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【社説】 給油謝意決議 姑息では見透かされる

2007年09月22日 | スクラップ
2007年9月21日


 インド洋での日本の給油活動に謝意を表明した国連決議が採択された。政府が働きかけての唐突な決議は、対テロ戦争で悩ましい問題を抱える国際社会に姑息(こそく)と映らないか。それが心配だ。

 採択された安保理決議は、タリバン政権崩壊後のアフガニスタン新政権を支援するため結成された国際治安支援部隊(ISAF)の任務延長を認めるものだ。二〇〇一年採択以来毎年延長され、来月半ばの期限切れが迫っていた。

 決議本文は延長を認めるだけの短いものだが、前文で北大西洋条約機構(NATO)の活動や米軍中心の対テロ作戦「不朽の自由」(OEF)の必要性などに触れることで決議全体の意義付けをしている。

 謝意は「NATOの指導力や海上阻止行動を含め、ISAFとOEFへの各国の貢献に感謝を表明する」との表現で示されている。具体的な国名は記載されていないが、「海上阻止行動」の部分が「日本の貢献への謝意」(ハリルザド米国連大使)だとされる。

 肝心のアフガン情勢は、先月国連に提出されたNATO事務総長の現地報告が、北、中部などでの武装勢力掃討に一定の成果を認めつつ、南部を中心に暴力は依然続き、発生件数は昨年同期の二倍に達していると指摘している。イタリアの記者、韓国やドイツの民間人の悲惨な拉致事件も記憶に新しい。

 悪化する治安に参加各国の事情もさまざまだ。北部を中心に約三千五百人の兵力を派遣するドイツはこれまで三十人近い犠牲者を出し、国内世論は撤収論が大勢を占める。危険な南部地帯に展開している英、カナダ、オランダには、展開を拒む各国に対する不満も出ている。

 日本はISAFに直接参加せず、海上自衛隊による給油活動を続けてきた。安倍晋三首相は退陣表明直前の日米首脳会談でこの活動の根拠法であるテロ対策特措法延長を「国際公約」したが、延長阻止方針を堅持する民主党の反対で、めどは立っていない。日本政府が米国に強く働きかけ、活動継続へ国際的なお墨付きを得ようとした構図が浮かぶ。

 決議に当たってロシアのチュルキン大使は海上阻止行動が国連の枠外の話であることを理由に棄権に回った。特定国の国内事情を優先した決議だ、とも批判している。

 民主党は活動継続には国連のきちんとした権威づけが必要だ、と反発している。形だけを取り繕ったような決議には与党にも効能を疑問視する声がある。今後の論議をより複雑にした面も否めないのではないか。




東京新聞
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