湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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ブリテン:弦楽四重奏曲第1番

2007年10月17日 | イギリス
○パガニーニ四重奏団(liberty)LP

同時代にはわりと受けた曲のようでスメタナQなんかも録音していたと思う。超高音メロディラインに低音のとつとつとしたピチカートといったブリテンらしい非構造的にして特有の清新静謐な主題から始まる1楽章(終楽章で回帰する)、しかし序奏部が終わり激しいリズムが刻まれだすと、おおむね東欧ふうのシニカルで現代的な表現が大衆的感覚によって聞きやすくされているといったかんじで、ブリテンならではとかイギリスならではといった部分は少ないように思う。諸所ショスタコをメロウにしたかのような曲想がみられるがここの相互的関係において、特に小規模な曲における共通した感覚・・・削ぎ落とされた抒情・・・が遡ってプロコの民族的な2番緩徐楽章にも共通するところがあり、同時代の色々な要素を吸収して完成されたブリテンという、私にとっては掴みどころの無い作曲家を象徴するようなかんじである。

この団体はオシゴト的な録音も残しているが、序奏部こそぶっきらぼうで乱雑なかんじがするものの、急峻な主部になるとがぜん本領を発揮。やわらかな音でいながら音程感が非常にしっかりしており音のキレもいちいち良い。3楽章あたりではチェロのソロが底から響く音ではないものの最盛期のロストロ先生を彷彿とさせる安定した音色と情緒のバランスが素晴らしい。大人のチェロだ。パガニーニが所持していたストラディヴァリウスだけを使用した団体として、テミヤンカ以外はメンバーチェンジはなはだしく表現もそれぞれで異なっているが、この演奏では楽器の「音響的には浅薄だけれどどこか音色に優しい独特の魅力のある」特性を活かしたところがいい。なかなか美しく聞けます。○。


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