ターコイズ別館・読書録

――図書館へ行こう。

63 [モノの原価]がわかる本2 (秘)情報取材班

2009-01-09 16:30:50 | ま行
 青春出版社、青春BEST文庫。

 1996年というから、「価格破壊」真っ盛りのときだ。デフレへと進行する日本経済。PHSが1円で売られ、パソコンのCPUはペンティアム70だった時代。
 当たり前であるが、内容はもう今さら。キモである原価の割り出しも、推測が多く説得力を欠く。

 なんでこんな本を買ったか、どこで買ったか、明確にわかる。なぜかというとブックカバーの背中に「NAGOYA AIRPORT」というテープが貼られているからだ。機内の退屈しのぎ。文庫本とはいえ、本に直接テープを貼られた経験は後にも先にもこれだけしかない。名古屋の風習なのか。空港独自の週刊か。セントレアではどうなのだ。たまたまそういう店員なのか。
 別な意味で謎を残した本である。

 ドッグイアー。(*は引用でなく要約を示す)

*タイヤの原価は一割以下
*バイキングは人件費を節約する最も効率的な方法
*ガードレールの工事費は10万円から 信号機は150万円以上 アンテナ付きのバス停は400万円以上
*安い切り餅はトウモロコシをつなぎに使う
*ハンバーガーの材料は肉より野菜の方が高い
*トイレのつまりはたいてい吸水カップで直る
*布製おしぼりは15円、紙製のそれは7円

 あれ、列挙しているうちに、なんだか楽しい本に思えてきた。

62 言葉のウラ読み面白事典 三上文明

2009-01-03 21:43:13 | ま行
 主婦と生活者、TODAY BOOKS(片仮名の表記は見つからなかった)。

 当たり前のことを言っているだけの本。

「この件は一つ考えておきましょう」→よく使われる遠回しの断り文句
「念のため、一言付け加えますと」→それこそが相手の記憶に残って欲しい大切なこと
「ここだけの話にして欲しいのですが」→ウワサが広まったとすればお前のせいだ
「今回のことは水に流そうじゃないか」→こちらから頭を下げたくもない
「彼は本当はすごい人ですよ」→彼がすごい人だとわかる、自分もすごいだろう

 第一章では、上記のように一つの言い回しに同居する、裏と表の気持ちを言い当てている。ここまではいい。しかしそれ以降になると、表裏もなく、ただ言い回しの心理を解説している。そのほとんどが言うまでもないことだ。

 書名に「面白」とあるのはおもしろくない、の法則。でも筆者が書名の決定権を持っていない場合もあると聞くので、これは留保しておきましょう。

61 ウルトラ・ダラー 手嶋龍一

2009-01-01 20:36:45 | た行
 新潮文庫。

 北朝鮮の偽ドル札疑惑に挑んだ、痛快小説。
 見どころは三つ。
 NHKワシントン支局長として、同時多発テロを11日間連続放送し続けた、ジャーナリストとしての情報のリアルさ。
 日本外務省、米国FBI、英国MI6など、国の威信を賭けてののせめぎ合い。
 篠笛、古美術、MGB、歌麿など、ハイソサエティの暮らしぶり。

 とは言え主人公スティーブンが飛行機の隣り客から、USBメモリで機密を盗むところなんて、半分驚くやら半分呆れるやら。日本以外の国はなんでもやってくるのだろうなあと感心。さらに「こういうことをしているのです」と声高に主張できない内閣調査局(または類似の秘密部隊)に乾杯。