ターコイズ別館・読書録

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30 論文の書き方 清水幾太郎

2007-06-19 22:34:17 | さ行
 岩波新書。

 「論文」という書名の割には、論文の書き方がいつまでも出てこないので、いらいらさせられる。論文の書き方は巻末までついに出てこない。途中で、「論文というよりは知的散文の書き方だ」という趣旨の表現が出てくる。詐欺ではないか。

 ドッグイアー。

#「それゆえに」や「それにも拘わらず」などになると、読者の心へ滑らかに入っていかない。ゴツンとぶつかる。

#新聞が好んで「が」を使うのは、私たちを日常の気安さの中に置こうとするためであろう。

#(日本では)一般的な社交の原則の下で言えることを十であるとすれば、日本的な社交においては五か六しか言えなくなる。

#「まだ、多くの論ずべき問題が残っているが、指数が尽きたので、残念ながら……」などという結論だけは、何としても、やめるべきである。紙数ははじめから明らかなのに、最後になって、恨めしそうな表情で未練を言うのは滑稽である。

#日本のある作家が自分の作品を朗読して、それを障子の向こう側の家人に聞かせるという手法を用いて、それで文章の足がかりにしたという話が美談として伝えられている。