三笑会

三笑会は、平成30年6月1日~陶芸活動と陶芸教室、喫茶室、自家野菜販売、古美術・古物商経営を総合的に活動していきます。

「懸念あり」

2019-05-08 19:04:56 | 日記
「懸念あり」

 5月4日付けの日刊ゲンダイは、食い逃げされた日ロの二の舞か・・安倍首相「無条件で日朝会談」の皮算用、との記事を掲載して幾つかの懸念を示している。この件について、私の所感を述べたいと思う。
 拉致問題に限って言えば、我が国政府の方針は、平成26年5月の「「ストックホルム合意に」基づき、拉致問題をはじめとする日本人に関する全ての問題の解決に向け全力を尽くしていく」というものである。また、この拉致問題については、平成25年1月の「拉致問題の解決に向けた方針と具体的施策」において、「拉致問題の解決なくして北朝鮮との国交正常化はあり得ないとの方針を堅持し」と明言している。さらに言えば、政府・拉致問題対策本部発行の「北朝鮮による日本人拉致問題」と題する冊子には、「政府は、拉致問題の解決と引き換えに北朝鮮に対して支援を行うという考えは一切ありません。」と言い切っている。
 我が国がこれまで積み重ねてきた国家としての方針は軽々しいものではなく、拉致問題についてこれまで国民に対して説明してきた方針を唐突に反故にするのかと疑われるようなこの度の安倍首相の発言を、私は如何なものかと思う。仮に、金委員長との会談が実現し、金委員長から「拉致問題は解決済み」と直接言われたらどうするのか。また、「ストックホルム合意に基づく調査報告書はこのとおり、無条件で受け取ってもらいたい」と言われたらどうするのか。
 家族会や救う会は、ストックホルム合意に基づく連絡事務所の設置や報告書の受取りに反対しているし、先般訪米までして「双方の国に事件究明の為と称する連絡事務所の設置や調査委員会の立ち上げと言う「聞こえの良い隠蔽工作」には絶対反対する立場を私達は貫きます。」と訴えている。安倍首相の言う「無条件で日朝会談」は、拉致・核・ミサイルにおいて大成功を収めない限り多くの国民から支持と信頼を失うだろうし、北朝鮮の非核化で連携している国際社会からも支持と信頼を失うことは必定である。
 これまでの取組を度返しして性急に結果を求めよとしても、失敗する事例は歴史上数多く存在する。バスに乗り遅れるなという議論もあるが、大局的に見て行先も不明なバスに今たちまち飛び乗る必要があるとも思えない。日朝交渉には、拉致・核・ミサイルだけでなく、将来にわたる我が国の国民の安全と人権がかかっている。そのことに比べれば、内閣支持率がどうの、衆参ダブル選挙がどうのとかいう問題は小さなことにしか思えない。
 論語にもあるように、「民信なくば立たず(政治は民衆の信頼なくして成り立つものではない。)」で、勝算もないのに目先の小利に飛びついて国民の安全と人権を窮地に陥れることのないよう、慎重かつ冷徹な外交努力を重ねてもらえるよう政府に要望したい。

令和元年5月8日

救う会徳島 代表 陶久敏郎