磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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秋の味覚

2005年11月23日 | 短編など
秋の味覚

1.

猿と豚がいました。
季節は秋。
天気も快晴、日本晴れといっていいでしょう。

「ねえ、お猿さん。こんないい天気なんだから、
どこかへ遊びに行きましょう」
と豚さんが言いました。

「そうだなあー」
とお猿さんは考えました。

そして、二匹ともに食いしん坊だったので、
何がおいしい物を取りに行こうということでした。

「そうだ、豚さん、梨狩りにいこうよ」
「梨狩り」
「そう、あのむこうの山に梨の木がいっぱいあるんだ。
今は秋だからきっと、甘い水々しい実をつけているよ」
「わーい」
豚さんはブーブー鼻をならしました。

豚さんとお猿さんは山につきました。

すると木のぼり上手のお猿さんはスルスルと梨の木に
登ってゆきました。

そして、背中にしよった自分のかごの中に
いっぱい入れると、さっさと木をおりて、
山をおりて帰っていこうとしました。

「どうしてお猿さん。僕には梨わけてくれないの」
「豚さんは無し」
お猿さんは、キャキャ笑いました。

「ひどいなあー。せっかく一緒にきたのに」
「だったら、自分でとれば!」
「だって採れないもの」
豚は文句をぶーぶー言いました。
猿はそんなこと気にもせず、すたこら家に帰りました。


2.

「ねえ、豚さん。こんな天気のいい日だから、
ブドウもぎへ行きましょう」
「いやだよ」
「どうして」
「僕に一個も梨くれななかったじゃないか」
「ごめん、ごめん。おもしろい洒落だったろう?」

「じゃ、今度は仲良くいこうね」
豚さんはそういうと、陽気に二匹は歩き出しました。

「うひゃ、うひゃ、いっぱいなっている」
お猿さんは夢中になって木に登って、
ぶどうを採りました。

「わあー、お猿さん。いいぞ」
豚さんは見上げていいました。
「ねえ、もうカゴ一杯になったから、帰ろうよ」
お猿さんは言いました。
「でも、僕のはまだだよ~」
豚さんはこたえました。

「そんなこといったって、
もう日が暮れるよ。早く帰らなくっちゃ」

もうまわりは暗く成り始めていました。

「ねえ。お猿さん。帰ったら僕にもわけてね」
「あーあー」

家に帰ると、お猿さんはブドウを食べまくりました。
「お猿さん、ぼくにも分けてえ~」
何度もいいました。
お猿さんは面倒そうに、ブドウを一個投げつけました。

「ねえ、ちゃんと分けてよ」
豚さんのお腹はギュールルーと鳴っていました。

「ねえーたら」
「分けただろう」
豚さんは強くいって、家から追い出して笑いました。
豚さんはブドウ一個を食べただけでした。


3.

