ターコイズ別館・読書録

――図書館へ行こう。

184 星座・天文 星座天文萌研究会

2011-01-23 13:56:57 | さ行
 図書館より。PHP研究所。

 萌えブームかける国際天文年(2009年)で安直にできたのがこの本。
 星座や惑星、よく知られた天体がすべて擬人化されている。コップ座も杯を持ったメイド、レチクル座も望遠鏡を抱えた女性の姿になっている。40人ほどの絵師が採用されているようで、趣味が合えば見ていて楽しい。

 だが。中身が圧倒的に雑なのだ。知らない人がネット検索でつなぎ合わせた文章。「マイペディア」から転載させていただきました、なんて部分もある。
 ミスもある。みずがめ座では「1月22日~」の人がその星座で、やぎ座は「~1月20日」とある。間の1月21日の人はどうなるのだ。
 メシエ天体では「M41とM91、M102は(略)未特定」とあるが次のページで「観察しやすいメシエ天体」としてM41が挙げられている。正しくはM40が欠番である。

 一番許せないのは、オールカラーでないことだ。
 カラーなのは表紙と口絵だけ。価格が1,900円ということで、2,000円台にはどうしてもしたくなかったのであろう。
 イラストを売りにするわりに黒赤二色印刷。ずいぶんおかしな話である。

181 絵でわかる熱帯魚の飼い方・ふやし方 杉浦宏

2011-01-08 07:49:19 | さ行
 図書館より。日東書院。

 89年発行ということだが、文体や構成などもっと古い感じがする。フルカラーは口絵の四ページのみ。あとはずっと二色カラー。泣けるのは熱帯魚が117種も出てくるのに、すべてイラストを付けているということ。画家は泣けるね。熱帯魚の魅力はその姿である。あの輝きをイラストで伝えるのは無理であろう。
 もう一人のイラストは完全にやっつけ仕事。文章と同じことを絵に描いている。

 著者の経歴には上野動物園やら子供電話相談室などがある。それだけに魚一つ一つの性格まであって詳しい。
 外掛けフィルタを丸型フィルタと呼んでいる。当時はそうだったのかな。

176 フーミンのお母さんを楽しむ本 柴門ふみ

2010-12-25 07:34:09 | さ行
 図書館より。PHP文庫。

 柴門ふみに人はどんな印象を持っているのであろうか。大ヒット作家。お茶大出の才媛。文章を読むと理詰めの理系に感じられる。私が読んだ最新作(?)『小早川伸樹の恋』では面倒くさげな描線が目立った。ネガティブですみません。

 この本を読んで目からうろこが落ちた。子供に対して100%の愛情を注いでいる。かわいくて、楽しくて、仕方がない。幼児の娘と赤ちゃんの息子に、心から出会えてよかったと思っているのだ。

 子供と接しているのは楽しい。私の場合、それをウェブに書こうと思っても忘れてしまうことが多い。あまりにも些細なことだからだ。それを著者は見逃さない。
 こちらは子供に早く食事をして欲しい。子供は「おかあさん、わたしのあしはゆかについているでしょうか、ついていないでしょうか」なんて他愛のない質問をして進まない。なんて屈託のない。

 スパイスとして夫ヒロカネさんが効いている。漫画ではあえて悪相に描かれている。メディアでは『島耕作』の作者として日本経済について論じているのに、ここではボックスティッシュや缶詰が安かった、と喜んでいる。

169 後悔しない意思決定 繁桝算男

2010-11-28 15:22:43 | さ行
 図書館より。岩波科学ライブラリー。著者の名前は、しげます・かずおと読む。

 分かれ道があってその先でA=50万円、B=20万円がもらえるとすれば、人はAに行く。
 ところがBは変わらないがAの先がさらに分かれ道になっていて、A1=50万円、A2=0円だとするとどうなるか。単純計算だとAの道は平均25万円もらえることになる。それはBを上回る。だから人はAを選ぶのではないか。
 ところが実験では、80%の人はBを選んだ。

 そういうことが書いてある本である。序盤はこのとおり楽しく読めたが、「ベイズの定理」なるものが出てきてから私の手に負えなくなった。数式をとばして読んでいたら、読むところがなくなったでござる。

#大事な問題は、能動的に決定する
#確固とした目標を持て
#己を知る
#客観的に未来を見通す
#過去を振り返らない

163 眠れなるなる宇宙の話 佐藤勝彦

2010-11-14 07:47:40 | さ行
 図書館より。宝島社。

 宇宙のことを中学生向きに書いた本。宇宙観の歴史に多くのページが割かれている。確かに天動説から地動説へのパラダイムシフトはおもしろい。ルターがコペルニクスを攻撃していたことも始めて知った。
 土星より外の惑星は、理論が先で発見が後だった。人類の英知を感じる。


