およそ1ヶ月前、私は母に河津桜を観に行こうと
言った。
前から母が行きたいと言っていたし、私も
機会があれば行きたいと思っていたからだ。
母はお父さんも連れて行きたいと言った。
その瞬間、河津行きはハードルの高いものに
なった。
車椅子の父をどうやって東京から河津まで連れて
いくのか?
父の入居している老健施設に介護タクシーの
パンフがあり、連絡したら東京から河津まで
約11万円かかりますとのこと。
私は母にこれだけ費用がかかるが行くか?と
聞いた。母は行きたいと言ったので河津行きを
介護タクシーにお願いすることにした。
3月3月金曜日、私は中国出張の直前の
タイミング、弟2号も私も有休をとり、旅程を
組む。
朝7時実家出発、7時30分老健施設にお迎え、
朝食、昼食はこちらで用意。
私はキューピーの介護食レトルトを予め実家に
アマゾンで送り、弟2号はそれらを湯せんで
温めるジャーを用意し、二人とも実家に
前泊した。
キューピーの介護食
http://www.kewpie.co.jp/products/care/index.html
父は「かまなくて良い」のカテゴリー。
老健施設で提供される食事はミキサーにかけた
トロトロの食事だ。
残念ながら、河津桜はほとんど咲いて葉桜に
なってしまったことを開花情報で知り、急遽
小田原の梅園に行き先を変えた。
正直に言おう。
私は父を外出させるのは不安で仕方なかった。
食事は?トイレは?途中で具合が悪くなったら?
母は父を連れて行きたいと言う。およそ50年前
結婚する前に社員旅行で行った小田原の梅園は
今どうなっているのかしら?と母が言った。
それって自己満足では?
お父さんは本当に外出したいの?
私は自分の気持ちがピリピリしてしまうのを
感じた。両親に優しい気持ちで接したい。でも
不安が先立ち、私は怖くて怖くて仕方なかった。
出かける当日、早起きして準備をした。
天気が良くて幸いだった。
実家に介護タクシーが来て、老健施設に父を
迎えに行き、車椅子を乗せかえ、東名で小田原
まで行った。
途中、海老名サービスエリアで休憩し、父に
朝食をとってもらったが、キューピーの介護食を
バクバク食べてくれた。
そこで母がみたらし団子を食べたいと言い、
買ったものを父が食べてしまい、後で車内で
苦しそうにむせて、私は大変心配した。
小田原の梅祭りの触れ込みで曽我梅園に行ったが
ほぼ梅は散っていた。残念。
代替案として考えていた小田原フラワーガーデン
に行き、温室を見たり、梅を見たりしてしばし
過ごす。
咲いている梅を見て、それが本当にきれいか、
きれいと言って両親に紹介するべきなのか、
きれいだと言っている自分を両親に見せるべき
なのか、自分の心がわからなくなった。
私は「うぐいすひめ」という昔話を思い出して
いた。
http://uraraehon.exblog.jp/7402706/
これが昔話のように夢ならば、誰も大変な思いを
しなくて良いのに。あるいは、本当に喜んで
くれていたら良いのに。私はすぐ近くで見ている
ものがまるで靄のかかった別次元のものに見え
怖かった。
父に何度もトイレに行くか聞いたが、行かなくていいというそぶりだったので、そのまま施設に
戻ったが、オムツがたいそう汚れていたそうで
施設のスタッフに、普段は2時間おきにトイレに
行くのだからと言われ、トイレに行くか?では
なく、トイレに行こうね。と促す必要を知り、
父に申し訳なく思った。
私には大層疲れた観梅だった。
両親が喜んでいるかもわからない。
母はありがとうと言ったが、私にはその言葉も
本心かどうかわからない。
私が何をしたら両親は幸せになれるのか。
母は今度は桜を見たいという。
私はどうしたら自分が余裕を持って両親を
アテンドできるのか、自分自身をを見つめなおす
必要がありそうだ。