○メンゲルベルク指揮ACO1930年5月31日の有名な録音(pearlほか、最近物凄い廉価盤にも収録)、コッポラやラヴェル自身の録音と同時期だが、まるでカルメンとかそのへんを聴いているようなキッパリしたカッコよさが多分ラヴェルの気には入らない。トスカニーニよりハマっている。
ベートーヴェン四重奏団meldac旋律と裏の動き、という対比を強く意識した解釈は面白いと思った。それほどロシア的な演奏というふうでもないし、特別な空気も漂わせてはいないが、録音バランスなのか解釈なのか、とにかく前記のような所が面白いなと。
◎スヴェトラーノフ指揮USSRsoこれ、CD化までに時間がかかったが、阿鼻叫喚、とか先入観で聴かないで欲しい。それは最後だけ。これぞワルツ、指揮者の解釈が素晴らしい。ミュンシュよりよっぽどワルツだし(ほんとに踊れる)オケものっている。ライブmelodiya
○スロボディアニックpヴェルビツキー指揮USSRsoピアノはまともなのにオケがロシア。まるでエイコーラみたいな出だしから笑う。朗々と歌うペットからして別の曲のようで、響きは重いが個性的。後半凄い。技術的にはどちらも○。心得ている。録音△melodiya
ミケランジェリ(p)マルケヴィッチ指揮聖チチェリア音楽院管弦楽団(tahra)。収録音量が小さすぎなのはともかく、オケがついてってない。事故多発。ミケランジェリは醒めた音だがニュアンスには富んでいてテクニックも完璧。速いパセージでオケを置いてきぼりにするのはオケが悪い指揮者が悪い。
モイセイヴィチ(p)サージェント指揮BBCso(bbc)。モイセイヴィチはモノトーンで味がないがそつもない。サージェントのしなやかで活気あるバックに注聴。意のままにオケを操り甘甘の曲を爽快に描ききる。オケに厳しい指揮者は良い。
アルカナ四重奏団(cybelia)。ミヨーの中でも取っつきやすい曲。複調性が非常に上手く使われている。全集の一枚で(団体は異なる)かつてこれしかなかった。録音もじっさい音も鄙びているが、それなりの味がある。技術的に舌足らずなところあり。
(fbro)Ortf。ロココ風の意。人気曲でデュカス的鈍重作風とは違いドビュッシー後発イベールらサロン的室内楽。聴きやすい。技術的にも音質的にも現代的な良い演奏。
○ヴォルフ指揮Ortf(fbro)テンポは落ち着いているがリズムの取り方がとにかく上手く、心地よい。音は色彩に富みコード変化が明瞭。ロザンタールに似ている。曲ごとに表現をやや変え、処々ツボを押さえた佳演。聴き応えある。
サージェント指揮BBCso&cho他54年プロムス(BBC)。人気曲。ドビュッシー熱が残る曲だがよりにもよって海からの借用部分を含む断片(弟子コンスタン・ランバートが他曲で指摘)。合唱の扱いは海の交響曲に近い。
セルメ(p)モンテカルロフィル(AV)殆んど唯一の録音。複雑で多様式、構造の中に音が詰め込まれ、独特の音線も異様な印象を与える。オネゲルを思わせる部分もある。スクリアビンの影響という点ではシマノフスキと同源だが、同名曲の新古典主義とは程遠い。
デゾルミエール指揮(lys他)ソプラノ独唱と簡素なオケが楽章間の性格の違いはあれど共通して平明でわかりやすいソーゲ的な作品。音楽的にどこにも引っ掛かりが無いので歌唱頼り。録音はよくレストアされておりノイズがない。演奏はさすがにこなれている。後発既出。
○デゾルミエール指揮パリ音楽院管弦楽団、短い管弦楽曲。キッチュで時代と国をよく反映した作品。わりと楽しめる。デゾルミエールは躍動感ある。(lys)現状lysのみ(SP復刻)
ロリオ、デゾルミエール指揮パリ音楽院管弦楽団(lys他)メシアンは大戦前後デゾルミエールの擁護した最も尖鋭な作曲家の一人だが、拡がりがなく立体感も透明感もない録音ではオンド・マルトノも隠れてしまい精妙な個性が失われてしまう。初録音だがあまり推せない。
バイロン(p)デゾルミエール、パリ音楽院o(lys他)。同時代の新古典的なピアノ協奏曲群と歩調の合った作品で、プロコフィエフの1番の影響がある。ミヨーよりも保守的だが特有のリリシズム、世俗性を感じさせる所もある。独奏は巧みだがオケはだらしない。