リスボン西部にある街ベレンには、エンリケ航海王子を記念して立てられた「発見のモニュメント」が港を見渡しています。船の舳先に立っているのがエンリケ、続いて天文学者、宣教師、船乗り、地理学者などが並んでいます。中に入ると展示物が並んでおり、エレベーターで上に登れば屋上が展望台になっているんです。
上に登ると潮風が気持ちいい。ちょっとコワイぞ(^益^;
こちらはジェロニモス修道院。マヌエル王が大航海時代にもたらされた富によって建てた巨大な建物です。
祖国を捨て夢を選ぶ ~マゼランと世界一周(4)
マゼランは7年間に及ぶインド戦線から帰国した。いくつかの戦傷を日焼けした肉体に残し、マラッカで買ったマライ人の奴隷ひとりを連れ、人類未踏の世界一周ルートで再びセッランに会うことを胸にポルトガルへ戻ったのである。
船がリスボンへ入港したしたときの驚きは大きかったに違いない。そこにはインドから搾取した莫大な富によって建てられた壮麗なるジェロニモス修道院がそびえ建ち、港には多くの商船がぎっしりと並び、巨大な世界都市へと変貌していたのである。マゼランは世界でもっとも裕福な王となったマノエルに会った。しかしこの王様は冷たかった。何年にも及ぶ冷遇に耐えかね、マゼランは最後に「自分が他国で職を求めてもよいか」と訊ね、マノエルはそれを一笑に付し去ったのである。
自由になったマゼランは祖国を見限り、その船乗り、軍人としての経験、様々な海域や民族の知識をもとにフリーランサーとして生きてゆく決心をした。大西洋を渡って西へ進めばアメリカ大陸へぶつかるが、それを通り抜けて香料諸島へ行くことのできる秘密の海峡がある。その夢のような話を元手に、ポルトガルのライバルであるスペインに、船団をひとつまかせてほしいと売り込んだのである。
彼を「売国奴」と批判できようか?彼のあまりにも大きな夢と野望は、小さな国への忠誠心にとどまるものではなく、人類にとっての偉大なる歴史的第一歩となるはずのものであったのだ。