らぷんつぇる**

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『桐島、部活やめるってよ』

2013年03月09日 23時17分43秒 | Movies
日本アカデミー賞が発表されました。
で、最優秀作品賞、最優秀監督賞を受賞したのがこの作品。
個人的にはつまらん。。と思ったので、ちょっとびっくり。

*あらすじ*
とある高校のとある一日。
いつもどおりの平凡な時間が流れていたが、その日の放課後、バレー部のスターである桐島が部活をやめるという噂が校内を駆け巡る。彼女でさえ桐島と連絡が取れないまま、桐島と直接接点のない生徒たちまで騒動に巻き込まれる事態に。。。


一番特徴的な演出としては、「桐島がいっさい出てこないこと」です。
桐島がどんな人間なのか、なぜ部活を辞めることになったのか、そもそもそれは真実なのか、観ている側からは桐島を取り巻く人たちが語る言葉の中でしか推察できないのです。
同じシーンが、異なる人間の視点から何度も繰り返されるのも特徴的。

どうやら監督(原作者?)は「学校内のヒエラルキー」と「桐島がいなくなったことによる人間関係の変化」に焦点を当てたかったみたい。
前者に関しては確かに色々考えさせられるところはあったかな。
学校って、同じ年の人間が狭い場所に押し込められて同じことを強いられる環境なわけで、必然的に「上」の人間と「下」の人間が生まれてしまうんですよね。
あー、たしかにそうだなー、それで、そういうところが学校のやなとこだったな。と思い出した。
「人気者」「癒し系」「カワイイ系女子」「エンターテイナー」「マドンナ」みたいな役割がいつの間にか振られていて、それに沿った行動を求められていたような。

桐島は「上」の人間なので、彼がいなくなったことによって直接的なダメージを受けるのはその周囲の「上」の人たち。
でもそこだけにとどまらず、その影響が「中」や「下」の生徒たちにも波及していくのがこの映画の面白さというか売りっぽいんだけど、そんなにそこ波及してなかったし、面白いかったのかなぁ??と思ってしまった。
「上」のひとたちが、観客の視点ではすでに存在していないも同然の桐島の名前を連呼し、桐島に翻弄され(ていると思っている)、あげく桐島事件に夢中になるあまり、桐島の存在に関係なく平和な
一日を過ごしている無関係な人たちにまで迷惑をかけてしまう、というだけの話に思えた。
人間関係別に変化してないし。
「校内の人間関係に緊張感が張りつめる中、桐島に一番遠い存在だった“下"に属する映画部前田が動きだし、物語は思わぬ方向へ展開していく。」ってパンフに書いてあったので、前田が場外から面白いことを仕掛けるのかと思いきや、前田はただ単に学園ホラー映画が撮りたかっただけだったし。。。

最終的に思ったのは、誰もが狭い世界に生きてるんだな、ってことかも。
桐島は校内では有名人だったから彼がいなくなったのは学校全体の大事件だ!と関係者は思った訳だけど、学校全体のレベルで言えば彼がいようがいまいが、ましてや部活を続けようがやめようが関係ない人もいるのに、そういう広い視野を桐島騒動の中心になった人たちは気づいてなかった。
現実世界でも、有名タレントや有名実業家が亡くなってメディアが騒いでも、大多数の人にとっては明日の生活が変わるわけではない。っていうのと似てるかも。
ラストに登場人物のひとりがそのことにちょっと気づいた風な余韻はあるけど、こういう解釈でいいんだろうか。

うーん。。

*データ*
監督:吉田大八
出演:神木隆之介(前田)、橋本愛、大後寿々花、東出昌大 他
上映時間:103分
初公開年月:2012年8月
制作国:日本