ターコイズ別館・読書録

――図書館へ行こう。

191 ピンチに役立つ英語表現辞典 松浦庸夫

2011-02-05 15:40:48 | ま行
 図書館より。東京堂出版。

 タイトルどおり危機に際してのフレーズが並んでいる。
#HIV要請だと診断された。
#余命いくばくもないんだ。
#ご主人は今すぐ手術が必要です。
#バットで頭を殴られた。
#妻が人質になっている。
#彼女の服に引火した。
 かなり緊急である。

 難しい説明は避けた結果「という意味です」の連続なので、通読するにはつらいかもしれない。その単調さを薄めるコラムは楽しい。会社や学校で使うには便利かも。

#Akita to Okinawa non-stop fright
*I'm sorry.と言うと責任を追う可能性があるので、Don't get me wrong. / I didn't mean it.と言うとよい。
#Don't trouble trouble until trouble troubles you.

188 天文学の誕生 三村太郎

2011-02-05 06:54:22 | ま行
 図書館より。岩波科学ライブラリー。副題、イスラーム文化の役割。

 これは私の経験則だが、「イスラム」が「イスラーム」と表記されたら気をつけろ、と思っていいと思う。それはイスラーム世界にどっぷりつかっている証拠。イスラムマニア。
 つまり私はこれを読んでよくわからなかったのです。こんな調子。

#このアダミーの記述に従うならば、『シンドヒンド』はマームーンのころまで読みつがれていたことになる。その頃でも『シンドヒンド』の要約が必要とされ、フワーリズミーのズィージュが生まれたのだった。フワーリズミーは、インド計算法の著者として紹介したフワーリズミーと同一人物で、彼のズィージュが『シンドヒンド』の延長線上にあったことは、そのタイトルが『シンドヒンド・ズィージュ』であることからも明らかである。

 専門外が手を出す本ではありませんでした。

172 熱帯魚・海水魚の衣・食・住 松坂實

2010-12-12 07:58:53 | ま行
 図書館より。どうぶつ出版。なんて専門的な社名だ。

 サブタイトルは「60センチ水槽で飼う」ということで、一冊を通して特化している。ポンプのところで投げ込み式は紹介されていない。水作りのところで、休眠ろ過バクテリアを積極的に勧めているところが特徴。
 さまざまな熱帯魚・海水魚を紹介しているが、どの魚にも長所を紹介しているところに愛情が感じられる。
 水玉螢之丞ふうのイラストもかわいい。

167 うずまき猫のみつけかた 村上春樹

2010-11-21 07:16:45 | ま行
 図書館より。新潮社。

 雑誌「SINRA」の連載。マラソン、大学教員生活、アメリカの自然、ジャズ、食生活がいい塩梅に混ざっている。そして大量の猫の写真。肩肘張らずに読める楽しい本(「THE SCRAP」は音楽知識のない私にはつらかった)。

*中華料理アレルギーで、ラーメンも食べられない
*クルマを盗まれた
*fuck a duckと聞くと、ダーク・ダックスの一人が雪男かなにかに襲われているシーンが思い浮かぶ
*数字の変わりにEAT, PLAY, NAPが繰り返し文字盤に書かれている腕時計

#引き出しにいっぱい(安い)腕時計を放り込んでおいて、その日の気分で時計を取り替えるのはなかなかいいものである。

# しかし何はともあれ、誰がなんといおうと、勇気があってもなくても、フル・マラソンを走り終えたあとで食べるたっぷりとした温かいディナーというのは、この世の中でいちばん素晴らしいもののひとつである。
# 誰がなんと言おうと。

147 知識ゼロからのサイクリング入門 三浦恭資

2010-09-11 06:07:18 | ま行
 図書館より。幻冬舎。

 これから始める人向けに書かれた本。イラストが豊富。イラストの合間に文章があって、まるで図鑑のようだ。お勧め。というか私が触発されて、ロードバイクを欲しくなった。

#Qペダルは重いほうが運動したなと思えるのですが……Aたしかに重いギアで走ったほうが運動したような気がするかもしれない。しかし、重いギアで走っても、軽いギアで走っても、走る距離が同じなら、基本的に運動量は変わらない。
#プロは15秒に1回ギアを変えることも(ある)

93 元気が出る東北 みちのく研究会

2010-03-15 22:35:18 | ま行
 図書館より。ごま書房。

 内館牧子の紹介文が、この本の性格を言い切っている。「とにかくおもしろい本である。とてもお役所が作ったとは見えない。軽妙な文章、オチのうまさ、何度吹き出したことか。」
 みちのく研究会とは社団法人東北建設協会内にあり、つまり道路屋さんが東北の魅力を宣伝しもって地域に活力をもたらさんと書いた本だと推測される。でも文章のおもしろさは玄人はだしだ。

