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さきち・のひとり旅

旅行記、旅のフォト、つれづれなるままのらくがきなどを掲載します。 古今東西どこへでも、さきち・の気ままなぶらり旅。

SEIKO

2019年06月19日 | らくがき



愛用の腕時計を地元の時計職人のところにメインテナンスに出しました。
内部の掃除は20年ぶりくらいか。

これは若くして他界した父親の形見。もう30年以上になりますが、いまだに
正確に動いています。私が受け取る前にお父っつぁんがずっと使っていたので、
いったい何年動いているのかわかりません。

時計職人は、「もうこういう時計は作っていないんですよ。何せ壊れなくて
長い間使われるので、儲からない。いまはちゃちいのしか作らないんですよ」
と言っていました。そうかもしれませんね。一生の間、これしか使わない
なんてことになりそうですから。

SEIKOは「セイコ~」と発音しますが、私は「セイコさん」という白百合の
精のような美しい女性を思い出します。(*´ω`)

さてこの時計、毎晩ぐでんぐでんになるまで泥酔する、「16の頃から毎晩酒は
欠かしたことねーよ」という大酒呑みの父親が人に貰ったものです。
車で荷物を配達する仕事をしていたお父っつぁん、あるときある場所で年配の
運転手がひとりで大荷物を出し入れするのに苦労していたのを見かねて、手助け
してあげたそうです。するとその人は時計を扱っている人で、時計のたくさん
入った箱を開けて「お礼にひとつ貰ってくれ」と言ってくれたそうなのです。

お父っつぁんはそれをずっと使っていましたが、他界したときに私が貰い受けた
のです。おっ母さんは「それいいな」と言ったのですが、「男モノだから俺に
頂戴よ」とお願いしたのです。お父っつぁんの人柄が詰まった形見じゃないですか。

お父っつぁんがあの世にいって長い年月が過ぎ、お父っつぁんを知る人もすっかり
少なくなりました。結婚生活より後家生活のほうがずっと長くなってしまった
おっ母さんも、お父っつぁんのところに逝ってしまいました。

お父っつぁんやおっ母さんの記憶は、人々の間でどんどんなくなっていきます。
そして俺の人生、俺の小さかった頃の記憶を共有している人もいなくなってゆく
という事実に気付きました。そぉ~か、いま生きている俺の一部も消えてゆくん
だなー。

あの世で再会できるのかな?「上」や「下」がなければいいんだけど。(^益^;