ターコイズ別館・読書録

――図書館へ行こう。

140 漫才 ビートたけし

2010-08-14 14:52:24 | は行
 図書館より。新潮社。

 不思議な本である。ビートたけしとビートきよしの漫才で250㌻ほどの本になっている。「おことわり」を読むと、「当時のネタを再現したものに、現代ネタを追加したもの」とある。たしかに見えないはずの漢字に突っ込んでいたり、やたら饒舌に人名を列挙していたりするのだ。
 連載でもないし、語りおろしでもないし、不思議なコンセプトの本。

 あとはひたすら下品。そうでないのをドッグイアーで一つ。

#ソクラテス、プラトン、(中略)哲学者や数学者たちがギリシャで色々物を考えているときにだな日本は弥生時代だぞ。あいつらがいろんな哲学を考えているときに、日本は米食って動物、石で叩いていたんだぞ。

139 谷川真理が案内するご当地マラソン 谷川真理

2010-08-14 14:37:50 | た行
 図書館より。中経出版。正しくは監修:谷川真理。

 私は真理さんのファンなので借りたのだが、出番は賞味8㌻。
*靴はかかとに指一本入るサイズ。初心者は屈曲性が高くソールが厚めのもの。
#1 走るときの目線は自分の身長の1.5倍先の路面(あまり遠くを見て走ると自分が進んでいることがわからなくなり、気持ちが沈むもの。)
#2 呼吸は口でする
#3 骨盤を前に動かすイメージ(ローリング走法) みぞおちから足が出ているとイメージすることでも一歩の踏み出しが広くなる。
#4 かかとからしっかり着地
#5 ひじは90°

 あとは編集部が調べたらしい48の人気マラソンがかわいいイラストで紹介される。それはそれで楽しいのだが、真理さんは自分の名を冠した「谷川真理ハーフマラソン」のページにしか登場しない。せめていくつかでも真理さんのコメントをもらいたいものだ。全国に招待されているであろうし。
 つくりはしっかりしている。コース、名所、名物料理、参加賞、応援やコスプレランナーなど、実際に参加したとは思う。
 それだけに名前だけの真理さんがもったいないのだ。表紙の写真もウェブログの使い回しだ。

138 笑う霊長類 清水義範

2010-08-14 14:31:12 | さ行
 図書館より。文芸春秋。

 難しいことを言わず、あっさりおもしろく読める本。一本目の「肩凝り」はいま一つだが、「旅情」のどんでん返しは最高である。「一般視聴者」は著者お得意の「ありそうな発言」である。「Rの時代」は次々と登場するロボットが予想できなくていい。

137 パーマネント野ばら 西原理恵子

2010-08-14 14:16:14 | さ行
 図書館より。新潮社。

 漫画。著者らしくないキレイ目の女性の表紙に惹かれて借りた。

 さびれた港町で農家のおばちゃん相手のパーマ屋の出戻り「なおこ」が主人公。なおこと周りのおばちゃんや友達とのえげつない会話を軸に物語は進む。いつだって女は待たされて裏切られてそして嘘をつく。
 なおこの心の支えは、夜に砂浜で待っていてくれる男の人。白髪交じりで背の高い中年男性。その男の正体は。泣けます。

 著者のテーマは「好き」なんだろうね。

136 英語にさようなら 鳥飼玖美子

2010-08-14 13:49:35 | た行
 図書館より。実日新書。何かと思ったら実業之日本社ね。

 同時通訳の草分けである著者が今までに溜めたフラストレーションを吐き出した本。
「どうすれば英語ができるでしょう」「娘の花嫁修業に同時通訳をさせたい」「留学について知っていることをすべて教えてください。返信封筒なしで」などお茶の間のアイドルになってしまったために吹っかけられる不快な出来事を書き散らす。
 大手洋酒メーカーに、キャンペーンレディーと同じ鹿鳴館ドレスを着るように言われ、頑として断る。断ったら通訳をはずされた。
 飛行機の中で寝ているところを腕をつかまれて起こされ、サインを強要されるなど同情できる部分はある。
 いずれ英語を話すお姉ちゃんとして軽く見られ、一般人からは特別な人扱いされ、仕事はハードで、言いたいことがたまっていたのであろう。

 ただ、小さいころから英語の付き合いを詳述しており、記録の価値は高い。
*democratの"mo"にアクセントを置いて発音したらみんなニコニコする。わけを聞いたら「間違った発音がかわいい」。
#「私はきちんとした正しい英語を覚えたくて、アメリカに来たんじゃない。かわいい英語なんてしゃべりたくないわよ!」
*ホームステイ先でdidn'tの発音を寄ってたかって直された。
#こんなちっぽけな単語が、今まで正確に発音できていなかったなんて、と悲嘆にくれながら、私は体中を耳にして音を聞きわけようとした。

