臆病なビーズ刺繍

 臆病なビーズ刺繍にありにしも
 糸目ほつれて今朝の薔薇薔薇

今週の朝日俳壇から(8月4日掲載・其のⅠ・連日手抜き版)

2014年08月06日 | 今週の朝日俳壇から
[長谷川櫂選]

(藤岡市・飯塚柚香)
〇  ハンサムな夏木にひとり雨宿り

 〔返〕  ハンサムな夏八木勲は慶応出
      ハンサムな夏木陽介明大出
      ハンサムな男殺しの夏木マリ


(岸和田市・小林凛)
〇  迷い来て野鳥も授業受ける夏

 〔返〕  迷い来てツバメ廊下を貫けり
      迷い気に残り西瓜に手を出せり    
      迷い無く授業プランを立てにけり


(仙台市・松岡三男)
〇  室生寺に夏の楓のありにけり

 〔返〕  室生寺の五重塔の修復成る
      カエルデの短縮形がカエデなり
      柿の木も今は無くなり法隆寺


(神戸市・涌羅由美)
〇  汗まみれ涙まみれの迷子かな

 〔返〕  汗まみれいばり塗れの捨て子かな
      汗まみれ川内優輝のゴールイン
      汗まみれ血まみれ相撲の大砂嵐


(鹿児島市・青野迦葉)
〇  鹿児島や涼しき夏を重ねつつ

 〔返〕  鹿児島や錦江湾に虹が立つ
      鹿児島の土産カルカン旨く無し
      鹿児島は桜島から灰が降る


(糸島市・白仁野火人)
〇  白地着て白き褌も思ひ立つ

 〔返〕  紺絣姿婀娜なる若女将
      白地着て白きふんどし黒き魔羅
      白地着て黒き日傘を差しにけり


(東京都・三浦民男)
〇  ステッキも同じ花柄夏帽子

 〔返〕  ステッキは仕込み杖とか伝右衛門
      花柄の夏帽子など在るもんか
      ステッキを突けば紳士の大正期


(朝霞市・小島雨花)
〇  まだ若き夏愛したり白い雲

 〔返〕  まだ若き芸者小夏の愛しけれ
      初夏を若き夏とは謂ひ得たり
      黒雲のむくむく湧いた晩夏かな



(城陽市・山仲勉)
〇  知らぬ間に紅付けらるる鬼百合に

 〔返〕  鬼百合と呼ばれし程のじゃじゃ馬さ
      鬼百合はユリ科ユリ属の植物だ
      鬼百合はユリ科ユリ属<葉は互生>


(霧島市・久野茂樹)
〇  蟻のごと草臥れはてし日本人

 〔返〕  この夏の暑さ厳しく氷水
      蟻ほどは働かないぞ日本人
      草臥れて句評止めたり鳥羽省三

今週の朝日俳壇から(8月4日掲載・其のⅡ・猛暑手抜き版)

2014年08月06日 | 今週の朝日俳壇から
[大串章選]

(高岡市・野尻徹治)
〇  荒梅雨や怒髪天衝くこと許り

 〔返〕  怒っても髪は天まで届かざる
      怒髪天衝く事もあり悔しくて


(みよし市・稲垣長)
〇  炎天に烈火のごとき意志ありて

 〔返〕  運転手烈火の如き表情に
      運転手煉瓦のビルに突っ込めり


(合志市・坂田美代子)
〇  今生の今を必死に蝉鳴けり

 〔返〕  根性を込めて鳴くのか蝉時雨
      今生の思ひ出にせよSTAP細胞


(越谷市・伊藤とし昭)
〇  太陽の写真一枚敗戦日

 〔返〕  終戦のあの日の天気良かったな
      敗戦の年の田圃の実りかな


(福山市・高橋波瑠美)
〇  死に近き父の正座や終戦日

 〔返〕  敗戦日とは言ひもせぬ頑固さよ
      負けたとは言ひもせずして笊碁かな


(東かがわ市・桑島正樹)
〇  初蝉の声にためらひ無かりけり

 〔返〕  鶯の躊躇いつつも谷渡り
      雷鳥の声にためらひ夏山行


(大牟田市・伊藤かもめ)
〇  流木は晩夏の海の忘れもの

 〔返〕  流れ藻も晩夏の海の忘れもの
      泣き砂を今年の夏の思い出に


(さいたま市・齋藤紀子)
〇  無言にて少年鮎をくれにけり

 〔返〕  無言にて鮎を呉れたる児は優し
      少年に無言の礼を言ひにけり


(泉南市・西知子)
〇  天牛を描けば放つと約束し

 〔返〕  天牛は髪切虫ぞ即放せ
      天牛は毛切り虫とも謂ふさうだ


(渋川市・山本素竹)
〇  一匹の蚊に一本の手の痒さ

 〔返〕  一匹に二箇所刺されて二度痒し
      一匹に二度も刺されりゃ痒かろう