湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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チャイコフスキー:弦楽六重奏曲「フィレンツェの思い出」

2018年04月18日 | Weblog
グァルネリ四重奏団、クロイト(2Va)シュナイダー(2Vc)(BMGvictor/SLS他)1965-66・CD

しまった。詳細データがなかったのでSLSだからSP起こし、戦前録音だと思っていたらこれ昔国内盤CDにもなってた、最近まで活動していたほうのガルネリ四重奏団ではないか(ほんっとにややこしい)。どっちみち持ってなかったのでいいけど、データ無しは注意しないとならないレーベルSLS。ちなみに組み合わせもLP、CDの正規セッション盤と同じスメタナのわが生涯より。これはLP起こしのようだ。ノイズはともかく、厚みのある音で、こういうたぐいの音はむかしのCDだと冷たく現代的に感じたかもしれない。CD-R化してるんだから結局デジタルなんだけど、やはり拾う音は異なる。民族的な雰囲気の濃厚な曲で、どこがフィレンツェなんだ、というようなチャイコフスキーでもかなり国民楽派的な作品。ソリスティックな動きを交え旋律線を数珠繋いでいく、この分厚さがないと説得力ある響きが出ず、安っぽくなっていただろう。プロなら大して難しくないであろう早弾きも、小規模なアンサンブル曲に散らされるとそれはそれでこわいものであり、グァルネリの力強くも「教師的な演奏」は崩れる心配をせず安心して聴ける。チャイコフスキー特有の色調の変化のなさも、響きの重厚さで力づくで聞かせてくることもあり、そうは感じさせない。スタジオ録音だから低音楽器がよく捉えられ、チェロが役割をしっかり果たしているのもよく聴こえる。気合の入った演奏ではあるのだが、恥ずかしい旋律、赤面するような演歌を誇張せずきっちりすんなり通していくので、良い歌も同じトーンで素通りさせてしまい、印象に残るものはそう多くないかもしれない。テンポがところどころ落ち着くのはアンサンブル上の都合というか、セッション録音だからと思う。しても上手い、それは認めねばなるまい。一番の聞かせどころである四楽章の盛り立て方はまずまずだが、メロディにインパクトが欲しいし、チャイコフスキー特有の異様に開放感を煽る移調や突然挿入される古典ふう構造的書法の再現は巧すぎて、そういうところが時代を超越して「凄い才能」であることに気づかせない。テンションは素晴らしいものだ。このスピードで乱れぬフィナーレはなかなか聴けない。何度も聴けるたぐいの演奏だが、ロシアの演奏に慣れていると物足りなかったり、別の曲を聴いている気になるかもしれない。
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