ターコイズ別館・読書録

――図書館へ行こう。

158 アンケートの作り方・生かし方 大久保一彦

2010-10-23 05:42:40 | あ行
 図書館より。PHPビジネス新書。副題、「売り上げが倍増する!」。

 従来の「とても満足・満足・ふつう・不満足・とても不満足」という選択肢から数値化する手法をスコア経営と呼び、時代遅れと一刀両断。その代わりに新しい価値観を提示する。

# アンケートの六つの目的
#1 お客様をつかんで戦略を立てる
#2 買うか買わないかの決め手を見つける
#3 潜在的ニーズをつかみ、価値を生み出す
#4 見えないお客様を知る
#5 顧客名簿を作る
#6 お客様と従業員の意識をある方向に向ける

 平均化された数値では叱責された従業員のやる気をそぐ結果に終わる。顧客の性別・年齢・ライフスタイルにより需要は変わる。
 また、以下のような項目にも注目。

*家族構成
*職業
*住所 (商圏はふつう10分か15分以内)
*年収
*来店目的
*何回目の来店か
*来店前の立ち寄り場所は

*誰のための購入か
*使い道は お見舞い・お土産・お祝い・プレゼント
*なぜ当店を選んだか
*1年以内に行くようになった店で、3回以上いった店は何軒あるか
*次のカテゴリの店にどれくらい前に行ったか スタバ ラーメン店 高級寿司店 フレンチ
*どれに当てはまるか 上の上 上の中 上の下 中の上 (略)

#お客様には、商品それぞれにこれくらいという価格のイメージがあります。(略)わたしはこれを「無意識の財布」と呼んでいます。

 アンケートなんて誰でも作れそうで、実は奥の深いものだと言うことを教えてくれる好著である。

157 コンピュータは名人を超えられるか 飯田弘之

2010-10-20 05:52:26 | あ行
 図書館より。岩波科学ライブラリー。

 2010年10月11日、情報処理学会の将棋システム「あから2010」が清水市代女流王将を破った。それがきっかけで借りてみた。

 冒頭、チェス王者カスパロフ氏に勝ったディープ・ブルーの話から始まる。そうだ、これは2002年の本なのだ。
 森田将棋、柿木将棋など懐かしい名前も出てくる。個人的には棋太平やセタのファミコンソフトなど、ホビーにも言及して欲しかった。
 ゲーム木(ツリー)によるミニマックス戦術など、基本がよくわかる。

 巻末に「激指(げきさし)」というプログラムが登場する。激指はあからの四つの思考プログラムのうちの一つだ。

 あからとは10の224乗のこと。32ページには「ゲーム木探索の複雑さ」は10の226乗とある。ちょっと違うのかな。

#筆者のプレーヤーとしての経験(将棋はプロ六段、チェスはアマチュア有段レベル)からすると、チェスは、将棋の序盤駒組み終了後の、いきなり、スリリングな場面からゲームを開始するような気がする。

156 フォークの歯はなぜ四本になったか ヘンリー・ペトロスキー

2010-10-16 20:23:26 | は行
 図書館より。平凡社ライブラリー。副題、実用品の進化論。

 今はやりの、キャッチーな書名だが、これは翻訳書、親切さを期待してはいけない。退屈なエピソードがだらだらと垂れ流される。
 問題のフォークの歯も、「初めナイフの二本使いで、突き刺して回転しないように日本になり、三本になり、四本になり、それ以上増えると大きくなって口に入らないから四本」というもの。

 ファスナーやペーパークリップの由来など、楽しいところはある。
 その道の人には評価が高い本のようである。
「形は機能に従う」に疑念を呈している著者の主張に同調できるなら。

155 星空の400年 ホバート・シーリング ラース・リンドバーグ・クリステンセン

2010-10-16 20:18:19 | さ行
 図書館より。丸善。

 2009年はガリレオ・ガリレイが土星を観察してから400年ということを記念して世界天文年でした。そこで数冊の大型本が作られ、これがその一冊です。値段が3,990円なので一般は対象にしていないでしょう。

