Luna's “Tomorrow is another day”

生活情報、人間、生きること…。新聞記事から気になる情報をスクラップ!

今を生きる 考える  コンビニ24時間営業の是非は

2008年09月29日 | スクラップ
マンガ・岡本治 両者に言い分ありで…

 コンビニエンスストアの二十四時間営業を見直すよう求める議論が勢いを増している。地球温暖化対策と、エネルギー浪費を招く深夜型ライフスタイルを改める観点からの問題提起だ。
 深夜から未明(主に午後十一時-午前七時)までの営業自粛を主眼に、非行防止、静穏な住環境維持なども目的としている。

 国レベルでは、環境省の中央環境審議会が「環境に配慮したライフスタイルとビジネススタイルの実践」を提唱。これを受ける形で、京都市や横浜市、埼玉県など、自粛要請を検討する自治体が現れ始めた。


 コンビニは、全国に約四万三千店あり一日当たり三千五百万人が利用する。関連産業を含めた労働者は百三十万人にのぼる。深夜時間帯の閉店が業界に与える影響は大きい。
 「社会の仕組みが変わらない限り、深夜型のライフスタイルは変わらない」。業界団体の日本フランチャイズチェーン協会(JFA)は、自粛要請の高まりに反発する。

 地球温暖化防止の効果についてJFAは、自粛してもコンビニ全店が排出する二酸化炭素のうち「5%程度減るだけ」と指摘。不審者などに追われた女性が駆け込む件数が年間一万三千を超えるなど、深夜のコンビニは地域防犯拠点になっているとも強調する。

 二十四時間営業の業種は外食チェーンなどほかにも数多い。「なぜコンビニだけ」の声は当然だ。とはいえ深夜に明々と照明をともす営業形態に批判が出るのは自然な成り行きだろう。コンビニが自粛要請の対象になるのは店舗数が多く、市民に最も身近な存在だからだ。議論の象徴としてコンビニを取り上げるのは、間違っているとはいえまい。



 業界からは強い反発

 「(夜間の)コンビニは子どもたちにとって、駆け込み寺的な安心な場になっている」、「コンビニ(の影響)で夜型ライフスタイルが徐々に浸透してきていると感じる」。
 先月末の京都市「環境にやさしいライフスタイルを考える市民会議」の初会合は、さまざまの意見が飛び出した。

 市民会議は、ライフスタイル変革で温室効果ガス五十六万トンの削減を狙う市がことし七月に設置。コンビニの営業自粛は中心的議題だ。初会合にはJFAの代表も招請されたが、姿はなかった。

 欠席理由について、JFAは
▽ライフスタイルの変更は「深夜営業の自由」を制限する理由にならない
▽ライフスタイルは個々人が自由に決める問題-などを挙げている。

 地球温暖化防止に異存のある人は少なかろうが、市民一律のライフスタイル転換に抵抗を感じる人は多かろう。二つを合体させ一つの基本理念として、営業自粛要請に結びつけられるかどうかは、意見の分かれるところだ。

 議論の前に、考え方をよく整理しておく必要があるのではないか。ただ、市民会議は、この問題を公開で討論できる場だけに、JFAの欠席は惜しまれる。説明を尽くし、支持者を増やす意味でもぜひ出席を望みたい。



 「深夜利用せず」73%

 内閣府の世論調査(昨年八月)によると、深夜から早朝にかけコンビニやスーパーなどを「ほとんど利用しない」人は73・5%に達する。「頻繁に利用する」は5・9%で、大都市も地方も回答に大きな差はない。
 コンビニ店主の約70%が「店舗によって二十四時間営業は必ずしも必要ない」と答えた専門誌の全国アンケート調査結果もある。

 ライフスタイルにかかわる議論は続けるとして、深夜に繁忙でないコンビニの営業を、エネルギー消費や環境の視点から見直す意義は小さくない。
 コンビニは照明より冷蔵庫やクーラーによる電気消費量が圧倒的に多いといわれる。二十四時間営業見直しの前に、消費電力の少ない機材導入などの工夫も進める必要があろう。

 自粛を促す場合は、特定の地域にとどまっていては効果は上がらない。地域間や立地上の格差も考慮しながら全国レベルの取り組みにしたい。
 私権や経済活動の自由にもかかわる問題だけに、世論の支持が鍵を握る。国民的議論に盛り上げていくためにも、政府が主導的役割を果たすべきだ。




[京都新聞 2008年09月27日掲載]


最新の画像もっと見る

コメントを投稿