ターコイズ別館・読書録

――図書館へ行こう。

41 グリンベレー戦場の人間学 柘植久慶

2007-11-25 13:25:56 | た行
 副題、極限状況で、どんな男が生き残ったか。祥伝社ノンブック。

 大学生の著者が、カタンガ傭兵隊に入隊するところから、この本は始まる。
 なぜ戦地に身を投じるか。フランス外人部隊とは何か。グリンベレーの休日は何をしているか。ティーム・リーダーに必要な特性は何か。説明的にならずに、平易な表現でわかりやすく語られている。

 また、著者の思考に学び、私が実践しているものがある。優先順位の決め方だ。緊急が「赤」、数日から一週間が「黄」、一週間以上が「緑」だ。実際に何をしているかはわからない。「位置に配される」とあるから、レターケースなのかもしれない。
 私のやり方は、ノートパソコンのデスクトップに付箋ソフトを入れ、「赤=今日」、「黄=数日以内」、「緑=留意」、そして「青=長期予定(日にち)」に分けている。

 ドッグイアー。

#アメリカ軍の将校たちは、私の知る範囲ではバーボンを好んだ。銘柄はもっぱらジャックダニエルだった。(略)
 カタンガにいたとき、私が生まれて初めて飲んだウィスキーが、そのディンプルだった。(略)(シングルとティップで)65セント(当時の日本円で235円)だった。(略)
 ビールは、ラオスだとハイネケンを、そして南ヴェトナムでは、現地産の33(バー・ムオイ・バー)を飲んでいた。

#「ペンは剣よりも強し」という絵空事

#「(略)私は戦闘継続中の負傷者の救出を禁じている」

#「どんな奴が死にやすいか」「運の悪い奴――」
 
 

40 ロンドン 鈴木博之

2007-11-21 18:58:47 | さ行
 副題、地主と都市デザイン。ちくま新書。

 ロンドンに行きたいと思ったら、たいていはヒースローに着く。私もそうだった。その後中心地区に行くには「アンダーグラウンド=英語=チューブ」(サブウェイ=米語にあらず)がよい。と思っていたが、都市景観を見るには「バスかタクシー」がよいと言うのだ、この本は。

 ここで気付いた。この本は、アーキテクチャ、あるいは都市デザイナーが読む本である。単なるイギリスファンが読む本ではなかったな、と軽い後悔を飲み込みつつ、読み進める。

 それでも、ロンドンに一度でも行った人にはぜひ勧めたい一冊である。

 ドッグイアー。

#ソーホー・スクエアは(略)狩りの掛け声だった(略)少々品格にかける名称だ。

#もしもロンドン全体に大きなシーツをかけて、19世紀の変化を見ていたとするならば、19世紀を通じて、ロンドンを覆っていたシーツがむくむくと盛り上がり、その下に人口密度の高い都市構造が形成されてゆくのが感じられていたことだろう。

#ロンドンは実際上、六つの地域からできている。(略)シティ、(略)スピトルフィールズ、(略)ホワイトチャペル、(略)サウスウォーク、(略)西の地区、(略)北西の地区、(略)北の地区、である。(略)
 「六つの地区からなっている」と述べながら、実際には六つ以上の地区が挙げられていて、こんなところがどうにもいいかげんというか、おおらかな気がするのだが、(略)
 ――笑った。

39 消えた魔球 夏目房之助

2007-11-09 19:42:20 | な行
 新潮文庫。著者は文豪の孫である。もともとは『ナンバー』に連載されたものらしい。

 夏目さんがスポーツ漫画を模写し、解説を加える、というもの。その模写も、ほとんどは選ばれた名シーンなので、それだけで楽しめる。

 だが本書で唯一模写でないページがある。『あしたのジョー』だ。「この目は描けない!」という書き込みがある。力石戦後の、ちばてつや本人さえ描けないその表情。

 ほかにも、『ドカベン』『タッチ』『すすめ!パイレーツ』『タイガーマスク』『1・2の三四郎』『アストロ球団』『エースをねらえ!』など、著者独特の「模写による漫画評論」が読める。