○R.カサドシュ(P)シェルヒェン指揮ケルン放送交響楽団(TAHRA)1957/3/11LIVE・CD
冒頭からやけにリアルなシェルヒェンの重厚音でねっとり始まるが、いきなりカサドシュ、ミスタッチが目立つ。打鍵が弱いわけではないが指の力弱さは感じられる。ひとしきり盛大にやられた(シェルヒェンはこの後も驚異的なスケールと明確さでロスバウトの先輩たる威厳をみせていく)提示主題への答唱がピアノソロで返される部分で初めてリリカルな美質を魅せ始めるが、本当に力が出ているのは末尾のソロのほうだろう。荒くミスはあるが、豊潤なしかし冷たいラヴェルを理性的に表現しきっている。音質の制御も荒くリリカルさが保てていない感もあるが、シェルヒェンの破壊的な表現に呑まれているだけかもしれない。おもしろいが一級とは言えず、カサドシュにしても成功はしていないほうだが、シェルヒェンの実力がよくわかる。○。TAHRAの発掘で拍手はカットされているがシェルヒェンライヴとしてはかなり明快な録音。併録のモルダウとチャイ4はいずれも既出WESTMINSTER正規音源。TAHRAは最近このての抱き合わせが目立つ。発掘が難しくなってきたということか。
冒頭からやけにリアルなシェルヒェンの重厚音でねっとり始まるが、いきなりカサドシュ、ミスタッチが目立つ。打鍵が弱いわけではないが指の力弱さは感じられる。ひとしきり盛大にやられた(シェルヒェンはこの後も驚異的なスケールと明確さでロスバウトの先輩たる威厳をみせていく)提示主題への答唱がピアノソロで返される部分で初めてリリカルな美質を魅せ始めるが、本当に力が出ているのは末尾のソロのほうだろう。荒くミスはあるが、豊潤なしかし冷たいラヴェルを理性的に表現しきっている。音質の制御も荒くリリカルさが保てていない感もあるが、シェルヒェンの破壊的な表現に呑まれているだけかもしれない。おもしろいが一級とは言えず、カサドシュにしても成功はしていないほうだが、シェルヒェンの実力がよくわかる。○。TAHRAの発掘で拍手はカットされているがシェルヒェンライヴとしてはかなり明快な録音。併録のモルダウとチャイ4はいずれも既出WESTMINSTER正規音源。TAHRAは最近このての抱き合わせが目立つ。発掘が難しくなってきたということか。