「ねえ、豚さん。
こんないい日だから柿を採りにいこうよ」
「いやだよ。お猿さんなんて、大嫌いさ」
「そんなこと言うなよ」

「だって、ブドウ一個しかくれなかったじゃないか」
「じゃ、最初から何個欲しいか、
いえばいいじゃないか」
「そうだね」
豚さんは言って喜びました。

そして、お猿さんと豚さんは出かけました。

「あれ、もう。あれだけしかないのか」
お猿さんと豚さんはがっかりしました。
「1、2、3つの、5つしかないよ」
豚さんは数えました。

お猿さんは木に登りました。
そして柿をおいしそうに食べました。
それから、柿の種を一つ投げてきました。
「僕が一コ柿を食べたから、きみにも一つね」


豚さんは涙をボロポロ流しました。


何かお酒くさい息がしました。
「プヒィー」
「豚さん、トンだこどたね。ウィ」
それは森のお酒飲みの妖精でした。

「お酒くさいよ~」
「まあ、そういうなあー。
おまえに不思議な力をくれてやる」
それは豚さんの鼻息を強力にするというのでした。

豚さんはためしに鼻息をブーとだしました。
すると、柿の実どころか、お猿さんまで落ちました。

お猿さんは腰をつよくうってしまいました。
豚さんは、気の毒なお猿さんを背負って帰りました。
地面に落ちた柿の実はリスたちが食べていました。

お猿さんは腹が立って仕方がありませんでした。
仕返しをしてやろうと考えました。
今度は栗拾いです。

高い木にのぼりました。
真上にお猿さんはいました。

豚さんに、
「きみも栗をとりなよ。それが君の取り分さ。
当たり前だろう」
と言いました。

豚さんは怒ってすごい鼻息になりました。
「しめた。あの鼻息で栗が落ちる。真上をむいてるから、
豚さんの顔の上に、あのいがいがが落ちるぞ」

豚さんは、前のようにお猿さんにひどいことはしては
いけないと思いました。

あわてて、逃げたお猿さんは、木を降りていました。
息をこらえた豚さんは、
「ヘクション!」
クシャミをしました。

栗のいがいががお猿の顔に当たりました。
カゴを放り上げてしまって、その栗の
いがいがが、いっぱい体中に刺さりました。

豚さんは一つずつ、いがいがをとってあげました。


それから今度はお芋掘りに行きました。
二匹は楽しそうにお芋掘りをしました。
「お芋さん、おいしね」
「二匹で食べると、よけいにおいしいね」
二匹は顔をあわせて言いました。

イモがイチバン、イいもン!
二人は同時にだじゃれを話しました。




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【本人評】もう冬でしたっけ……。


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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
いつも書き込みありがとうございます。 (鱧男)
2005-11-25 20:19:09
コメントするのも、難しいもんです。

またドジをしましたし、私的な生活でも、

かなりドン底状態です。(-_-;)



ここの京都の方も寛容な方で、

起業家でもあられるので、書き込みよくしています。

昨夜も二重投稿するなど、ミスをよくしています。

http://kata.wablog.com/691.html

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引き続き (雨漏り書斎)
2005-11-25 13:20:11
鱧男はんのファンであり続けますので、

気張って、ええ記事、書いとくんなはれ。
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なんの芸もない (鱧男)
2005-11-24 22:48:37
雨漏りはん、

ちゃんと漢字のだじゃれになってますがな。



ぼくに「なんの芸」というのはうれしかったのですが……。

失礼! と言いながらも、書いていただきうれしかったです。



褒め言葉にとってましたけど……。(-_-;)

雨漏りはんも理屈なしで楽しんではると思いました……。

「なんの芸もない」は僕の目標とするところであります。

うれしくなって、まじめになってしまいましたね……。



ジョン・レノンの「My Mammy’s Dead」、

世の中で最高の芸術作品という人は僕だけじゃないです。

なんの芸もない作品なんです。

素晴らしいですよ。すぐ終わる曲ですが……。



でも、そればかりでもありませんが……。

ややこしい頭していて、すんまへん。

気にしんといてくださいませ。

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誤解 (雨漏り書斎)
2005-11-24 22:27:26
されてはいないでしょうね。



なんの芸もない  というのは、私の 面白い というつまらぬコメントのことなんですから。



拙コメントの最後の部分、気付いていながら知らぬふり?
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童心も大切ですね。 (鱧男)
2005-11-24 20:10:01
ジョン・レノンもそういうのを大切にしていました。



栗鼠[リス]らしいですね。



リス科で、ネズミではないネズミなんですね。



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なんの芸も (雨漏り書斎)
2005-11-24 00:47:50
ありませんが、面白かったですよ。

栗と栗鼠 が出てきたのには驚きましたwww 失礼!
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そや! (鱧男)
2005-11-23 22:23:18
ここは、藤村屋ファンクラブではじめたのを、

すっかり忘れてました。(-_-;)



八代目はんが見てはったら、

かなり喜ばれますよ。



障害者の方の本を本日読みました。

写真があったんですが、

アイドルみたいでつまらなかった。



かんちゃんにとってもらいたかった。



視覚障害者の方は三倍速の音声をききわける

能力があると本日のテレビニュースでやってました。

何か失って何を得るのが人生とはよく言ったものです。

障害者の素晴らしさってあると思うんです。



あれほど、虫の素晴らしさをとれる方ですから、

障害者の方の魅力もとれるんじゃないかと思いました。



あっ、ココアは買ったのですが、暑くって葛湯のんでません。

バナナにかけて食べたら、おいしかったよ。

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(・_・) (みっちゃん)
2005-11-23 21:44:27
今年、栗ご飯食べました?

そんな時は藤村屋さんの

京風 松茸&栗ご飯の素(秋ご飯の素) をどうぞ♪



なんて、ね 笑
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