Diary Of 酒田の人

田舎住まいの60代サラリーマンの趣味の日々

古伊万里らしくない古伊万里

2022-10-02 00:39:47 | 古伊万里
 またまた古伊万里再編集シリーズですが、今回は一見すると古伊万里には見えない(と思う)お皿を二枚取り上げます。

まず一枚目は幾何学的なデザインの五寸皿です

一見して古伊万里とは思えないモダンで幾何学的なデザインで、紗綾形文様 の部分は型紙摺りのようですが
それ以外の文様はそれぞれ同じではないことから、手描きの可能性が高いように感じます。

絵付けするのにそれなりに時間がかかりそうですが、あまり見かけないタイプの品のように思われます
今から10年ほど前に滋賀県の業者さんから何枚か出品されましたが、以後は見たことがありません。

表と比べ裏面は中期末~後期の古伊万里の姿をしており、裏文様はなく、落款は後期を代表する「乾」です。

続いての品は色絵の尺皿です

こちらも一見すると西洋のお皿のような雰囲気を持っています
朝顔のような花と良く判らない花が、青、紫、白で絵付けされ、葉は緑で絵付けされ
さらに文様のの隙間の部分を青手古九谷のごとく、中期末に見られる中間色の緑に塗っています。
青い花はかなり厚塗りです

紫の花は薄塗り

この品にとって重要なのは白い花でありまして、塗り残しの生地の白ではなく、白い釉薬で絵付けされています
色絵を盛り上げたように絵付けする技法は、清朝磁器の粉彩に影響を受けたものらしく
何かの書籍で、天明~寛政期に技術導入されたと読んだ記憶があります

一枚目のお皿と同様に、裏面は「古伊万里です」と言わんばかりの絵付けです
この品も落款は「乾」です。
この尺皿と同手が今年ヤフオクで出品され、1万円に満たない値段で落札されていましたが(入札するか迷いました)
経済的な価値とは別の魅力のある伊万里であると、個人的には思っています。