雲跳【うんちょう】

あの雲を跳び越えたなら

見張り塔から ずっと

2006-03-31 | 小説
 重松清氏の『見張り塔から ずっと』を読んだ。
 氏の作品は、これまでに『疾走』と『ビフォア・ラン』を読んでいた。
 ので、少々、肩透かしを喰らった感があった。
 『疾走』は私が文句なく感動した作品で、読み終わった直後、そこかしこの友人に「凄い小説がある!」とメールを送りつけたほどである。
 反応はイマイチだったけれども・・・。
 その後、イキオイ『ビフォア・ラン』(処女作らしい)を読み、ますます氏にハマっていった。のだが、なかなか時間がなくて他の作品を手にとる機会に巡らず、ようやく読んだ『見張り塔から ずっと』である。
 お気づきの方はすでに気付いているだろうが、ディランの曲にも同名タイトルがある。氏もなんらかの意図があってこのタイトルを冠したのであろうが、はっきり言ってディランとは関係ない。このタイトルの真意は新潮文庫版の『文庫版のための(少し長い)あとがき』に記されているので興味のある方は是非、目を通していただきたい。
 内容については、特に語る気もない。短編三作が収められているのだが、それ相応、いい小説だと思う。なんてったって寝不足になりながらも根を詰めて読んだんだから、ただ、前に読んだ二作品からは「肩透かし」なのである。
 でも、それで良かったのだ。氏の作品は、いまや多数出版されている。お次は期待通りか?お次はいい具合に裏切られるのか?
 毎回毎回、読者の期待なんかに応えているヒマなんかない。とにかく、イイ作品、イイ文章を、書き続けていくほかない。
 なんて、今更この人を持ち上げなくても十分、なのだ。
 今私は氏の著作『ナイフ』を読んでいる最中である。まだまだ寝不足が続きそうである。

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