ターコイズ別館・読書録

――図書館へ行こう。

24 地球の歴史 井尻正二・湊正雄

2007-04-12 06:00:51 | あ行
 第二版。岩波新書。

 大学時代、友達に「教官が名著だと言っていた」ということで譲り受ける。そのまま十年以上も積まれたまま。引っ越しを機に、読んでみた。

 確かに名著だ。格調高い文体のところどころに顔を出すロマンチシズム。特に高校で地学をとった人にはおもしろく読めるだろう。第一刷が1974年なので、内容の古さは否めないとしても。

 ドッグイアー。

#蘆木(トクサ類)・燐木・封印木(ともにヒカゲノカズラ類)
(注・漢字で書くのが新鮮だ)

#人類の歴史で原始共同社会が崩壊してから、社会体制がかわるたびに人類は革命を経験してきた。そして、革命にともなって権力の移動がおきて、あるいは皇帝の首がとび、あるいは、ショパンが革命のエチュードを作曲する、といった、多くの挿話がうまれてきた。

#(哺乳動物と被子植物について)これらの新人については、他日、紹介の労をとることにして(略)
(注・この言い回しがいい)

#哺乳動物が母親の子宮のなかで育つ環境は、海水と同じ成分の「羊水」であって、哺乳動物の胎児は、胎内でとおい故郷の礒の香につつまれながらやすらかに育つわけである。つまり、哺乳動物は、完全に故郷の土地をはなれ、逆に、故郷の地・海をはらむ族として地球のうえにあらわれてきたのである。

23 「超」整理法 野口悠紀雄

2007-04-04 21:45:15 | な行
 副題、情報検索と発想の新システム。中公新書。

 皮肉なことに、本書のメインテーマはA4一枚に「整理」される。

・文書は分類しない(例外あり)。
・書類の棚は、押し出し式にする。時間軸で処理するため、使った書類は必ず棚の左側に(逆でもよい)戻す。
・右側に溜まったファイルは「神様」なので、処分するか別の場所に保管する。
・ファクシミリは便利だが失礼だと思われている。もっと地位を向上すべし。
・パソコンでメモを取るなら、テキストファイルにしよう。

 ああ五点で終わってしまった。
 著者の発想はすばらしい。実際、私も実践している。ただし、本にするほどの分量はない。だが本にしないとお金にならない。そのためぐだぐだと著者が整理に苦労する姿を並べている。A方式も駄目、B方式も駄目、C方式も駄目、だから「超」整理法がよい、なんていう論法は迂遠だ。

 しかし読んでみて、今回の「ドッグイアー」は長い。読むところがあるということである。

 ドッグイアー。

#ユースウェアは、コンピュータを使いこなす方法論であるとともに、「コンピュータに使われない」ための方法論でもあるのだ。

#連絡は手紙で行なうというのが、人間社会が長く用いてきた方法である。電話を日常的に使うようになってのは、せいぜいここ三十年程度のことでしかない。ところで、ファクスとは、基本的には手紙(正確には葉書)と同じものである。だから、ファクスには、人間が永らく慣れてきた方法への復帰であり、自然なものなのである。(略)
 問題は、「ファクスを送りつけては失礼だ」という社会通念があることだ。「投げ出すように勝手に送りつける」というイメージがあるのだろう。(略)ファクス通信に失礼なことなど、何もない。

#(KJ法に対する立花隆の厳しい評価)これが利点となるのは、頭が鈍い人が集団で考えるときだけである。

#アイディアはどこで出るか? (略)北宋の文人政治家欧陽修は、(略)馬上、枕上、厠上をあげた。これがいわゆる「三上」である。

#現在、われわれが個人レベルで持っている情報処理能力は、さまざまな面で六十年代の大型コンピュータより高い。(略)だから、情報処理の方法論も、当然変わらなくてはならない。