 天文台にそれぞれ写真が一枚あるだけの、写真集のようなつくり。技術解説などは期待できません。

154 体が目覚めるストレッチメニュー 荒川裕志

2010-10-16 06:57:44 | あ行
 図書館より。池田書店。谷本道哉監修、石井直方監修協力。

 これはわかりやすい。オールカラー、写真たくさん。無駄なページがなく構成がうまい。ストレッチ動作それぞれに、使われる筋肉が図示される。これがいい。見ているだけで筋肉を覚えることができる。

 女性モデルさんがきれい。ただし驚くほど胸が平たい。わざとか。

#体の”コア”である体幹・股関節・肩甲骨

#(大腿四頭筋は)太もも前面にある人体最大の筋肉。

#寒い日などは、ウォーミングアップで身体を温めた後に静的ストレッチに時間をかけると身体が冷えてしまいます。(そんなときにダイナミック=動的=ストレッチ)

154 愛でもくらえ ビートたけし

2010-10-10 12:23:42 | は行
 図書館より。祥伝社。

 もう本当に「おねえちゃん」と「やりたい」という欲望をストレートに出せることに驚くというかうらやましいというか(待て待て)。
 それでも何百万円で始末をつける金銭感覚はやはり庶民のものではない。
 前半では古きよき時代の、芸人に温かい浅草が語られる。これがいい。

#「あの人のかみさんになれば食いっぱぐれがないって思った、あたし」

#いちばん上の兄貴は相当、頭がいいんだ。小説を読みたいからというんで、全部英語の本で読んでいたんだもの。(略)兄貴はそれ(ペーペーバック)を、高校ぐらいのときにはすでに読めていたっていうからね。だからそれは、日本語の小説を読んでいるとお袋にぶん殴られるからじゃないかと思う。英語だったらおふくろもわからないから(略)。

#最後まで押し通せなかったら
#やさしさではない
#途中でくじけるなら
#悪人になればいい
#やさしさは根性です

153 甲子園だけが高校野球ではない 岩崎夏海

2010-10-10 12:08:59 | あ行
 図書館より。廣済堂出版。

 高校野球の泣けるエピソードを集めた本。すぐ改行。すぐ一行開け。活字の苦手な若者向けの体裁である。
 21の話が収録されているが、それぞれに監修者が一言たれる。これがちょっとうるさい。

 開会式の司会にあこがれるまージャーが主役の、「そのアナウンスは誰がするのか?」がすがすがしい。

#昭和の初め頃、人々は夏になると、おしなべて白い服を着たのだという。(略)その老若男女が甲子園のスタンドを埋め尽くすから、スタジオは白色でふくれあがるようだったという。特に、一、三塁側のスタンドが雪山のようにふくれあがったことから、「アルプススタンド」という名前がつけられたのだそうだ。

 いい話だ。「スタジオ」というのがよくわからないが、いい話だ。

*自殺しようとフェンスに手をかけたらお腹が「ぐう」と鳴った。それで自殺をやめた。

#「誰のためにスポーツをするのか?」という問いが話題になったことがあった。
#(期待がプレッシャーになるという)反省から、「国のためにスポーツをするのではない」という考え方が生まれ、広まった。
#人々は、今度は「選手個人のため」と考えた。
#ところがそれでも、選手たちは満足な結果を残せなかった。理由は簡単で、人間は、自分のためと思うと、なかなか結果を出せないのだ。
#人は、「誰かのために」と思うことで、初めて力を出すことができる。だから今では「だいじな人のために」という考え方が定着している。

152 イマジン 清水義範

2010-10-03 08:45:57 | さ行
 図書館より。集英社。

 こんなにおもしろいとは思わなかった。著者の最高傑作かもしれない。
 事件が怒るまでの展開は遅いが、それからはテンポよく話は進む。
 タイムスリップものは過去の自分やその関係者に会ってなんぼであるが、それをよくわかっている。ジョン・レノン暗殺を食い止める、というサスペンス要素もある。携帯電話や硬貨などの小道具の使い方もうまい。

 感動するとかそういう類ではない。ノスタルジックな冒険活劇として最高である。品のない表現があるのがもったいない。

 プレイボーイに掲載されたそうだが、『キン肉マン二世』にも影響があるのだろうか。
 調べてみると連載は2003年から2004年。『究極のタッグ編』1巻が出たのが2005年。