GO! GO! 嵐山 2

埼玉県比企郡嵐山町の記録アーカイブ

転換期に立った高崎村政(菅谷・関根昭二) 1956年4月

2008年09月11日 | 報道・論壇
  強力な政治力の展開を期待-三十一年(1956)度予算を見て-
 三十一年度予算成立直後、村議会に実力のある謀議員は「高崎村政に新味なし」と批判した。事実この予算は新鮮味が感じられず特色も見当らない。
 吾々が先づ第一に問わなければならないことは本村の発展の為めに如何なる構想を有しているかということである。予算を通してみればいづこにそのような構想が盛られているのか少しもはっきりしない。
 それは何よりも予算の実行が計画的でないということである。予算を重点的に使わず総花的に使っている。これでよい政治が行はれる筈はなく発展も福祉も考へられない。高崎村政は旧菅谷村の場合すでに十年である。計画的に予算を編成してきたならば、かなりの効果が上がった筈である。それを行い得ず徒らに補助金政策をとってきたところに高崎村政の欠陥がある。
 高崎村長は本紙六十六号の「年頭の挨拶」において「合併により事業は山積して居り、このまま無計画に推移すると公平な配分も至難となり、従って村民の期待にも沿い得ない状況ともなりかねないので、本年度から計画的に(四ヶ年計画樹立)事業を実施し四年後の則ち昭和三十四年度計画完成の際には新村育成に必要な当面の事業を概ね完遂し、村民の付託に答へたい」と述べている。高崎村長は四ヶ年計画樹立の考へを述べながらその内容は少しも発表されて居らず予算にもあらはれていない。警察消防費にしても土木費にしても産業経済費にしてもどういう計画のもとに予算が組まれているのかはっきりしないのである。
 例へば土木費の中の道路改修助成費二十万、道路新設改良費約五十万はいづれもどことはっきりした目的のない予算なのである。何故かくの如く目的のない予算を組まなければならないのか、消防費の新営改築費は九十二万円【?】あるが鐘楼二基、貯水池五ヶ所、可搬動力ポンプ二台をどこに作るのか明かにしていない。これは政治が計画的でなく他人まかせ式だからである。高崎村長は速やかに四ヶ年計画の構想を樹立して発表すべきである。然してこの構想を如何に実現するかが高崎村長の政治力であり、強力にして断乎たる態度が望まれる所以なのである。
 本年度予算に見られるが如く、あちらのこちらの区域あの要望この要求を容易にとり入れることなく村長独自の計画と意図のもとに予算を編成すべきであり、その執行には勇気を持って当るべきである。徒らに人気取り的政策をとることをやめ、お人好し的存在になることを拒否して、高崎村長の政治的信念と政策的抱負が明確に具現されることを期待して止まない。
     『報道』69号(1956年4月20日)掲載


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。