湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

グリエール:交響詩「サイレン」

2006年09月23日 | グリエール
○ガウク指揮ソヴィエト国立放送交響楽団(melodiya)LP

サイレンというと今の人はゲームを思い浮かべるのか。厄介だな。「海の精」という訳されかたもするが、船乗りを妖しい声で誘惑し死に至らしめる海妖セイレーンのことだ。「イリヤ・ムーロメッツ」二楽章に非常に近似した内容の比較的前期作品であり、たまに現れる師匠グラズノフの影響が主として曲想にあらわれている。即ち交響詩「海」の世界を更に西欧的に複雑化しようとした感じなのだ。若きラヴェルらが惹かれたあのイマジネイティブな描写音楽は、リムスキーの弁を借りれば「過渡期作品」であったわけだが、今聴くとのちの作品よりも広い魅力を持っているように聞こえる。やや生臭さがあるのがグリエールの特徴だが、そっくりそのまま個性といってもよく、ガウクらしさの発揮できる爆発音楽ではないが、この作品をお国の同時代人が表現した記録として貴重ではあろう。○。

↓の評価ボタンを押してランキングをチェック!
素晴らしい すごい とても良い 良い

TREview『音楽・映画・テレビ』ブログランキング
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

グリエール:シャー・セネム

2005年02月23日 | グリエール
○作曲家/ストリアロフ指揮モスクワ放送管弦楽団、オルフェノフ、ラヒエフスカヤ(MELODIYA)1947/52・LP

リムスキーとハチャトゥリアンを足して二で割ったような音楽。スターリン様如何でしょう、という感じの完全にロシア国民楽派を範とした社会主義レアリズムの原点のような音楽。それでもリムスキー好きにはアピールするものはあると思う。適度に興奮もする。理論的に言えばこの民族音楽の源泉はどこぞのローカルでマニアックな民謡に当たるのだと思うが、フツーの耳で聞けばこれは紛れも無くシェヘラザードでありロシアの謝肉祭である。いくぶんマンネリズムを感じるが、とくに後半で+αを感じさせるようなちょっと面白い響きやリズムがあり、ハチャトゥリアン的感興が加わってくる。演奏自体はリッパ。オケが引き締まって素晴らしい舞踏音楽を演じきっている。思わずバレエの情景が浮かんできそう。作曲家とストリアロフのどちらがどこをやっているという解釈的な差異は殆どないから特に意識する必要はないと思う。録音が貧弱なのは仕方ない。○。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする