Runrun日記

最近読んだ本ー村上海賊の娘



戦国時代、織田信長と一向宗・石山本願寺は敵対していた。石山本願寺では五万の門徒を引き入れ立てこもり、信長はこれを包囲して兵糧攻めにしようとしていた。1576年5月の「天王寺の戦い」。続いて7月に「第一次木津川口の戦い」。天王寺では、信長の勝。木津川口では、毛利・村上水軍が織田方水軍を打ち破る。そういえば、以前、志摩の九鬼水軍が毛利の水軍を打ち破る小説を読んだことがある。1578年の「第二次木津川口の戦い」。

和田竜 著作 「村上海賊の娘(上/下)」 新潮社

この小説では、「天王寺の戦い」と「第一次木津川口の戦い」を舞台にして描いてあります。野島村上水軍の当主・村上武吉の娘・景(きょう)という架空(?)の人物を登場させ、戦う侍や信徒の本音の心に迫ろうとしている。

以前、和田さんの「のぼうの城」をよんだ事が有るが、手法としてはそれと同じかな。特徴の強い登場人物たちが、驚きの本音トーク、行動で迫ってくる。やはりこれも、映画かテレビドラマにすれば面白い。

景は男勝り、海賊家業が大好きで、戦をしてみたい。地元では、顔の堀の深い醜女とされている。結婚相手が見つからない。本願寺に兵糧を入れに行く門徒・源爺に、泉州に行けば、美人だと言われた。婚活を目的にして、源爺ら門徒を船に乗せて行く。難波の海で、織田方の泉州海賊の頭・真鍋七五三兵衛(しめひょうえ)に出会うが、この男も破天荒な男として著わしてある。当時の泉州では、のっぺらとした日本的な美人より、堀の深い西洋的な女の方が美人とされていたらしい。もてはやされて、舞い上がる景が面白い。

「天王寺の戦い」は、七五三兵衛等、泉州侍の活躍を中心に描かれている。さすが和田さん、男たちの心持を面白く描いている。そして、景は、戦に対する心根の甘さを思い知る。

「天王寺の戦い」のあと、七五三兵衛は木津川口を閉鎖、本願寺への兵糧入れを出来ないようにする。毛利は、本願寺に頼まれて、10万石の兵糧を船に乗せて難波の海へ・・。

強い方に味方し、一族を守り抜きたい侍たちと、純粋に自分の生き方を求める者たち。最後は欲徳でなくなるはずだよね。

毛利は上杉が動かなければ織田に敵対したくない。上杉が動かないと判断して、引き返す毛利水軍。その刹那

???鬼手???囲碁・将棋などで、相手の意表をつくような奇抜な手の事を云うらしい。
村上水軍では、女が戦に立つと、兵が舞い上がり思いもつかない力を発揮するとかで、禁じ手。

景は、瀕死の門徒達を見殺しにすることが出来ず、雑賀宗を頼み織田の水軍に立ち向かう。
鬼手に驚く村上水軍。興奮した兵は止められない
毛利方の村上海賊と織田方の泉州海賊の決戦が始まってしまいます。

七五三兵衛と景の死闘、密かで甘い恋! 面白すぎる泉州兵たちの言動!
やっぱり映像化しないと勿体無い!

物語の終章を読むと、物語に出てくる武将達は、ほとんど実在の人物らしい。景もやはり実在の人?

小説のお気に入り度:★★★★★

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