問題」であり、この人権侵害問題には、ストックホルム合意に明記されている拉致問題、日本人妻問題、行方不明者問題が該当します。
私たち北朝鮮人権人道ネットワークは、この人権週間において先述の問題だけでなく、残留日本人問題と遺骨・墓地問題も併せて啓発すべきとの見地から、岸田首相のその旨を要請します。
加えて、国連人権理事会が“人道に対する罪”と断罪した北朝鮮人民に対する過酷な人権侵害についても、その改善を求めて「北朝鮮人権侵害問題」で啓発することを要請しました。下記にその要請文を掲げましたので、少し長いですがご一読ください。
令和5(2023)年12月10日
北朝鮮人権人道ネットワーク 代表 陶久敏郎
記
拉致問題対策本部長・内閣総理大臣 岸田文雄 殿
「北朝鮮人権問題啓発週間」への要請について
時下、貴職におかれましては益々御清栄のこととお喜び申し上げます。また、平素より貴職が日朝ストックホルム合意に基づき拉致問題をはじめとする北朝鮮における我が国の諸問題解決を目指し日夜御尽力いただいておりますことに深く敬意を表する次第であります。
さて、令和5(2023)年11月23日、北朝鮮が日本列島上空を通過する形で、弾道ミサイル技術を使用した「人工衛星」と称するミサイル発射を強行しました。度重なる弾道ミサイルの発射とその技術を利用した人工衛星の発射は、我が国及び国際社会の平和と安全を脅かすものであり、一歩間違えば大惨事を招きかねないものであることから断じて容認できません。加えて、これら一連のミサイル発射は、弾道ミサイル技術を使用したいかなる発射も行わないことを北朝鮮に義務付けるなどの国連安保理決議及び平成14年9月17日の日朝平壌宣言に明確に違反しており、この点についても我々は厳重に抗議し、強く非難するものです。そして、北朝鮮がこれらの違反を繰り返して弾道ミサイル発射及び開発することを止め、それらの費用を国民生活の改善に振り向けない限り、いかなる形での人道支援及び経済支援にも反対するものです。
加えて、ここ数年間、北朝鮮の人権状況は全く改善されておらず、北朝鮮国民は北朝鮮政権の権力維持手段として動員されています。そればかりか、北朝鮮における人権侵害から自由を求めようとする脱北民も本人の意思に反して北朝鮮に強制送還され拷問、かつ残忍で非人道的または屈辱的な待遇と処罰、その他深刻な人権侵害を受けています。その上、北朝鮮国内では移動の自由だけでなく思想の自由までが取り締まられており、住民尋問の過程で殴打、固定姿勢維持など多様な拷問、特に公開処刑も多数行われるなど、国連人権理事会が断罪した「人道に対する罪」は何ら改善されていません。
折しも、本年12月10日~16日までは「北朝鮮人権問題啓発週間」として、日本中で北朝鮮による人権侵害問題解決のための様々な取組みが予定されています。この取組みの根拠法令では、拉致問題だけでなく日本人配偶者問題も啓発すべき対象となっています。しかしながら、私たちは、現行政府の「ストックホルム合意に基づき全ての日本人の問題解決を目指す」との方針に則り、日本人妻問題、残留日本人問題、遺骨・墓地問題、行方不明者問題についても、拉致問題と同時に広く国民に周知することを政府に要請します。
合わせて、わが国が共同提案国となり国連総会で採択されている「北朝鮮人権状況決議」並びに国連人権理事会が断罪した「人道に対する罪」の解決のために、この「北朝鮮人権問題啓発週間」を活用し、国内世論及び国際世論に対し積極的に啓発していくことを政府に要請するものです。
2023(令和5)年12月10日
「北朝鮮人権人道ネットワーク」
【役 員】
代 表 陶久 敏郎 (救う会徳島代表)
副代表 加藤 博 (北朝鮮難民救援基金理事長)
理 事 佐伯 浩明 (在日帰国者の生命と人権を守る会代表)
事務局長 川添 友幸 (救う会神奈川代表)
監 事 松尾 和幸 (博多ブルーリボンの会会長)
会 計 賀上 文代 (特定失踪者・賀上大助氏の母)
【アドバイザー】(順不同)
須田 洋平(弁護士)、川島 高峰(明治大学准教授)、山田 文明(在日帰国者の生権を守る会名誉代表)、宮塚 寿美子 (国学院大学栃木短大非常勤講師)、井上 卓弥 (ジャーナリスト、「満州難民」著者)、宮塚 利雄(宮塚コリア研究所代表)、眞鍋 貞樹(拓殖大学教授)、安藤 哲夫(救う会宮城代表)