湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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ウォルトン:管弦楽のためのパルティータ

2007年03月29日 | イギリス
○バルビローリ指揮ボストン交響楽団(DA:CD-R)1959/1/29live

初演後まもない演奏でDAはエアチェックの音のみ。一部情報ではVAIの映像が同じものとされるが(ブラ2など30日のライヴとのカップリングという説)VAI盤には2月3日の表記と同日プログラム写真を含む詳細が記載されているので別としておく。ステレオでソリッドで高音域も比較的よく捉えられているがボストンライヴ記録の常、輪郭がちょっとボロけている。演奏はちょっとバルビのコントロールでは無理なくらい早くかなりのバラケ味が感じられる1楽章からあれ、と思わせる感じがある。ごちゃっとしてしまうのがウォルトンの複雑な書法だが、太鼓などのリズム要素強調とアーティキュレーションの強さで力づくで押し切る方法で乗り切っているのはいかにもバルビの50年代といったふうで好きな人は好きだろう。セルを意識しているのかもしれない。アメリカ的ともいえ、比較的軽く明るい感じがある。2楽章はシニカルで末流ロマン派の香りたっぷり。軽妙で妖しい調子はラフマニノフ晩年に似ていなくも無いが、バルビは引き締まった音響表現で魅せている。晩年とはまた違った若いドライヴ感が維持されている。この楽章ではソリストの表現の深さや独特さ含め、合奏協奏曲的な楽曲構成を繊細に、しかし芯の通った表現でまとめて秀逸である。旋律性がよく浮き彫りにされている。3楽章は一段と速く、そのスピードによってリズムを生み出そうとしているような感じがあるが、オケコントロールはさすが巧い。フレージング指示に弛緩がなく、スピードだけにならずリズムだけの舞踏音楽にもせず、アメリカ的な破天荒なペット以下ブラスの咆哮のおかしみ、また中低音域でうねる余りにシニカルな半音階的楽想がバルビの旋律的な音楽美学とあいまって重層的な深みをかもし、単なる表層的な喜遊曲ではないところを魅せて面白い。乱れなのか意図なのかというところもあり、この演奏ではなかなかに聞かせる楽章となっている。やや浅さもあるものの○。

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