#ところで、ブラーエは非常に傲慢で怒りっぽい人だったと伝えられています。貴族出身のブラーエは小作人にひどい仕打ちをしたりして、領地のひとびとから嫌われていたそうです。ついには国王の信頼も失い、晩年には国外へ去らなければなりませんでした。ブラーエの最期の言葉は「私の人生を無駄だと思わせないでくれ」といううわごとだったそうです。

#当初は冥王星よりも大きな天体を格上げし、太陽系の惑星は全部で十二個になることが提案されました。しかし天文学者からの反対が相次ぎ、逆に冥王星を格下げするという決着になったのです。
 ローウェルやトンボーの出身国アメリカでは、アメリカ人が発見した冥王星への愛着が強く、惑星からの格下げに対して国民から広く反対の声が上がりました。また(略)「プルート」が「評価を下げる」とか「降格する」という意味の動詞として使われ、二〇〇六年の流行語大賞になったそうです。

 惜しむらくは味も素っ気もないイラスト。なんだこのやっつけ仕事。

155 星空の400年 ホバート・シーリング ラース・リンドバーグ・クリステンセン

2010-10-16 20:18:19 | さ行
 図書館より。丸善。

 2009年はガリレオ・ガリレイが土星を観察してから400年ということを記念して世界天文年でした。そこで数冊の大型本が作られ、これがその一冊です。値段が3,990円なので一般は対象にしていないでしょう。

 天文台にそれぞれ写真が一枚あるだけの、写真集のようなつくり。技術解説などは期待できません。

152 イマジン 清水義範

2010-10-03 08:45:57 | さ行
 図書館より。集英社。

 こんなにおもしろいとは思わなかった。著者の最高傑作かもしれない。
 事件が怒るまでの展開は遅いが、それからはテンポよく話は進む。
 タイムスリップものは過去の自分やその関係者に会ってなんぼであるが、それをよくわかっている。ジョン・レノン暗殺を食い止める、というサスペンス要素もある。携帯電話や硬貨などの小道具の使い方もうまい。

 感動するとかそういう類ではない。ノスタルジックな冒険活劇として最高である。品のない表現があるのがもったいない。

 プレイボーイに掲載されたそうだが、『キン肉マン二世』にも影響があるのだろうか。
 調べてみると連載は2003年から2004年。『究極のタッグ編』1巻が出たのが2005年。

150 陳列の教科書 鈴木あつし

2010-09-29 05:43:12 | さ行
 図書館より。すばる舎。

 まさに教科書。見開き1トピックで、陳列の基礎から説明している。

*四つの方針 どこに? なにを? いくつ? どんなふうに?
*売り場の核は三つ。ゴンドラエンド(陳列棚の端)、平台、レジ前。
#陳列幅は90㌢単位
*商品の「顔」をフェイスという
#先がどんどん見たくなる通路正面陳列
#お店のピークは1日4回 開店後、お昼、夕方、閉店前
#POPとはPoint of Purchase(購買時点)の略
#プライスカードの位置は1列・1行に統一

 引用が多いときは価値があるとき。

149 やめたら、お家スッキリ! 佐光紀子

2010-09-21 06:34:48 | さ行
 図書館より。大和出版。

 ナチュラルライフ研究家という肩書きで、「掃除は重曹と酢で」なんてやっている人だ。
 「トイレマットをやめてみる」「玄関マットを(以下略)」「ソファ」「(服を)引き出しにしまうの」「靴を紙箱にしまうの」など一理あるものも多い。
 しかしこれを70項目も集めるのが大変だったか、マイカー、エアコン、使い捨てナプキン、福袋、懸賞応募など苦しいものも多い。

#(略)Yさんから来た届いた書類は、ほかの会社の封筒に入っていたのです。おっして、そのロゴの上に「リユース」というスタンプが押してあったのです。

 このアイデアいいね。100円ショップで売らないかな。

138 笑う霊長類 清水義範

2010-08-14 14:31:12 | さ行
 図書館より。文芸春秋。

 難しいことを言わず、あっさりおもしろく読める本。一本目の「肩凝り」はいま一つだが、「旅情」のどんでん返しは最高である。「一般視聴者」は著者お得意の「ありそうな発言」である。「Rの時代」は次々と登場するロボットが予想できなくていい。