ターコイズ別館・読書録

――図書館へ行こう。

104 寿限無のささやき 立川談四楼

2010-04-29 17:14:40 | た行
 図書館より。暮しの手帖社。

 前三分一が自分史になっており、楽しい(後半も楽しいです)。談志が好きで弟子になったこと。鞄持ちでスナックに行ったら有名人ばかりだったこと。二つ目貧乏時代。なんと言っても三遊協会騒動、立川流独立のくだりがおかしい。当事者からの視点は新鮮である。
 無駄を削ぎ取った文体も爽やかである。

#(古今亭右朝を悼んで)寄席文字を書いていて、年上で、よくご馳走してくれて、それが落語家になってオレの後輩になっちまったんだもんな、驚いたよ。ほら、あんたよく言ってたじゃないか、「落語は大衆芸能じゃない」って。あれどういう意味だ? 古典一筋で、売れるのを拒否してるようにも見えたけど、あの姿勢と何か関係があるのか? ……ダンマリかよ、何か言ってくれよ。

103 ニュージーランドを知るための63章 青柳まちこ

2010-04-18 09:08:22 | あ行
 図書館より。明石書店。

 エリア・スタディーズの一冊。文章に無駄な力が入っていず、比較的さらさらと読める。よくわからないうちに主権を渡してしまったマオリ族が歯がゆい。そんな概念もなかったであろうが。

 ニュージーランドは郵政民営化を先んじて実行した国といわれる。その後、失敗して再び国有化した。この辺を知りたくて借りたのだが、詳細な記述はない。

*私は死ぬ、私は死ぬ。私は生きる、私は生きる。(繰り返し)毛深い男がそれをできよう。太陽を取り戻し、照らされるのだ。一段登り、もう一段登り、一段登り、もう一段登り、太陽が照っているぞ。ウォー
 オールブラックスが踊るハカは、欺かれて穴の中に捕らえられた酋長が、縄梯子を登って地上に脱するくだりである。

102 国語のできる子どもを育てる 工藤順一

2010-04-17 06:45:41 | か行
 図書館より。講談社現代新書。

 対象読者は誰なのか。国語の先生か。きっとそうだろう。
 自分の子供が国語好きになってくれたら、と手に取ってみたが、どうもぴんと来ない。

*『コボちゃん』を文章化させるとよい訓練になる。理解していない子供は、見たものを追うだけで、どうしておもしろいのか説明できない。
*小学校高学年になり、一人で本を読めるようになったら、ファンタジーを読ませるとよい。
*「文章を読む能力」と「読解問題を解く能力」は違う。
*よい問題は、文章がわかるための道しるべになる問題のことである。

#バリー・サンダースは「本が死ぬところ暴力が生まれる――電子メディア時代における人間性の崩壊」(新曜社)という本で、アメリカの青少年に暴力が生まれている現状を「本が死ぬところ」と警告しています。

 この本自体が冗長になってしまった感があるのは残念なことである。

101 美しい絵本。 ペン編集部

2010-04-17 06:30:27 | は行
 図書館より。阪急コミュニケーションズ。

 絵本をアートとしてとらえた本。タイトルそのままであるが。世界の絵本が多く、見たことのある絵本を確認して楽しむ本ではない。

 気になったもの。
『なおみ』『あけるな』『ふしぎなナイフ』『幻灯サーカス』『うんちっち』
 滝平二郎の版画。新井良二。

#ブルーナは、画風にマティスの影響を認めている。

100 体が変わる!「きくち体操」 菊池和子

2010-04-15 20:25:00 | か行
 図書館より。廣済堂出版。
 がんばらないで自分の体と会話するストレッチの本。

 自分の体と会話する、というのは私もこの歳になって感じたことである。今日は硬い。ここが伸びない。右と左で柔軟性が違う。そんなことを感じながらストレッチやランニングをしている。我が意を強くした一冊。

*股関節を動かす。足を前に伸ばして、座る。片足を上げて、円を描くように股関節を動かす。多角形にならないように。股関節の筋肉がわからない? 大丈夫、次の日に痛くなるから。

99 言葉の嵐 春風亭小朝

2010-04-11 14:56:20 | さ行
 図書館より。筑摩書房。

 名言を集め、それにエッセイを付け足した。エッセイはわりと奔放に書いている。
 著者の写真が多め。花束を抱えたり、かぶり物をしたり、スポットライトを浴びたり。ある意味写真集のようだ。やはり泰葉の元旦那なのだなあ、と嘆息。

#殺陣のコツは、自分から斬りに行かないで、相手がくるのを待つことなんだよ 高橋英樹
#これほどの努力を人は運という 見城徹
#難しい問題を簡単に解決しようとすると、人はノイローゼになる 心理学者
#できる人はやり、できない人は教えたがる
#期待を裏切らずに、予想を裏切る 篠原ともえ
#古いもの、昔から知られていたもの、あるいは誰の目にもふれていたが見逃されていたものを新しいもののように観察することができる人は、真に独創的な頭脳を持った人間である ニーチェ
#あたしのはすべて十八番 桂文楽
#相手と話しているとき、ほとんどの人は、理解しようとして話を聞いているのではなく、答えようとして効いている スティーブン・R・コビー
#運という字には、軍が含まれている。だから戦わないと運はつかめない 権藤博
#幸運の鍵は健康と健忘 イングリッド・バーグマン
#真実を語る限り、言ったことを覚えている必要はない マーク・トウェイン
#台詞がうまく言えないったって、千回も稽古すれば言えるようになるのにねぇ 杉村春子

98 待ってくれ、洋子 長門裕之

2010-04-03 17:07:46 | な行
 図書館より。主婦と生活者。

 本屋に平積みされたときから気になっていた本。
 老老介護。なんとさびしい言葉であろうか。

 台詞が「入らなく」なっていく南田洋子。ついに部屋と居間とトイレの往復だけになる。そんな中でも、奔放だった自分を愛してくれた洋子への感謝を持って、愛情をささげ続ける長門裕之。
 また自分のことをここまでできるか、と驚くくらい正直に告白している。借金のため豪邸を売ったこと(介護には広すぎることもある)、暴露本でバッシングを受けたこと、自分のおならで洋子が笑ってくれること。それがうれしいこと。決して二枚目ではない長門裕之がここまでになったのは、この誠実さも一因ではないであろうか。

 出会いのシーンもいい。無名の新人の長門が、豹革のコートの大女優に声をかけられる夢物語。表紙の笑顔も泣ける。

97 字幕の花園 戸田奈津子

2010-04-03 16:51:57 | た行
 図書館より。集英社。

 なくなってしまった雑誌「ROADSHOW」の連載。見開きで一本の映画を紹介し、いくつかの英文と字幕をピックアップするスタイル。
 私は彼女の字幕はあまり好きではないのであるが、この本を見ると目からうろこが連続して落ちる。こんな言い方があったのか、の連続。流行りの英語を勉強しているのだなあ、と感心。

*awesomeすごい wicked最高(逆の意味になる) tottalyとても hit口説く dumpふる super fun超楽しい cool最高・賛成・大丈夫 two of a kind同類

 スターの素顔や、豊富な写真も楽しい。

*リチャード・ギアは京都好き
*キャメロン・ディアスはインタビューのあとカップを片付けた
*ブラッド・ピットは若いころ一人でインタビューができずに監督にいてもらった
*ティム・バートンはやはりオタク
*ヒュー・グラントは本物も軽い男。好きな音は「ホテルのミニバーの扉が開く音」、嫌いな音は「それが閉まる音」。