 カバーには別の本『玖美子のおしゃべり』の写真がある。悪相だ。アップを表紙にするあたり、アイドルの本としての販売戦略が見える。
 なんかひどいことを書いているが、現在は英語の偉い人として活躍中である。若気の至りとして思い出したくない本なのではないであろうか。

135 パーフェクトプログラム 田村明子

2010-08-10 07:24:07 | た行
 図書館より。新潮社。

 バンクーバー五輪に挑む、浅田真央、高橋大輔らフィギュアスケーターたちの思いを描く。
 著者の立ち位置が絶妙である。通訳。これほど選手に密着した位置はない。選手が目の前でしゃべっているような臨場感だ。フィギュアを長年見ていた人のようで、伊藤みどりさんがどんなにすばらしい選手か、この技を成功させた(下りた、という表現をする)のは世界に何人だけか、などすらすらと語る。

 ただしもう完全に協会(?)よりの立ち位置なので、スキャンダル報道された会長や城田コーチのことは決して悪く言わない。

 フィギュアは高難度なジャンプに挑むべきなのか、それともリスクを排除するべきなのか。プルシェンコが発言し物議を醸した問題だが、これはおもしろい。著者は前者の側に立っている。

 この本の前半は五輪前に書かれた。このため、偶然かもしれないが、「この先どうなる?」と読者をはらはらさせるような文章表現になっている。
 なんだかんだ言ってお勧め。

134 天体写真の写しかたがわかる本 藤井旭

2010-08-10 07:18:34 | は行
 図書館より。誠文堂新光社。

 本なのだけれどほとんど写真とイラストで、ムックのように気軽に読める。読むというよりは図を見る感じ。
*天文台の望遠鏡を覗かせてもらったら、携帯電話のカメラでも写真を撮るとよい。
*シャッターの手ぶれを防ぐには、レリーズかセルフタイマーを使うとよい。
*レンズに露がつくのを防ぐには、携帯カイロで温めるとよい。
*フォトショップで修正、合成できる。

 とりあえず三脚が欲しくなった。

133 めぐみ、お母さんがきっと助けてあげる 横田早紀江

2010-08-10 07:05:42 | やらわ
 図書館より。草思社。

 昭和52年(西暦1977年)11月、新潟県の中学一年生、横田めぐみさんが北朝鮮に拉致される。その時の様子、母親の思い、これ以上ない記録である。

 私はビデオ「めぐみ」で大筋は知っていたが、著者がキリスト教を信仰するようになったこと、めぐみさんが犬を飼っていたことは知らなかった。

 あまりにも感情的すぎて、敏感すぎるなあと思う面もあるが、誰がそれを責められよう。

 出版は小泉首相訪朝前なので、「死亡」は知らされないし「遺骨」も渡されない。こんなに苦しんでいる母親に、まだまだ無慈悲な出来事が待っているとは。

 めぐみさんの帰還に向けて、何かしたい思いにとらわれる。

132 笑うふたり 高田文夫

2010-08-10 06:58:20 | た行
 図書館より。中央公論。

 対談本。どこからか人物をコピーしてみよう。伊東四朗、三木のり平、イッセー尾形、萩本欽一、谷啓、春風亭小朝、青島幸男、三宅裕司、立川談志。なんと豪華なメンバー。
 コメディアンは舞台に立ち、お客に鍛えられるものだという共通意識を感じる。

*お前は警官の役、お前は泥棒の役、はい舞台に上がって、と言われたことがある。(欽ちゃん)

 また、談志の言うことがめちゃくちゃである。もともとなのか、弟子に対してまじめにしゃべれるかという照れなのか。
 表紙絵はビートたけし。

131 金鯱の夢 清水義範

2010-08-10 06:52:30 | さ行
 図書館より。集英社。

 豊臣秀正を主人公にした歴史小説だと思って読んでいたら、大坂の陣で勝ったところでやっとパロディだとわかった。
 著者らしく、言語に対する執着がある。明智光秀が叛したのは名古屋弁を嫌ったからだとか。
 中盤から終盤はだれる。正確に言うと、愛知の人ならば楽しめるであろうが、パロディは元ネタを知らないと笑えない。
 東洲斎写楽に関する章はロマンティックで心に残る。