#秋田では「めがねこ、いたいた」と小さなものをいとおしむ表現の「こ」を付けた上で、無機質なモノにも人に対するような「いた」という表現をする。

 惜しむらくは古代遺跡の話だ。三内丸山遺跡はいい。縄文文化の常識を覆す新発見の数々。もう一つ、上高森遺跡を載せちゃったのがまずい。これまで日本最古の人類は3万年前からとされていたが、それを大幅に更新する50万年前の出土物。そう、ゴッドハンド事件である。あああ。

 これで「やっぱり東北は」なんて言われてしまうのだ。著者グループに罪はないが。

84 昭和基地 村上雅美

2010-02-23 21:53:15 | ま行
 図書館より。講談社ブルーバックス。

 淡々と書いているが、マナスルを制覇した日本最強の山男が南極で何度も越冬し、隊長となった。タロ・ジロも知っているし唯一の犠牲者福島紳隊員も探した。海軍出身であることもちらりと見える。第九次では日本人初の南極点到達に成功した。伝説の男だ。

 しかしそのユーモアと言ったら! 厳しい中にも四六時中冗談を言って後輩に慕われる隊長の姿が見える。娯楽も少なく人間関係も固定される越冬隊の中では、こうやって冗談を言い合うことが精神安定上不可欠なのであろう。

*第一次越冬隊から「魚は釣れない」と聞いていた。しかし第五次の連中は底にいたスズキの仲間をたやすく釣り上げる。
*「第一次には釣りキチがいなかったのでしょう」「腕が違う」と胸を張る太公望たち。

 ね、おもしろいでしょう。
 時代は古くなってしまったが、永遠に読まれる名著。 

77 新版 再現!巨大隕石衝突 松井孝典

2010-01-31 21:10:09 | ま行
 図書館より。岩波科学ライブラリー。

 巨大隕石が衝突したらどうなるか、という話は最後にちょっとあるだけ。あれなら動画を見た方が早いしよくわかる。

 この本は大人の科学者(もう還暦を超えているはずだ)が実際に北中米に調査しに行くとはどんなことか、その苦労がわかるところによさがある。
*精度のいい機械を借りようとすると予算の桁が違う
*キューバに調査を申請したら返事がなかなか来なくて、いつの間にか(宗主国の)スペインが調査をして先を越された
*(著者は地質学者ではないが)地質学者は見ただけで地層の歴史や分布がわかる すごい

 比較惑星学というのがなんとも言えませんね。

76 笑う出産 まついなつき

2010-01-29 21:34:58 | ま行
 図書館より。情報センター出版局。

 著者の印象は賭け事をしない西原さん。
 それまでほとんど口をきいていなかったカメラマンと、インド旅行でくっついて、そのまま夫婦になってしまったのが人生の転機。
 物欲のないスタイル、あっけらかんとした生き方、無職を怖がらないフリーランス、ある意味自分に自信のある人だと思う。

 それだけに我が子に対する愛情はストレートでないものの、豊富。かわいくてかわいくて仕方がないのだ。
 出産育児用具もいろいろ試しているので「そうだよね」と共感できる。
 ウィキペディアによると60万部のベストセラー。

63 [モノの原価]がわかる本2 (秘)情報取材班

2009-01-09 16:30:50 | ま行
 青春出版社、青春BEST文庫。

 1996年というから、「価格破壊」真っ盛りのときだ。デフレへと進行する日本経済。PHSが1円で売られ、パソコンのCPUはペンティアム70だった時代。
 当たり前であるが、内容はもう今さら。キモである原価の割り出しも、推測が多く説得力を欠く。

 なんでこんな本を買ったか、どこで買ったか、明確にわかる。なぜかというとブックカバーの背中に「NAGOYA AIRPORT」というテープが貼られているからだ。機内の退屈しのぎ。文庫本とはいえ、本に直接テープを貼られた経験は後にも先にもこれだけしかない。名古屋の風習なのか。空港独自の週刊か。セントレアではどうなのだ。たまたまそういう店員なのか。
 別な意味で謎を残した本である。

 ドッグイアー。(*は引用でなく要約を示す)

*タイヤの原価は一割以下
*バイキングは人件費を節約する最も効率的な方法
*ガードレールの工事費は10万円から 信号機は150万円以上 アンテナ付きのバス停は400万円以上
*安い切り餅はトウモロコシをつなぎに使う
*ハンバーガーの材料は肉より野菜の方が高い
*トイレのつまりはたいてい吸水カップで直る
*布製おしぼりは15円、紙製のそれは7円

 あれ、列挙しているうちに、なんだか楽しい本に思えてきた。