11月11日(日)、芳藍祭の最終日です。朝からひどい雨と風で、来場者は少なく、露店や、ステージ発表の半分は中止になってしまい、頑張って準備をしてきた学生たちにはかわいそうな状況になってしまいました。
書道展は屋内ですので、天候の心配が要りませんが、やはり来場者数は例年よりも少なかったです。
多くの作品が展示されました。基本に忠実な臨書作品や、行草の創作作品が主ですが、ここでは、今までにないような創作作品を3点紹介します。右は、コブクロの歌の歌詞を作品化したもので、足跡は足に絵具をつけて歩いたものです。「行くしかないだろう!」という内容を表現するのに、よい効果をあげています。5名の合同作品です。
次も5名による合同作品です。墨で黒く塗った厚紙に、赤と白の絵具で書いたもので、英語と漢字かな交じりの合体作品です。落款の書き方が面白い。
最後は、自分で油絵を描いた上に、黒の絵具で書を書き入れた作品です。これを制作した今井麻美さんは、書道はもちろんですが、イラストも上手で、今年の芳藍祭のポスターの絵と文字も担当しています。
油絵は初めて描いたのだそうですが、なかなか高い表現力があると思います。
常識にとらわれずに、新たな表現形式に挑戦していくのが、若者ならではの作品です。紹介した3点は、いずれも絵具を併用して、作品の中に白黒以外の要素も加えています。
かつて上田桑鳩が絵具を使って書道作品を書いた時は、書壇がその革新的な発想に驚いたそうですが、今の若者も決して負けていません。
フランスのマルチ芸術家、ジャン・コクトーが次のような言葉を残しています。
「芸術に従って芸術を作ってはならぬ。」
芸術は、心を表現し開放することが第一の目的であり、そのための道具は何を使ってもよいのです。だから、音楽も美術も書道も同じ芸術科の中に入り、文学も華道も建築もあらゆる芸術的分野は共通の感覚での創作が可能だと思っています。
この言葉は、あまりに近視眼的に一つの芸術形式にはまることを戒めた言葉だと理解しています。
才能のある若者が次の時代の芸術を進化させていくのです。