ターコイズ別館・読書録

――図書館へ行こう。

114 かわいい・おいしい幼稚園べんとう ブティック社

2010-05-30 12:13:32 | は行
 図書館より。ブティック社のムック。

 「キャラ弁」まで極端ではないが、見るだけで楽しい本。
 「飾り切り」が楽しい。鶉のチューリップ。鶉のさくらんぼ。鶉のにわとり。鶉の子豚ちゃん。鶉、大活躍。
 ウインナー。蟹、烏賊、蛸、鰐、兎、ひまわり、パイナップル、花。
 ラディッシュ。花。きのこ。時計。
 にんじんを小さく切ってパセリを挿したミニにんじん。
 カリフラワーににんじんの顔、むきえびの角(耳って書いてある!)、黒ゴマの目、プリッツの足をつけた羊。
 ブロッコリーにスライスチーズの目をマヨネーズで付けた怪獣。
 林檎。同心円で木の葉。定番の兎。半分にして仔兎。チューリップ。市松。これは見て欲しい。

113 家を修理する本 堀口義和

2010-05-30 12:06:02 | は行
 図書館より。地球丸。監修は堀口義和、編集・製作はロム・インターナショナル。

 その名の通り、フローリング、壁紙、引き戸、障子、ふすま、ドアクローザ、蛇口、便座、外壁、屋根、何でも修理あるいは交換してしまう。
 中条寿子さんのイラストが誠実でよい。
 これを見ると何でも自分で出来るような気になってしまう。たぶんほとんどはやらないけれど。構造の説明に力を入れており、眺めるだけで楽しい本。

112 新落語的学問のすすめ 桂文珍

2010-05-30 10:47:10 | か行
 図書館より。潮出版社。

 文珍師匠が慶應大学で笑いについて語った講義録。
 その知識に驚く。まるで大学の先生だ。西洋の笑い『ほら吹き男爵』の話あり、英語の笑う動詞の多様性(laugh, smile, giggle, grin, sneer, ridicule)、狂言、浄瑠璃、何でもござれ。
 創作『心中恋電脳』もオチ以外読める。

#(落語は)右剥いて話しているときには、話し相手が右にいることを想定しているし、またその後ろには別の人物がいたりする。そういう架空の場所に人物がいるのを演じているのに、それをTVカメラがスイッチングで変えてしまうと、空間が全部つぶれてしまいまして、何のためにやったかわからないということになるわけです。(略)落語はテレビ向きではないんだなあという感じがしてまいります。

 ただ、あくまでも口述したその通りなので、冗長である。例えば上に引用した文章も、最初から本として執筆しておれば、「ということになるわけです」「んだなあという感じがしてまいります」の部分はないであろう。学生と問答している部分なんて冗長そのものである。

111 カメハメハ大王 後藤明

2010-05-28 07:27:12 | か行
 図書館より。勉誠出版。

 カメハメハ大王だけでなく、まずハワイの神話からジェームズ・クックの来訪など歴史が語られる。コンパクトにだいたいの知識が得られる。
 思ったのは領土欲にまみれた白人の狡猾さだ。無知につけ込んで冨を奪い、軍を進駐させ、主権を奪う。出会ったばかりのときは鉄を欲しがり、牛馬に驚き、女性も白人に接触したがりさえしたハワイ人の純朴さに驚く。

*カは人につく接頭辞で、メハメハは「さびしい」を意味する。
#アロハの原義は「憐愍の情」である。「オエ」は「汝」の意味である。「アロハ・オエ」は歴史から消え去ったハワイ王国とその人々に対する憐憫がベースにあるのである。この美しいが、どこかもの悲しい歌は、ハワイ王国の挽歌なのである。

110 柳家花緑と落語へ行こう 柳家花緑

2010-05-23 13:45:05 | やらわ
 図書館より。旬報社。

 構成がいい。まずは寄席案内。水玉蛍之丞っぽい(別人だが)イラストが親しみやすい。
 次に自伝。小さんの孫ということで正真正銘のお坊ちゃんだが、屈折せずあっけらかんとしている姿がりりしい。「兄弟子に忘れ物の体育着を学校に届けてもらった」「馬風師匠、小三治師匠に稽古をつけてもらった」 なんて贅沢な。

#蕎麦を食べるしぐさは、祖父・小さんが得意にしておりました。(略)ん~、僕もそんな美味しそ~うに蕎麦の音を出せるようになりたい!

