ターコイズ別館・読書録

――図書館へ行こう。

86 氷に刻まれた地球11万年の記憶 リチャード・B・アレイ

2010-02-28 20:47:43 | あ行
 図書館より。ソニー・マガジンズ。

 極地の氷を分析すると過去の気象がわかると言う。
 グリーンランドの氷芯(コア)を分析した最前線の研究家が、研究手段や分析を細やかに著す。
 翻訳独特の読みにくさがある。また、化学式が出てくると私の理解の範疇を越えてしまう。
 後半は流し読みです。すみません。

85 南極情報101 神沼克伊

2010-02-25 20:55:56 | か行
 図書館より。岩波ジュニア新書。

 1テーマ2ページ見開きというストイックな体裁。筆者は自分に厳しく几帳面な方とお見受けする。そうでなくては南極で暮らしていけないのかもしれない。
 子供向けの本はある、大人向けの本もある。その間の中高生向けの本はない、ということで書かれた意欲作。

 ちょっと教科書的でおもしろみはないが、南極について偏りなくまんべんなく知ることのできる本。
 またこの本は、南極で書かれたのであるという。インターネットもない当時であれば奇跡的なことである。

84 昭和基地 村上雅美

2010-02-23 21:53:15 | ま行
 図書館より。講談社ブルーバックス。

 淡々と書いているが、マナスルを制覇した日本最強の山男が南極で何度も越冬し、隊長となった。タロ・ジロも知っているし唯一の犠牲者福島紳隊員も探した。海軍出身であることもちらりと見える。第九次では日本人初の南極点到達に成功した。伝説の男だ。

 しかしそのユーモアと言ったら! 厳しい中にも四六時中冗談を言って後輩に慕われる隊長の姿が見える。娯楽も少なく人間関係も固定される越冬隊の中では、こうやって冗談を言い合うことが精神安定上不可欠なのであろう。

*第一次越冬隊から「魚は釣れない」と聞いていた。しかし第五次の連中は底にいたスズキの仲間をたやすく釣り上げる。
*「第一次には釣りキチがいなかったのでしょう」「腕が違う」と胸を張る太公望たち。

 ね、おもしろいでしょう。
 時代は古くなってしまったが、永遠に読まれる名著。 

83 オーロラを追いかけて 上出洋介

2010-02-21 06:20:41 | か行
 図書館より。情報センター出版局。

 なんとも不思議な本。オーロラについて語られるようでいて、国際的研究の協力と競争の実態を知らせるようでいて、不思議な気分になる。

 本を読んでわかったこと。
 オーロラにはまだまだわからないことがたくさんある。
 研究するためなら会ったことのない相手にも電話をかけて共同研究を持ちかける。

82 南極に暮らす 坂野井和代・東野陽子

2010-02-13 08:18:38 | さ行
 図書館より。岩波書店。

 日本初の女性南極越冬隊員となった二人の共著。
 坂野井さんはオーロラ観測。子供のころから南極が夢であった。同じ研究者の夫がすでに越冬している。基本、一人で室内の観測が多い。
 東野さんは地震学。南極の興味はゼロ。世界中の地震波を調べているうちに、貯金ができれば南米に行けるからという理由で応募。屋外に地震計を設置しなければならない。重たいバッテリーを持てず、男性隊員に持ってもらう。

 かくも対照的な二人が、交互に一章ずつ書いているのがおもしろい。余裕のある坂野井さん。東野さんは大変。荷物を点検しろと怒鳴られる。雪上車の道中、お腹を壊して苦しむ。コンベックス(メジャー)を知らない。荷物を持てなくて嘆く。コンロを忘れてヘリに持って来てもらう。よくぞここまで赤裸々に書いてくださった。東野さんを応援してしまう。


81 暮らしを支える「ねじ」のひみつ 門田和雄

2010-02-07 15:00:55 | か行
 図書館より。ソフトバンク・クリエイティブ、サイエンス・アイ新書。

 工業高校の生徒にも読めるように、オールカラーでわかりやすく説明した決定版。とにかく写真と図解で見せることを徹底した。

*ねじのプラスの穴は十字穴、マイナスのそれはすりわりという。すりわりが潰れることをカムアウトという。
*アメリカで見られるインチねじは正式にはユニファイねじという。
*めねじなしで直接ねじ込めるねじをタッピンねじという。(いわゆる木ネジのことか)
*レンチはアメリカ英語、スパナはイギリス英語で同じもの。日本では先端が解放されたものをスパナと呼ぶことが多い。(モンキーレンチは例外か)

80 せいぞろい へんないきもの 早川いくを

2010-02-07 14:49:38 | は行
 図書館より。バジリコ株式会社。なんだこの社名。

 おもしろい! まず動物がおもしろい。ドクターフィッシュ、ジャンボタニシ、プラナリア、ミミックオクトパス、ツメタガイ、レウコクロリディウム……。
 出るかも、と思っていたハダカデバネズミも当然のように出た。スケーリーフットも装甲巻き貝という名前で登場する。

 文章が最高におもしろい。キンチャクガニは「ゴドラ星人似」、アイアイは「悪魔の使い」でサケビクニンは「虚無的な表情」。
 まだまだこんな愉快な文章を書ける人がいたのか。チェックしてみよう。
 寺西晃の絵も気が利いている。いいコンビです。

79 チョコレート革命 俵万智

2010-02-06 19:33:43 | た行
 図書館より。河出書房新社。

 三つ目の歌集。瑞々しい感覚、国語教員らしい豊富な知識、よき師匠との出会い、と恵まれているはずの歌人は、どろどろの不倫に走る。
 『サラダ記念日』の路線でいけば、国語の教科書にも載ったろうに。もう載っているかもしれませんが。
 筆者の頭にはきっと与謝野晶子が浮かんでいるのではないでしょうか。

#ゆりかもめゆるゆる走る週末を漂っているただ酔っている
#幾千の種子の眠りを覚まされて発芽していくわれの肉体
#生えぎわを爪弾きおれば君という楽器に満ちてくる力あり

#水蜜桃(すいみつ)の汁吸うごとく愛されて前世も我は女と思う

#「学校」という語を甘きキャンディーのように発音する子どもたち


78 「超」旅行法 野口悠紀雄

2010-02-06 07:06:32 | な行
 図書館より。新潮社。

 旅に出てから「これを持ってくればよかった」と思うことは多い。でも帰ってくればそれきりで、また同じことを繰り返すことがある。そんな旅の小さなノウハウが詰まった本。
*持ち物のリスト
*トイレはどこを使えばいいか
*ホテルの部屋を替えてもらうならベッドカバーを外す前に
*大学でお土産を買おう(この辺、学者だ)
*海外の博物館はおもしろい(収奪品があるから)
*通貨ごとに別の財布を用意する

 勿体をつける文体にいささか抵抗を感じるが、体験談も豊富で、楽しく読める本。