[佐佐木幸綱選]
(久留米市・塩山雅之)
〇 水路沿いジャンボタニシの殖えゆきて早苗の水田にビンクあいなし
「ジャンボタニシ」の皮膚はかなりエロティックなピンクで、しかも、胎内には毒々しいばかりに鮮明なピンクの卵を孕んでいるのである。
その点に着目した本作の作者は、私が想像している以上に好色なのかも知れません。
〔返〕 あいなしと仰いますがなかなかの艶福家かも塩山雅之氏
(三原市・岡田独甫)
〇 恣意的に憲法解釈する者の言う歯止めなど当てにはならぬ
主題は言わずと知れた「解釈改憲反対」。
憲法九条の改悪に反対するならば、ただ単に「閣議に拠る解釈変更」に反対するのみならず、現行憲法の改正を企てる輩に身体ごと突撃して行くぐらいの覚悟をしなければなりません。
それにも関わらず、本作の作者がお住いの広島県選挙区から選出されている衆議院議員は、七名中の六名までが自民党所属議員ではありませんか。
しかも残り一人は、元々からコチコチの改憲派議員である無所属の亀井静香議員(第六区選出)ではありませんか。
彼ら改憲派議員を選出したのは、檀家制度に守られたお寺さんなどの地元の有力者とその取り巻きどもではありませんか。
第二次世界大戦以前の日本人の大半は、人権思想などは爪の垢ほども持っていなかったので、一銭五厘の赤紙一枚で泣く泣く妻子と別れて出征して死んだのであったが、人権思想が世界中に行き亘った現在に於いては、「戦場に駆り出されてミサイルの的となって死んでも宜しい」などと気前のいい事を口にする国民は誰一人としていないと思われます。
したがって、私たち日本人は、東アジアの防衛環境に如何なる変化があろうとも、憲法九条の抑止力に頼るしか手がありません。
それが解っているならば、岡田独甫さんも力の及ぶ限りに於いて、布教活動と共に「憲法改悪反対運動」を檀家の方々と共に展開するべきではありませんか?
〔返〕 改憲派の陰謀に絶対屈するな亀井小島は何する者ぞ!
(沼津市・石川義倫)
〇 入口に近きは上等兵ばかり村の軍人墓地に又夏
「入口に近きは上等兵ばかり」という上の句が、それとなく作中の「村」の貧しさを物語っていて、忽せには出来ない作品ではあるが、又もや、朝日新聞社の「解釈改憲反対キャンペン」に迎合している如き作品である。
事の是非はともかくとして、「解釈改憲反対キャンペン」に迎合するかの如き態度では、真の意味の歌詠みとは言えません。
それにしても興味深いのは、「入口に近きは上等兵ばかり」という詠い出しである。
作中の「村の軍人墓地」には、下士官や将校クラスの英霊は埋葬されていないのでありましょうか。
それとも、件の「村」の出征兵士の全ては、いわゆる「兵卒」ばかりであったのでありましょうか?
〔返〕 入口に近き墓地なら安価です清心苑墓地只今特売
(西海市・前田一揆)
〇 武器これを防衛装備と言い換えて儲け企む言霊の国
本作も亦、朝日新聞社の「解釈改憲反対キャンペン」に迎合するが如き作品である。
これ程までに並べ立てられますと「言霊の国」の住民の一人としては、文句の一つや二つぐらいは言いたくもなりますよ!
〔返〕 屑肉を新鮮ですよと言い立てて儲け企む経済大国
(名古屋市・諏訪兼位)
〇 赤き鹿六頭描かれし弥生期の筒型土器が稲沢に出づ
「稲沢市一色青海遺跡出土の絵画土器について」というタイトルの発掘報告書が愛知県埋蔵文化財センター発行の『研究紀要』(第11号)に掲載されている。
その中から本作の記述に関連する箇所を抜粋して示すと次の通りである。
即ち、「鹿の絵は体部外面に、縦方向に6頭、頭部を右にして描かれている。土器焼成前に、まず、浅く線刻で下書きをおこない、その上から、同じく焼成前に、ベンガラを用いて面的に塗っている。胴部より尻尾にかけては、器面の剥落が著しく、遺存状況は悪いが、上の 2 頭に関しては、線刻が比較的よく残っている。線刻は、通常の線刻土器よりもかなり浅いことから、当初からベンガラを塗ることを想定した、あくまでも下書きとして描かれていたようである。頭部は耳あるいは角をV字に描いたのち、鼻先を描いている。頸部は1本線、胴部は2本線で表現し、胴部を描いたのちに、足を描いている」と。
本ブログの読者の皆様方よ、何卒、前掲の報告書の抜き書きをご参照のうえ、本作を鑑賞されたし。
(フランス・松浦のぶこ)
〇 ゆったりと往く男らの長衣(カフタン)の裾吹き上ぐるはつ夏の風
「カフタン」とは、「トルコの民族衣装の一つであり、気温が高く砂地が多い地域に適応したもので、体を覆う部分は多いものの緩やかな仕立てで風通しを良くし強い日差しから皮膚を守るように作られている」とか。
したがって、一句目の「ゆったりと」という五音は、直接的には「往く」に係って行くのであるが、それと共に「タフタン」なる民族衣装が、風通しを良くする為にゆったり目に作られているという事も示しているのでありましょう。
ところで、本作の作者・松浦のぶこさんにお訊ね致しますが、本作は原作通りに掲載されているのでありましょうか?
