臆病なビーズ刺繍

 臆病なビーズ刺繍にありにしも
 糸目ほつれて今朝の薔薇薔薇

今週の朝日俳壇から(8月18日掲載・其のⅣ・書き込み中)

2014年08月18日 | 今週の朝日俳壇から
[大串章選]

(オランダ・モーレンカンプふゆこ)
〇  雲海の怒濤まといて富士立てり

(千葉市・中山清)
〇  孤独死の家解かれゆく晩夏光

(生駒市・野嵜道子)
〇  蝉しぐれ明日なき声も混じりいる

(蒲郡市・牧原祐三)
〇  生きてゐることの切なき蝉の声

(埼玉県長瀞町・坂上ふみを)
〇  一瞬の命を鳴いて蝉は去る

(横浜市・田中靖三)
〇  空蝉に言ふことはなし朝日さす

(兵庫県猪名川町・小林恕水)
〇  戦争に懲りざる国よ敗戦忌

(嘉麻市・江崎義人)
〇  炎天に一円玉を拾ひけり

(上尾市・中野博夫)
〇  夏燕大樹越すとき加速せり

(仙台市・柿坂伸子)
〇  ゆらゆらと我血を運びゆく藪蚊

今週の朝日俳壇から(8月18日掲載・其のⅢ・書き込み中)

2014年08月18日 | 今週の朝日俳壇から
[長谷川櫂選]

(岐阜市・阿部恭久)
〇  八月は大きな影と光かな

(笛吹市・武藤ゆき)
〇  桃を捥ぐのみの七月終りけり

(松本市・塩原勇之助)
〇  牛に餌直ぐさう思ふ夏の草

(高松市・島田章平)
〇  しぶきざんぶりと白熊の水遊び

(東京都・朝田冬舟)
〇  踊り笠かぶり彼の世の人となる

(奈良市・田村英一)
〇  花火果て渚にもどる波の音

(長崎市・濱口星火)
〇  遂にきし二人暮しや心太

(弘前市・三浦博信)
〇  戦争のせめて歯止めに原爆忌

(由利本荘市・松山蕗州)
〇  風穴をのぞきて何もなき涼気

(流山市・小林紀彦)
〇  香水ややうやく眠る六本木

今週の朝日俳壇から(8月18日掲載・其のⅡ・書き込み中)

2014年08月18日 | 今週の朝日俳壇から
[金子兜太選]

(坂戸市・安達順子)
〇  遺骨なき十七歳の敗戦日

(岸和田市・大内純子)
〇  父親の脚長々とキヤンプかな

(熊谷市・内野修)
〇  雲海に富士立ち枯れ木木に富士

(長岡市・内山秀隆)
〇  敗戦日必死に探る余生かな

(下関市・内田恒生)
〇  母若しわが還暦に夏野ゆく

(川崎市・西原小百合)
〇  蛍火や僅かにうしろめたきこと

(掛川市・大塚俊子)
〇  昼寝覚ビルマから失敬と夫

(東京都・高橋よしあき)
〇  世の端の月より白き新豆腐

(東京都・たなべきよみ)
〇  高層の富士見てくらす金魚かな

(北九州市・長谷川小雪)
〇  おばあちやんめがねとメイクあつくるし

今週の朝日俳壇から(8月18日掲載・其のⅠ・書き込み中)

2014年08月18日 | 今週の朝日俳壇から
[稲畑汀子選]

(熊本市・永野由美子)
〇  昼寝して余命を減らしをりにけり

(岡山市・伴朋子)
〇  太陽の恐さを秘めて朝曇

(坂出市・緒方こずえ)
〇  蹴り出せし下駄の音より踊りそむ

(東京都・田治紫)
〇  立秋やあとがきを書く初句集

(姫路市・黒田千賀子)
〇  旅戻り家居の風の秋近し

(横浜市・山口功)
〇  おろおろと歩くほかなき暑さかな

(芦屋市・小杉伸一路)
〇  夏山の祖霊の在はす青さかな

(彦根市・阿知波裕子)
〇  ふと星に馳せる心や夜の秋

(神戸市・涌羅由美)
〇  遊船の水脈太平洋を真つ二つ

(福岡市・松尾康乃)
〇  純白の雲積み上げて梅雨明くる