 噺紹介、噺家紹介なんてのは平凡でどうでもいいが、最終章がすごい。「ぼくのかんがえた番組」を持って、なんと立川談志、三遊亭小遊三、春風亭小朝、三遊亭円楽(五代目)に「どうですか」と話を聞きに行ってしまう。この行動力。お坊ちゃまだ。

 大物四人の返事が楽しい。 

談志: 楽しいだろ? こういうドリームプラン考えんの。オレ個人はこいつらの責任取るの嫌だ。オレ今、落語に興味がねえんだ……。
小遊三: 道は遠いね。これをやるために、もう一つ二つ前の作業が必要だ。
小朝: 熱き落語小僧はみんな考えるんだよね。けどね。ちょっと早い。あなたは今もっと、自分のために走るべきだよ。
円楽: 芸人には常に”めっぽう上手い奴”、”めっぽうおもしろい奴”そして”若い、これから伸びてくる奴”が必要だ。この表にはそれがある。落語協会・落語芸術協会って言っても、昭和になってから出来たものだからね。ぜひ、これをやってください。全面的に賛成します。

109 史上最強のロボット 高橋智隆・柳田理科雄

2010-05-23 13:36:00 | た行
 図書館より。メディアファクトリー。

 ロボット屋さんと科学ライターの対談。二人ともオタクでアニメネタをいちいちを拾ってくるのが、はまる人にははまるでしょう。

#プロレスにおいては、相手の技を積極的に受けるのが基本である。これを指して「八百長」と批判する人がいるが、相手も自分の技を受けてくれるのだから、公平である。

 イラストの近藤ゆたかのトカゲ目が気になってどうも好きになれない。時代劇エッセイ漫画のときは気にならなかったのだが。

108 経験を盗め 糸井重里

2010-05-23 13:04:56 | あ行
 図書館より。中央公論新社。

 対談集。なのだが、ついつい手に取ってしまう書名の付け方が憎い。
 対談は毎回変わるテーマについて、二人を呼び鼎談の形で行なわれる。例えば、「独身のお話」であれば篠原勝之と橋本治、といった具合だ。
 やはり専門家のお話がおもしろい。

*体が覚えている記憶を「手続き記憶」という(How to記憶)。知識の記憶はWhat isの記憶。How toの記憶は長い間脳にとどまり、応用が利く。
*八時間睡眠が理想というが、統計であって、生物的な根拠はない。
*ファントの法則=身長と声の基本周波数の高さは反比例する。
*昭和天皇はよく「あっ、そう」と言うが、案内役の人が間違った説明をしたとき、「あっ、そ……うかな」と言ってにやりとした。

 小田島雄志は歴史上の人物だと思っていたら生きていた(すみません)。
 「ニットの貴公子」広瀬光治三のお話が楽しい。

#(水道局の人に)「ここにグラスに入った水がありますけど、これなんか、いかがです?」
「(嗅いで)持って来た方、タバコを吸われるんじゃないかな」(略)「東京の水じゃないですね」「ミネラルウォーターでしょう」
#(蒸留水の)味はよくないですよ。

#(風邪をひいたら)ほっておく。(略)体の仲のウイルスと戦っている防衛力というか、治癒力を充分に働かすためには、体を暖かくして寝ておるのが基本です。
#イヤイヤでしたよ(略)私は実はテニスが好きで、陸上競技は好きじゃなかったんです。苦しいし、ゲーム性はないし。でも、走るといつも勝つものだから、そのまま続けていたんです。(増田明美)

107 ガラスの街 ポール・オースター

2010-05-08 06:37:30 | あ行
 図書館より。新潮社。訳者はもちろん柴田元幸。

 小説デビュー作ということで、巷間言われるように、デビュー作には作家のすべてが詰まっている。
 ゴーストのような筋立て。ムーンパレスなど何度も繰り返される、消費と喪失。幻影の書に見られる、突然無情に放り出されるエンディング。

 何度読んでも作者の知性に圧倒される。
 ポール・オースターという人物が奥さんのシリとともに出てくるのがおもしろい。

106 日本はじっこ自滅旅 鴨志田穣

2010-05-07 06:37:16 | か行
 図書館より。講談社。

 能登、薩摩半島、犬吠埼など「はじっこ」を目指す旅。ポジティブなことは何もない。ただ現金とカメラを抱えて、旅に出る。
 腰巻きの文がすごい。

#死んでやろうか (略)酒で体を壊しに行くのが目的みたいにさすらって、吐血、離婚に鬱、吐血。希望の光はどこにある?

 アル中が命を削って飲む姿を見て、私も節制しようと改めて思った。
 これを企画したとき、周りの人は彼の命をどう思っていたのであろう。
 彼が亡い今、なんともえぐい本である。

105 気象のしくみと天気予報 上村喬・明石秀平

2010-05-06 06:14:23 | あ行
 図書館より。ナツメ社。図解雑学シリーズ。

 ナツメ社らしい構成。見開きの左に文章、右に図解。天気予報のベテラン二人が書いただけに、内容は精密なのだが、文章がつまらない。絵も味わいもなにもない。退屈な本である。

#一時:天気現象が連続的に起こり、その現象が起こる時間が予報帰還の1/4未満のとき
#時々:天気現象が断続的に起こり、その現象が起こる時間が予報帰還の1/2未満のとき