『自由と社会的抑圧』
シモーヌ・ヴェイユ・著
冨原眞弓・訳/岩波文庫 青690-1 2005年、1刷
シモーヌ・ヴェイユをはじめて知ったのは世界哲学全集ででした。
女性で哲学全集に名をはせているのは、彼女だけでした。
この本もヴェイユの澄んだ瞳は、他の学者とちがって鮮やかに
世の中を表現して、批評しています。
多くの学者は、種本をもっていて似たようなことを書いているけれど、
ヴェイユはたんたんと、澄んだ瞳で書いてゆく。
現在の世の中をヴェイユが見たとして、
彼女は『自由と社会的抑圧』のどちらを多くとるでしょうか。
ぼくは本来の自由という言葉からかけはなれたことが自由とされ、
社会的抑圧を自由という言葉に塗り替えているとさえ思ってしまう。
これもヴェイユの本を読んだからだろうか。
しかし、この本を読まれなくとも、
戦争は社会的抑圧のもっとも激しいものであることくらい理解されたい。
100冊の学術書よりもヴェイユの一冊といいたい。
ヴェイユは共産主義者と書かれる場合もありますが、
マルクスの間違いをきちんとした指摘した人物でもあります。
日本人はプルードン主義というのを、
ご存知ない方が多いそうです。