〔返〕 ゆったりとシャンゼリゼを往くTurksのカフタンの裾吹き上げる風よ
(熱海市・山口智恵子)
〇 マニキュアも浴衣の布もシロップも色を選んで夏の始まり
二句目の「浴衣の布も」の「の布」は、音数合わせみたいな感じである。
〔返〕 グラサンも浴衣も肌もおビールも黒く染まって夏の真盛り
(館山市・中原千絵子)
〇 台風が明日は来るのに青葉木菟ホッホ、ホッホと上機嫌なり
昨晩、我が家の裏庭で啼いていた「青葉木菟」の声は、私の気の所為か「ケイキノイイホウ、ケイキノイイホウ」と聴こえました。
でも、今日は、この夏休みに北海道旅行に出掛ける二人の孫にお餞別を遣るなど、あまり景気が良くはありませんでした。
〔返〕 先日は大きな花束今日は今日餞別二万遣るも遣ったり!
(八王子市・江藤幸代)
〇 雨後の森百合咲く小道穴だらけ百合根旨いか猪親子
山百合の十株や二十株ぐらいは何のその!
我が家ではカサブランカの球根を二百株も隣の米屋の倉庫から逃げて来た鼠どもに食べられましたよ!
〔返〕 羽後秋田被災県でも無かろうに人口減少率我が国ナンバーワン
(船橋市・川上美栄子)
〇 梔子が香れば私十五歳白い色した初夏の恋
十五歳とは「美栄子」さんというお名前に相応しからぬ御年でありますことよ!
〔返〕 梔子が香らなくても十五歳結婚するのはまだまだ先だ
(久留米市・塩山雅之)
〇 水路沿いジャンボタニシの殖えゆきて早苗の水田にビンクあいなし
「ジャンボタニシ」の皮膚はかなりエロティックなピンクで、しかも、胎内には毒々しいばかりに鮮明なピンクの卵を孕んでいるのである。
その点に着目した本作の作者は、私が想像している以上に好色なのかも知れません。
〔返〕 あいなしと仰いますがなかなかの艶福家かも塩山雅之氏
(三原市・岡田独甫)
〇 恣意的に憲法解釈する者の言う歯止めなど当てにはならぬ
主題は言わずと知れた「解釈改憲反対」。
憲法九条の改悪に反対するならば、ただ単に「閣議に拠る解釈変更」に反対するのみならず、現行憲法の改正を企てる輩に身体ごと突撃して行くぐらいの覚悟をしなければなりません。
それにも関わらず、本作の作者がお住いの広島県選挙区から選出されている衆議院議員は、七名中の六名までが自民党所属議員ではありませんか。
しかも残り一人は、元々からコチコチの改憲派議員である無所属の亀井静香議員(第六区選出)ではありませんか。
彼ら改憲派議員を選出したのは、檀家制度に守られたお寺さんなどの地元の有力者とその取り巻きどもではありませんか。
第二次世界大戦以前の日本人の大半は、人権思想などは爪の垢ほども持っていなかったので、一銭五厘の赤紙一枚で泣く泣く妻子と別れて出征して死んだのであったが、人権思想が世界中に行き亘った現在に於いては、「戦場に駆り出されてミサイルの的となって死んでも宜しい」などと気前のいい事を口にする国民は誰一人としていないと思われます。
したがって、私たち日本人は、東アジアの防衛環境に如何なる変化があろうとも、憲法九条の抑止力に頼るしか手がありません。
それが解っているならば、岡田独甫さんも力の及ぶ限りに於いて、布教活動と共に「憲法改悪反対運動」を檀家の方々と共に展開するべきではありませんか?
〔返〕 改憲派の陰謀に絶対屈するな亀井小島は何する者ぞ!
