ターコイズ別館・読書録

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27 B・A・シロニー 誤訳される日本

2007-05-07 21:59:46 | さ行
 光文社カッパビジネス(新書)、山本七平監訳。副題、なぜ、世界で除け者にされるのか。

 日本は世界に認められたいと思う反面、世界(特に欧米)には自国の文化は理解できないだろう、理解されないままでよい、と思う傾向がある(東洋の神秘、というやつだ)。これを喝破しただけ著者は偉い。

 「誤訳」とタイトルにある割には、それは少しだけでかつ強引な解釈で、著者の日本研究、特に天皇家への研究をつらつらつづったもの、という印象が強い。

 個人的にはこれは私が大学に入る前の受験旅行で買ったものである。青臭かった当時、これを真に受けて留学試験の小論文に、このロジックを書き連ねて不合格になった思い出がある。

 ドッグイアー。

#四方の海みなはらからと思ふ世になど波風の立ちさわぐらん
 この和歌では戦争に反対する気持ちは表現されていないが、人が安らかに暮らせず、戦わねばならぬことを深く憂えている。

 何を言っているのだ。どう考えても戦争反対としか読めないではないか。立憲君主国であり、独裁国家ではないから、自分の意見を無理やり通すわけにはいかない。ただ歌に国家安寧の祈りをこめる昭和天皇のご自分の立場への理解と臣下への尊重が、わからないのであろうか。