湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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☆プーランク:六重奏曲(ピアノ、フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン)1930ー32、改訂39ー40

2017年12月27日 | Weblog
<プーランクの曲は多様だ。それは技法が探索され尽くしたあとの芸術の有り様を示している。20世紀の作曲家。ストラヴィンスキー、ラヴェル、プロコフィエフ、エリック・サティ、様々な同時代人の息吹を吸収して自己の作風に取り込んでいった作曲家。その姿は初期のミヨーに似ているけれども、肩肘張らずに音を愉しみ酒を傾ける人々のかたわらで、アップライト・ピアノの上にグラスを置いたまま、笑いながらかなでる類の気軽な音楽は、フランス六人組で最も人気のある作曲家たらしめている。おカタイ芸術至上家は「モーツアルトの再来」とたたえたが、少し違うように思う。即興的で一種ジャズ風ともいえる小曲の数々を注意深く見るならば、”無類のレコード好き”の、数々の音楽経験が結晶している様を至る所に見ることができよう。又、わかりやすい・・・深刻な「カルメル派修道女の会話」でさえ、わかりやすい・・・場面の数々をつなぐのは、オネゲル風の渋い音響であることにも気が付くだろう。プーランク自身の音楽評論などを読むと、この人は決して快楽主義的作家なぞではなく、新ウィーン楽派以降の音や、中期より後のストラヴィンスキーに敬服するような趣味の作曲家だったことに今更ながら気付かされる・・・そう「前衛」だったのだ、かつては・・・。プロフェッショナルな作曲家としてのアイデンティティを、自身の音楽的探求(研究)から完全に切り離していたようだ。自分の中の「音楽的系統樹」の、決して幹の方ではなく一枝の先端に、「プーランク」という作曲家の名をぶら下げ、飄々としていたのだ。まさしく六人組、フランスの作曲家。さてこの管楽とピアノの為の組曲は、プーランク室内楽の最良の所を見せている。愉しさの面でも何気ない渋味の面でも、ノスタルジック、だが乾いているこの作家独特の感性をひときわ強く感じさせてくれる。ききどころは終楽章、喜遊的な律動と感傷的な旋律の応酬だ。 >


◎ジャン・フランセ(P)デュフレーヌ(Fl)ほかORTF(フランス国立放送管弦楽団)管楽メンバー(EMI等(国内盤で「デュフレーヌの芸術」の1枚としてCD化している))CD

ジャン・フランセのピアノは驚異的で、他メンバーの技術も冴え渡っており、今後もこれを超えるものは現れないのではないか?フランセは「イベールの息子」とも呼ばれるが、その作風はプーランクとミヨーの良質な部分を重ね合わせたようなところがあり、異常なまでの適性をここでは感じる。兎に角巧いピアノだ。又この古いモノラルの音からは、古い映画の背景音楽のような芳香が立ち昇っており、感動的ですらある。だがベタベタせず下品にならない。曲の良さを曲自体の価値以上に引き出している類の演奏だ。

※2004年以前の記事です
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