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◎フルトヴェングラー指揮ウィーン・フィル(西ドイツ放送局管弦楽団?)(FONIT CETRA/ORFEO他)1953/8/30ザルツブルグlive・CD
テープ音源であるEMI盤と同じ日付がしるされ、同一演奏異マスターであることを示唆しているが、一部で偽演もしくは演奏日違いという指摘もあるので?付で別項としてあげた(2013年補:orfeoより改めてボックス収録されたため?を外した)。なぜそういうことが言われるかというと、この盤は余りに音が良過ぎるのである。変な操作もなく、演奏中の客席のざわめき(フルヴェンというよりヒンデミットへの反応と思われる)まで聞き取れる。よく知られたことだが戦後イタリアのお金持ちやらなんやらが中欧の放送用などマスターもしくはそれに近い音源を大量に買取り、それがCETRAやカナダではあるがROCOCOなどに流れて「妙に音質のよい海賊盤」として出回った。その一枚というわけである。
これはあきらかにEMIなど比べ物にならない新しくクリアな音で(戸惑い気味の終演後拍手では撚れが出るが)、もっとも詳細確認をしていないので同一録音のマスターに近いものなのかどうか、冒頭にのべたとおり別物なのかわからない。ただ、演奏自体フルヴェンとしか思えない異常なオケのノリがあり(ヒンデミット事件のこともあるしもともと保守派の多い土地でもあるし客席はぽかーんだが)、しかも書いてあるとおりVPOとするならここまでベルリン臭い集中力の高い正確な音に作り変えられたのは、同時期においてフルヴェンをおいて他にない気がする。
この録音はテンションだけでいっても、演奏自体の完成度、理解度からいっても作曲家自作自演に比肩するもので、ほんとにフルヴェンだとしたら、よくやってくれた、よくオケにここまでノらせて最後のあの凄まじい高揚までをスピーディに力強く完璧に表現してくれた(スコア解釈上ここはけっこう落ち着いてしまいがちで(高音打楽器の緩徐部を必要以上にひっぱったり最後のアッチェルすべきところを弦に気遣ってまったくテンポアップしなかったり)ムラヴィンなどはそこが痛いのだが、旧い演奏はこのように突っ走るのが常だったようだ)、そしてこんなクリアな録音がよく残っていてくれたと思う。世界の調和交響曲の叙情的でロマン的な真価がはっきり見える非常に美しく確信に満ちた演奏であり、偽演だとしたらその指揮者に拍手をおくろう(力感溢れるもっていきかたはいかにもフルヴェン的だがフルヴェンの一回性の独特の解釈が余り盛り込まれていない、率直すぎるようにも思う)。フルヴェンの世界の調和を聞くならこの盤しかありえません。今改めておもった。録音状態の問題はつくづく大きい。

◎フルトヴェングラー指揮ウィーン・フィル(西ドイツ放送局管弦楽団?)(FONIT CETRA/ORFEO他)1953/8/30ザルツブルグlive・CD
テープ音源であるEMI盤と同じ日付がしるされ、同一演奏異マスターであることを示唆しているが、一部で偽演もしくは演奏日違いという指摘もあるので?付で別項としてあげた(2013年補:orfeoより改めてボックス収録されたため?を外した)。なぜそういうことが言われるかというと、この盤は余りに音が良過ぎるのである。変な操作もなく、演奏中の客席のざわめき(フルヴェンというよりヒンデミットへの反応と思われる)まで聞き取れる。よく知られたことだが戦後イタリアのお金持ちやらなんやらが中欧の放送用などマスターもしくはそれに近い音源を大量に買取り、それがCETRAやカナダではあるがROCOCOなどに流れて「妙に音質のよい海賊盤」として出回った。その一枚というわけである。
これはあきらかにEMIなど比べ物にならない新しくクリアな音で(戸惑い気味の終演後拍手では撚れが出るが)、もっとも詳細確認をしていないので同一録音のマスターに近いものなのかどうか、冒頭にのべたとおり別物なのかわからない。ただ、演奏自体フルヴェンとしか思えない異常なオケのノリがあり(ヒンデミット事件のこともあるしもともと保守派の多い土地でもあるし客席はぽかーんだが)、しかも書いてあるとおりVPOとするならここまでベルリン臭い集中力の高い正確な音に作り変えられたのは、同時期においてフルヴェンをおいて他にない気がする。
この録音はテンションだけでいっても、演奏自体の完成度、理解度からいっても作曲家自作自演に比肩するもので、ほんとにフルヴェンだとしたら、よくやってくれた、よくオケにここまでノらせて最後のあの凄まじい高揚までをスピーディに力強く完璧に表現してくれた(スコア解釈上ここはけっこう落ち着いてしまいがちで(高音打楽器の緩徐部を必要以上にひっぱったり最後のアッチェルすべきところを弦に気遣ってまったくテンポアップしなかったり)ムラヴィンなどはそこが痛いのだが、旧い演奏はこのように突っ走るのが常だったようだ)、そしてこんなクリアな録音がよく残っていてくれたと思う。世界の調和交響曲の叙情的でロマン的な真価がはっきり見える非常に美しく確信に満ちた演奏であり、偽演だとしたらその指揮者に拍手をおくろう(力感溢れるもっていきかたはいかにもフルヴェン的だがフルヴェンの一回性の独特の解釈が余り盛り込まれていない、率直すぎるようにも思う)。フルヴェンの世界の調和を聞くならこの盤しかありえません。今改めておもった。録音状態の問題はつくづく大きい。