湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

☆エルガー:行進曲「威風堂々」第1番

2017年06月16日 | イギリス
◎ケーゲル指揮ドレスデン・フィル(delta)CD

ケーゲルの好戦的な一面が非常に出た演奏。冷徹客観的な演奏も数多いが、ここではまるで表現主義的である。エキセントリックな変化をつけた演奏ぶり、鉈で次々と切り裂いていくような音表現はまさにケーゲルの魅力そのものである。極端に速いテンポでつんのめり気味に始まる序奏部はまるで機関銃で撃たれるようだ(再現部でも同様)。いきなりテンポダウンしての主部、まるで旧東側の行進そのものを見るような、ノリとかそういうものよりもびしっと揃ってみせるのが行進曲だ、とでも言いたげな、ノーブルさとはかけ離れた表現である。ディジタルなテンポ変化は主旋律の中でも極端につけられている。歌謡的な第二主題もドラムが強くブラスの開放的な旋律表現は憂愁とかそういったものは全く感じさせずひたすら偉容だけを見せ付ける。まあ、ケーゲルの魅力はこの短い曲で全てわかるし、これが極致でもあるので、この範囲内で面白みを見出せそうにないならケーゲルは聴かないほうがいい。コーダの急激なアッチェランドもケーゲルならではの無理を押し通したような表現で、うーん、やっぱりおかしいけど、面白い。◎。

※2008/1/24の記事です
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☆バーンスタイン:キャンディード序曲

2017年06月16日 | アメリカ
○コープランド指揮BBC交響楽団(DA:CD-R)1975/9/16live

コープランド得意な分野の音楽であり(バンスタが「得意な分野のオトコ」という意味ではない)透明感を保ちつつ派手めの響きでライヴ感ある演奏を繰り広げている。この人は客観的な指揮ぶりが有名だがこれは楽しい雰囲気になっており、BBC交響楽団の硬質な音とピタリ相性がいいこともあって、拍手喝采の終演になっている。○。

※2008/10/7の記事です
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☆バーンスタイン:交響曲第2番「不安の時代」

2017年06月16日 | Weblog
クーセヴィツキー指揮ボストン交響楽団、バーンスタイン(P)(BSO)1949/4/9初演(エピローグ・オリジナル版)LIVE・CD

いろいろな作曲家の影響が見えてくる作品。ブロッホめいた主題もあるし、ピアノ協奏曲ふうの部分はミヨーの それを彷彿とする。その他部分部分で同時代の作曲家たちの姿が透けてみえる。全般としてコープランド的なアメリカ・ロマンチシズムの延長上にはあるものの、コープランドの舞踏交響曲のように「昔ふうのモダニズム」の入った無調的なところがあり、案外人好きしない。クーセヴィツキーだからいくぶんわかりやすくきこえるのだろう。私は曲にも演奏にもあまり惹かれなかった。まあ音は悪いが、バーンスタインの強靭なタッチは聞きごたえがあるし、クーセヴィツキーの共感に満ちた起伏ある演奏ぶりはそれなりに感興をおぼえるところもあるから、ご興味があれば一聴を。無印。

※2004年以前の記事です
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シベリウス:交響曲第2番

2017年06月16日 | Weblog
コンドラシン指揮ORTF(ina配信)1974/11/6放送live

録音は僅か瑕疵があるがほとんど完璧なステレオ優秀録音。私は表面をなぞっただけのような(高音偏重だし)中身のよくわからない、シベリウスのシンフォニーは苦手なのだが、この曲ではチャイコフスキーあたりの気配を残していて、それでも二楽章など構造や構成に一歩進んだ深みを出す(却って国民楽派としては何言ってるのかわからない)のだが、楽章間の対比が和声的にもただ明るいだけであまり揺れずわりと一本調子の曲という総括になるので、コンドラシンのように最初から猛スピードでオケをぎりぎりと締め上げて機械的にドラマを盛り上げていく、大言壮語はその範疇で、というのは、シベリウス苦手派には聴きやすい。強奏ばかりで三楽章から四楽章への雪崩込みの大一番が際立たないなど、この曲の聞かせどころを強調はしないが、四楽章の弱音処理はそれまでにない柔らかく繊細でORTFならではのメリットを使っている。全般オケは素晴らしく技量を発揮し、ロシア式は無理だが、柔らかな個性をコンドラシンの指揮で雄渾な表現になんとか持っていっている。最後の管弦楽の饗宴の壮麗な構築ぶりは素晴らしく良い。ブラヴォも飛ぶ。コンドラシンはオケの構造的処理も良い。何でも振らなきゃならなかった指揮人生だからこのくらいでは動じない。惜しまれるのはこの道半ばで去世しなければならなかったことだろう。もっと西欧で円熟ぶりを見てみたかった。
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