月が替わって風薫る5月。さ、気分を取り直してといつもの多摩川の散歩道を歩く朝。6時過ぎ。見上げる人も少ないけれど、若葉をまといはじめた桜は、落ち着いた大人の風情で泰然自若。根元の草むらは朝露に濡れ、足を踏み入れると草の穂先の萌黄色のタネがスニーカーの表面いっぱいに付く。
にしても激動の4月が過ぎた。移転準備に「関係各位」への連絡、手続き、レンタカーを借りての引越しとあわただしく時間が回り、やっと昨日から営業再開。最後に残った大型書棚を組み立て終わり、壁際に立てかけてファイルフォルダをずらっと並べてようやく仕事ができる状態になった。
もとは店舗として使われていた路面の1階だから、近所の猫が入り口をこそっと覗く。首輪をつけた飼い猫も、汚れが目立つノラもガラス戸越しに挨拶をよこす。ンニャアゴ。軒下に置いたアジサイの鉢植えを、5月の風がゆらす。