「日本人妻問題と国会」その1
【第189回国会」
質問第七二号
在日朝鮮人及び日本人配偶者の北朝鮮への帰還事業に関する質問主意書
右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。
平成二十七年三月十日
有田 芳生
参議院議長 山崎 正昭 殿
答弁書第七二号
内閣参質一八九第七二号
平成二十七年三月二十日
内閣総理大臣 安倍 晋三
参議院議長 山崎 正昭 殿
参議院議員有田芳生君提出在日朝鮮人及び日本人配偶者の北朝鮮への帰還事業に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
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在日朝鮮人及び日本人配偶者の北朝鮮への帰還事業に関する質問主意書
一九五九年に開始された在日朝鮮人及び日本人配偶者の北朝鮮への帰還事業について質問します。
一 一九五九年二月十三日の岸信介内閣における閣議了解によって、北朝鮮への帰還事業の実施が公式決定されました。閣議了解までの経緯をお示し下さい
一について(答弁)
お尋ねについては、在日朝鮮人の北朝鮮への帰還運動の高まり等を受け、北朝鮮への帰還希望者の取扱いに関する御指摘の閣議了解に至ったものである。
二 一九五九年十二月から一九八四年七月までに、北朝鮮に帰還した人数とそのうち日本国籍保有者の人数を政府は把握していますか。把握しているならそれぞれの人数をお示し下さい。
二について(答弁)
昭和三十四年十二月から昭和五十九年七月までの間に実施された北朝鮮への帰還事業において、九万三千三百四十人が北朝鮮に渡航し、そのうち、日本国籍保有者数は六千八百三十六人であったと把握している。
三 政府は日本への里帰り事業が何回行われたと把握していますか。里帰り事業の経緯と一時帰国の時期及び人数、さらに事業にかかった費用についてお示し下さい。
三について(答弁)
平成九年八月に、北京において行われた日朝国交正常化交渉再開のための予備会談において、日朝双方は、北朝鮮在住の日本人配偶者の故郷訪問(以下単に「故郷訪問」という。)につき、人道的見地から、本人の意向を尊重したその早期実現が必要であるとの認識で一致した。これを受けて、政府は、同年九月二日、故郷訪問の準備・実施についての閣議了解を行った。当該閣議了解に基づき、故郷訪問は三回行われ、第一回故郷訪問では同年十一月八日から同月十四日までの間に十五人、第二回故郷訪問では平成十年一月二十七日から同年二月二日までの間に十二人、第三回故郷訪問では平成十二年九月十二日から同月十八日までの間に十六人の日本人配偶者が日本を訪問した。これらの故郷訪問に係る費用として、平成九年度から平成十二年度までの間に、日本赤十字社に対して約四千二百万円を支出した。
四 政府は北朝鮮に生存している帰還した在日朝鮮人及び日本人配偶者の人数を把握していますか。把握しているならそれぞれの人数をお示し下さい。
四について(答弁)
お尋ねの「人数」については、直接確認する手段がないことから、政府としてお答えすることは困難である。
五 北朝鮮から脱北した元帰還者らが本年一月十五日、日本弁護士連合会人権擁護委員会に「人権救済申立書」を提出しました。申立人らは日本政府に対して、北朝鮮在住の帰還者について、その氏名、所在地、家族関係、出身地、年齢、日本への往来の希望の有無についての調査及び帰国希望者の日本への自由往来に向けて、往来手段、往来費用について適切な便宜をはかること、全ての帰還者について、人権が保障された上、健康で文化的な最低限度の生活を送れるよう、北朝鮮政府と協議することを求めています。日本政府として北朝鮮政府と交渉する用意はありますか。
五について(答弁)
お尋ねの「北朝鮮と交渉する用意」の意味するところが必ずしも明らかではないため、一概にお答えすることは困難である。
六 昨年二月に公表された北朝鮮における人権に関する国連調査委員会(以下「COI」とする)最終報告書は、帰還者事業について「一九五九年に開始され、九万三千人以上が、偽りの約束に誘われ、日本から北朝鮮に移住した。到着後数年して、移住した人々は、残してきた家族との接触を否定された。うち多くの人々が、政治犯収容所をはじめその他の施設に拘禁された。こうした人々の中には、北朝鮮を離れる権利を明示的に約束された数千人の日本人も含まれていた。すなわち、北朝鮮等は、申立人らを含む帰還事業による帰還者たちを錯誤に陥らせた上で北朝鮮へと渡航させたものである」としています。COIは、このような行為を国際刑事法上、日本人拉致事件などと同様、強制失踪に該当し、非人道的な行為として「国際社会全体の関心事である最も重大な犯罪」、「人道に対する罪」に該当すると認定しています。政府もCOIと同様の認識ですか。
六について(答弁)
お尋ねの「COIと同様の認識」の意味するところが必ずしも明らかではないため、一概にお答えすることは困難である。
七 昨年五月二十八日に日朝政府間協議で合意したストックホルム合意では、日本人配偶者問題について、北朝鮮に設置された特別調査委員会が、「調査及び確認の状況を日本側に随時通報し、(中略)生存者の帰国を含む去就の問題について日本側と適切に協議する」と合意されています。北朝鮮の特別調査委員会からすでに報告はありましたか。あったなら生存者は何人でしたか。また帰国の意志があるのは何人ですか、お示し下さい。
七について(答弁)
北朝鮮の特別調査委員会による調査については、これまでのところ、北朝鮮から調査結果の通報はなされていない。
