湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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☆ヴォーン・ウィリアムズ:交響曲第9番(1958)

2017年11月28日 | Weblog
ボールト指揮

LPO(EVEREST)追悼コメント付き、旧録・CD

~没後間も無い録音。ボールトがやや即物的傾向を示していた時期のため、後出の新録に比べてざらざらとし聞き劣りがする。


◎LPO(EMI)1970・CD

~ヴォーン・ウィリアムズとは長いつきあいだったボールトの、極めつけの名演。同曲のスタンダードたるべき演奏。 弦楽器の共感に満ちた音が痛切に響きわたり、晦渋とされ物議を醸した同曲にはっきりとした意味を与えている。 夫人によれば作曲家は既に次の交響曲を準備しており、死は図らずも訪れた災難であったというが、この演奏の最後を聞くにつけ、さまざまな苦悩が光彩の中に昇華し消え行く概念は、それが死でしかありえないという結論を暗示しているように思えてならない。終盤スコアは浄化されるかのように白くなっていき、暗雲のように蠢く不定形な陰りは、サックスによる一筆を残して消え失せる。ささくれ立ったフレーズの数々は、やがてそれ自体無意味という悟りを得たかのように、解決の場を与えられないまま、響きの中に消滅してゆく。終末の壮麗な和音の向こうに、来るべき世界がある。懐かしいもの、決して忘れ得ないものの中に、行くべきところがはっきりと見える。晩年無宗教者であったというRVWの目前には、それでも神が降り立ったのだ。そしてあの「無」※という光の中に、いざなっていったのだ。…

※スコアは最後に一言"nothing"と書かれて終わっている。

2004年以前の記事です
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