10/29(土)長岡京市立図書館において歴史講演会が開催され、
会場は満席になるほど大勢の方が来られました。
講師の礪波氏は日本仏教彫刻史を専門とされ、テレビ番組等でも
仏像について分かりやすく解説されています。
「長岡京市史 建築・美術編」の編纂事業では
寂照院・金剛力士像の調査等にも携われています。
前半は、仏像の形式についてお話いただきました。
形式とは、仏の教えを形で示したもので、約束事に
基づいてお経の通りにつくられる不変のものです。
仏像の種類は、如来・菩薩・明王・天の4部に大別され、
それぞれの決まり事の中でつくられます。例えば如来の場合は
着用する衣は出家の姿を基本とするため華美な装飾は一切なく
2枚の衣のみとする、如来それぞれに腕と指の構えからなる印相と
手に持つ持物が定められている、といったような規則です。
後半は、日本彫刻史の様式展開と長岡京市域の仏像についての
お話でした。様式とは、仏像の製作時代・作り手に
よる特徴を表し、形式に則ったうえで個性が出てくるものをいいます。
飛鳥時代には身体や衣の表現が厳格だったものが、
平安時代には柔和な表情になり、衣も浅く整い穏やかな様式へと
展開するといったものです。
(寂照院…門の左右には堂々とした阿吽の金剛力士像が)
寂照院にある南北朝時代の金剛力士像は
その時代特有の誇張気味の写実様式がよく表されており、
衣のひるがえりや顔・体の筋肉の盛り上がりの大胆な
表現方法によって非常に力強く、迫力が感じられます。
長岡京市域には、奈良~平安時代への流れのなかで
地域的にみて時代ごとに沿った典型的な様式の仏像が数多く
残されており、それは日本の彫刻史を知る上でも
とても貴重なことだそうです。
(勝龍寺)
11/13(日)ガラシャ祭りには、勝龍寺のご本尊である
木造十一面観音菩薩立像が里帰りされ、特別公開されます。
(9:00~16:00 拝観無料)
背丈は小さな仏様ですが、鎌倉時代の特徴をとらえた写実様式で
白檀の一木造りから見事に彫り出された気品のある顔立ちや
首元の装飾品などがとても繊細です。
お参りの際には、ぜひ細部までご覧になってみてくださいね