【第189回国会」
質問第七二号
在日朝鮮人及び日本人配偶者の北朝鮮への帰還事業に関する質問主意書
右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。
平成二十七年三月十日
有田 芳生
参議院議長 山崎 正昭 殿
答弁書第七二号
内閣参質一八九第七二号
平成二十七年三月二十日
内閣総理大臣 安倍 晋三
参議院議長 山崎 正昭 殿
参議院議員有田芳生君提出在日朝鮮人及び日本人配偶者の北朝鮮への帰還事業に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
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在日朝鮮人及び日本人配偶者の北朝鮮への帰還事業に関する質問主意書
一九五九年に開始された在日朝鮮人及び日本人配偶者の北朝鮮への帰還事業について質問します。
一 一九五九年二月十三日の岸信介内閣における閣議了解によって、北朝鮮への帰還事業の実施が公式決定されました。閣議了解までの経緯をお示し下さい
一について(答弁)
お尋ねについては、在日朝鮮人の北朝鮮への帰還運動の高まり等を受け、北朝鮮への帰還希望者の取扱いに関する御指摘の閣議了解に至ったものである。
二 一九五九年十二月から一九八四年七月までに、北朝鮮に帰還した人数とそのうち日本国籍保有者の人数を政府は把握していますか。把握しているならそれぞれの人数をお示し下さい。
二について(答弁)
昭和三十四年十二月から昭和五十九年七月までの間に実施された北朝鮮への帰還事業において、九万三千三百四十人が北朝鮮に渡航し、そのうち、日本国籍保有者数は六千八百三十六人であったと把握している。
三 政府は日本への里帰り事業が何回行われたと把握していますか。里帰り事業の経緯と一時帰国の時期及び人数、さらに事業にかかった費用についてお示し下さい。
三について(答弁)
平成九年八月に、北京において行われた日朝国交正常化交渉再開のための予備会談において、日朝双方は、北朝鮮在住の日本人配偶者の故郷訪問(以下単に「故郷訪問」という。)につき、人道的見地から、本人の意向を尊重したその早期実現が必要であるとの認識で一致した。これを受けて、政府は、同年九月二日、故郷訪問の準備・実施についての閣議了解を行った。当該閣議了解に基づき、故郷訪問は三回行われ、第一回故郷訪問では同年十一月八日から同月十四日までの間に十五人、第二回故郷訪問では平成十年一月二十七日から同年二月二日までの間に十二人、第三回故郷訪問では平成十二年九月十二日から同月十八日までの間に十六人の日本人配偶者が日本を訪問した。これらの故郷訪問に係る費用として、平成九年度から平成十二年度までの間に、日本赤十字社に対して約四千二百万円を支出した。
四 政府は北朝鮮に生存している帰還した在日朝鮮人及び日本人配偶者の人数を把握していますか。把握しているならそれぞれの人数をお示し下さい。
四について(答弁)
お尋ねの「人数」については、直接確認する手段がないことから、政府としてお答えすることは困難である。
五 北朝鮮から脱北した元帰還者らが本年一月十五日、日本弁護士連合会人権擁護委員会に「人権救済申立書」を提出しました。申立人らは日本政府に対して、北朝鮮在住の帰還者について、その氏名、所在地、家族関係、出身地、年齢、日本への往来の希望の有無についての調査及び帰国希望者の日本への自由往来に向けて、往来手段、往来費用について適切な便宜をはかること、全ての帰還者について、人権が保障された上、健康で文化的な最低限度の生活を送れるよう、北朝鮮政府と協議することを求めています。日本政府として北朝鮮政府と交渉する用意はありますか。
五について(答弁)
お尋ねの「北朝鮮と交渉する用意」の意味するところが必ずしも明らかではないため、一概にお答えすることは困難である。
六 昨年二月に公表された北朝鮮における人権に関する国連調査委員会(以下「COI」とする)最終報告書は、帰還者事業について「一九五九年に開始され、九万三千人以上が、偽りの約束に誘われ、日本から北朝鮮に移住した。到着後数年して、移住した人々は、残してきた家族との接触を否定された。うち多くの人々が、政治犯収容所をはじめその他の施設に拘禁された。こうした人々の中には、北朝鮮を離れる権利を明示的に約束された数千人の日本人も含まれていた。すなわち、北朝鮮等は、申立人らを含む帰還事業による帰還者たちを錯誤に陥らせた上で北朝鮮へと渡航させたものである」としています。COIは、このような行為を国際刑事法上、日本人拉致事件などと同様、強制失踪に該当し、非人道的な行為として「国際社会全体の関心事である最も重大な犯罪」、「人道に対する罪」に該当すると認定しています。政府もCOIと同様の認識ですか。
六について(答弁)
お尋ねの「COIと同様の認識」の意味するところが必ずしも明らかではないため、一概にお答えすることは困難である。
七 昨年五月二十八日に日朝政府間協議で合意したストックホルム合意では、日本人配偶者問題について、北朝鮮に設置された特別調査委員会が、「調査及び確認の状況を日本側に随時通報し、(中略)生存者の帰国を含む去就の問題について日本側と適切に協議する」と合意されています。北朝鮮の特別調査委員会からすでに報告はありましたか。あったなら生存者は何人でしたか。また帰国の意志があるのは何人ですか、お示し下さい。
七について(答弁)
北朝鮮の特別調査委員会による調査については、これまでのところ、北朝鮮から調査結果の通報はなされていない。