(沼津市・石川義倫)
〇 入口に近きは上等兵ばかり村の軍人墓地に又夏
「入口に近きは上等兵ばかり」という上の句が、それとなく作中の「村」の貧しさを物語っていて、忽せには出来ない作品ではあるが、又もや、朝日新聞社の「解釈改憲反対キャンペン」に迎合している如き作品である。
事の是非はともかくとして、「解釈改憲反対キャンペン」に迎合するかの如き態度では、真の意味の歌詠みとは言えません。
それにしても興味深いのは、「入口に近きは上等兵ばかり」という詠い出しである。
作中の「村の軍人墓地」には、下士官や将校クラスの英霊は埋葬されていないのでありましょうか。
それとも、件の「村」の出征兵士の全ては、いわゆる「兵卒」ばかりであったのでありましょうか?
〔返〕 入口に近き墓地なら安価です清心苑墓地只今特売
(西海市・前田一揆)
〇 武器これを防衛装備と言い換えて儲け企む言霊の国
本作も亦、朝日新聞社の「解釈改憲反対キャンペン」に迎合するが如き作品である。
これ程までに並べ立てられますと「言霊の国」の住民の一人としては、文句の一つや二つぐらいは言いたくもなりますよ!
〔返〕 屑肉を新鮮ですよと言い立てて儲け企む経済大国
(名古屋市・諏訪兼位)
〇 赤き鹿六頭描かれし弥生期の筒型土器が稲沢に出づ
「稲沢市一色青海遺跡出土の絵画土器について」というタイトルの発掘報告書が愛知県埋蔵文化財センター発行の『研究紀要』(第11号)に掲載されている。
その中から本作の記述に関連する箇所を抜粋して示すと次の通りである。
即ち、「鹿の絵は体部外面に、縦方向に6頭、頭部を右にして描かれている。土器焼成前に、まず、浅く線刻で下書きをおこない、その上から、同じく焼成前に、ベンガラを用いて面的に塗っている。胴部より尻尾にかけては、器面の剥落が著しく、遺存状況は悪いが、上の 2 頭に関しては、線刻が比較的よく残っている。線刻は、通常の線刻土器よりもかなり浅いことから、当初からベンガラを塗ることを想定した、あくまでも下書きとして描かれていたようである。頭部は耳あるいは角をV字に描いたのち、鼻先を描いている。頸部は1本線、胴部は2本線で表現し、胴部を描いたのちに、足を描いている」と。
本ブログの読者の皆様方よ、何卒、前掲の報告書の抜き書きをご参照のうえ、本作を鑑賞されたし。
(フランス・松浦のぶこ)
〇 ゆったりと往く男らの長衣(カフタン)の裾吹き上ぐるはつ夏の風
「カフタン」とは、「トルコの民族衣装の一つであり、気温が高く砂地が多い地域に適応したもので、体を覆う部分は多いものの緩やかな仕立てで風通しを良くし強い日差しから皮膚を守るように作られている」とか。
したがって、一句目の「ゆったりと」という五音は、直接的には「往く」に係って行くのであるが、それと共に「タフタン」なる民族衣装が、風通しを良くする為にゆったり目に作られているという事も示しているのでありましょう。
ところで、本作の作者・松浦のぶこさんにお訊ね致しますが、本作は原作通りに掲載されているのでありましょうか?
〔返〕 ゆったりとシャンゼリゼを往くTurksのカフタンの裾吹き上げる風よ
(熱海市・山口智恵子)
〇 マニキュアも浴衣の布もシロップも色を選んで夏の始まり
二句目の「浴衣の布も」の「の布」は、音数合わせみたいな感じである。
〔返〕 グラサンも浴衣も肌もおビールも黒く染まって夏の真盛り
(館山市・中原千絵子)
〇 台風が明日は来るのに青葉木菟ホッホ、ホッホと上機嫌なり
昨晩、我が家の裏庭で啼いていた「青葉木菟」の声は、私の気の所為か「ケイキノイイホウ、ケイキノイイホウ」と聴こえました。
でも、今日は、この夏休みに北海道旅行に出掛ける二人の孫にお餞別を遣るなど、あまり景気が良くはありませんでした。
〔返〕 先日は大きな花束今日は今日餞別二万遣るも遣ったり!
(八王子市・江藤幸代)
〇 雨後の森百合咲く小道穴だらけ百合根旨いか猪親子
山百合の十株や二十株ぐらいは何のその!
我が家ではカサブランカの球根を二百株も隣の米屋の倉庫から逃げて来た鼠どもに食べられましたよ!
〔返〕 羽後秋田被災県でも無かろうに人口減少率我が国ナンバーワン
(船橋市・川上美栄子)
〇 梔子が香れば私十五歳白い色した初夏の恋
十五歳とは「美栄子」さんというお名前に相応しからぬ御年でありますことよ!
〔返〕 梔子が香らなくても十五歳結婚するのはまだまだ先だ