ぼくはソファで本のページをめくっていた
夏の午後、ステレオからはギャラクシィ500がヴェルヴェットの影のように
流れていた「ねえ、どっか涼しいとこ行こうか?」
ううん、行かない
ミカはフローリングの床に直に座って、ぼくのギターを抱えて何か変わったうたを
うたっていた
よく聴くとオリジナルらしい
可愛らしいのに激しさを持った言葉がそのメロディーには載っていた
ところどころ切ない言葉が刺さる、でも愛が感じられる
彼女はでたらめな歌詞でうたうのが得意だった
時々、そのでたらめな曲を、自分のバンドにいただいたことがある
今思えば盗作だな
ミカは、たいして弾けもしないギターを抱えたまま、しばらくうたっていた
ぼくは言う、「どうしていつもラブソングばかりうたうの?」
すると、「だってこの世界は「ラヴ&ピースでできてるんだよ」
そう言うのだ
そのころのぼくはそれを軽く聞き流していた
愛と平和だなんて
ぼくはまだ、その重さを知らずにいた
「ちょっとヴェスパにガソリン入れてくるね」
「一緒に行く」 笑いながらミカはもうタンデムシートにまたがっていた
キックスターターで始動して、2ストローク特有の白煙を
撒き散らしてぼくらは走りだした
アタマの中では
きみのうたが鳴っていた
夏の午後、ステレオからはギャラクシィ500がヴェルヴェットの影のように
流れていた「ねえ、どっか涼しいとこ行こうか?」
ううん、行かない
ミカはフローリングの床に直に座って、ぼくのギターを抱えて何か変わったうたを
うたっていた
よく聴くとオリジナルらしい
可愛らしいのに激しさを持った言葉がそのメロディーには載っていた
ところどころ切ない言葉が刺さる、でも愛が感じられる
彼女はでたらめな歌詞でうたうのが得意だった
時々、そのでたらめな曲を、自分のバンドにいただいたことがある
今思えば盗作だな
ミカは、たいして弾けもしないギターを抱えたまま、しばらくうたっていた
ぼくは言う、「どうしていつもラブソングばかりうたうの?」
すると、「だってこの世界は「ラヴ&ピースでできてるんだよ」
そう言うのだ
そのころのぼくはそれを軽く聞き流していた
愛と平和だなんて
ぼくはまだ、その重さを知らずにいた
「ちょっとヴェスパにガソリン入れてくるね」
「一緒に行く」 笑いながらミカはもうタンデムシートにまたがっていた
キックスターターで始動して、2ストローク特有の白煙を
撒き散らしてぼくらは走りだした
アタマの中では
きみのうたが鳴っていた
いまでも乗りたいって思うよ