さきち・のひとり旅

旅行記、旅のフォト、つれづれなるままのらくがきなどを掲載します。 古今東西どこへでも、さきち・の気ままなぶらり旅。

阿久根の夜の竜宮城

2017年10月15日 | 九州シリーズ



阿久根の夜となりました。昼間に町を歩いた限りでは、かなりの寂れ度。しかしそういう
ところでも、人がいさえすれば酒を飲むところはあるのだ。いざ出陣!



ほぉ~ら、暗がりの中にあります、赤い提灯が。どんなところだろう。青白い顔の
ヲヴァ~サンが、震える声で「いらっしゃぁ~い・・・」と来るだろうかー。



・・・と期待していたのに、中は明るく若いご夫婦がやっておりました。ちと拍子抜け。
お通しにはトコロテンが出てきました。これも拍子抜け。こちらの地方では定番だったり?
手前のお料理はつくねです。ビールの次には焼酎を頂きました。



次の店、といっても選択肢は少ない。

暗がりを彷徨っていると、スナックがひしめくビルの中に、ホラン千秋似の美女が入って
いった。「スナック オフィス24」?一瞬クラッと引き寄せられたが、スーツのおっさんが
その店から出てくるのを見て、「こういうところは俺のテリトリーじゃねえ」と危ない
ところで正気に戻る。

もう少し歩くと、真っ暗な中にぼんやりと見えてきた怪しげな灯り。「スナック薔薇
(ローズ)」。昭和な香りどころか、昭和レトロ博物館の実物大展示品みたいだ。
ここです。こういう何十年もやっているところは、きっと感じがいい。じゃなきゃ地元で
長く愛されて続くわけがないですからね。そして町のレジェンドばーさんがいるはず
なのだ。ここなら郷土歴史資料館的な「語り部サービス」がもれなくついてくるだろう。

ここからは「竜宮城に行ってきた」という男の話だと思ってください。

「スナック薔薇」のドアを開けると客はおらず、期待通りの女性がひとり。還暦は20世紀に
通過していたかしら。誰もいないので遠慮なく店内を見渡す。なかなか大きい。ママさんは
「50人は入るのよ」と誇らしげ。壁にひときわ目立つのが「ひろみ丸」という大漁旗。
旦那さんが漁師なのだそうです。「旦那さんの名前がひろみさんですか?」と聞くと、
「愛する女房の名前を入れるものなのよ♪」とのことでした。

うちはね、2000円均一なのよ♪

キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━‼!! 過疎地の基本。スナックは2000円!

そんなところでは焼酎以外に選択肢はない。飲み放題ということで、ロックで存分に頂く。
漁師の旦那さんが採ってきたウニなんぞを客に振る舞うこともあるそうだ。もちろん無料
で。「おとうちゃんがね…♪」と言葉の端々にノロケが入る。神戸出身ということで、
元気はっちゃけだ。いつしか政治の話になり、例の独裁市長のとんでもないドタバタ、
お隣である川内の原発批判の話題も飛び出す。ちなみに阿久根市は川内市に隣接している
ので、「迷惑料」として年間3000円電気代が安くなるそうです。その微妙にセコイ金額
を口に出すときのママさんの顔をご想像下さい。



前時代的な赤の内装。妖艶な女性が数人いて、客の間に座って水割りを作るなんて
時代はあったのか?



ウニはなくて残念であったが、「おとうちゃん」がとってきたイカを出してくれました。

タイやヒラメの舞い踊りじゃないですが、寂れた町の暗がりの中で発見したこの店で、
思わぬ夢のような歓待を受けました。そうだなあ、浦島太郎はジジイになって、また
乙姫様にもう一度会いたいな、なんて思ったのでしょうか。。。



コメントを投稿