湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第1番

2018年10月30日 | Weblog
パスカル四重奏団(ars nova/forgottenrecord)1962/5/23放送・CD

ars novaボックスに半年さきがけてfrがR化した放送音源について書いている(ars novaは基本は復刻らしいのでおそらく同じ音源だろう)。しっとり聴かせる前半楽章ではヴァイオリンのさざめ泣くような音色が印象的。バランスも良くチェロの音色もほどよく深い。注意深い足取りはきわめて単純化された書法の、それゆえ怖い構造を、音色や響きの変化を明らかにして色彩的にきかせる。3楽章は爆走はしないが飛ばしもきっちりブレがなくショスタコらしく機械的に、そのうえで抒情旋律が躍る。第二主題はどちらかというときっちりテンポを作りワルツを強調しないが、この曲ではそうでないと均整がとれないか。時代なりの響きの軋みが皆無とはいえないが古い録音ゆえよく伝わらないだけかもしれない。古式ゆかしい感情のほとばしる音がわくわくする4楽章。この楽章ばかりは軋みも味だろう。ライヴなので超高音がとれないのも仕方ない。「革命」の兄弟作品とされることもあるが、あちらより極度に凝縮され、そぎ落とし、より「わかりやすさ」を追求し、なおきわめてショスタコである。旋律音楽なので万人に勧められる。この演奏は個人的には好き。拍手はふつう。
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