ターコイズ別館・読書録

――図書館へ行こう。

187 やっぱり楽しいオーディオ生活 麻倉怜士

2011-01-23 14:42:01 | あ行
 図書館より。アスキー新書。

 子供のころLPやカセットテープを聴いて、そしておじさんになってオーディオに再入門した人のための本。
 初心者にもわかりやすく親しみやすい文体で話は無理なく進む。
 確かにもう一度音楽を聴きたくなる。

#CDの規格はサンプリング周波数44.1kHz、量子化ビット数16ビット。
*オーディオ評論は表現を競い合う
*ガラスCDの音はまったく違う(高音質) ただし値段は9万8700円
#CDは洗ってから聴け 特に新品はほこりがついている
#(CDを乗せて)トレイを一度開閉してから聴け
*視聴するときは曲の聴く順番を変えない
*デジタルケーブルで音がいいのは同軸(SPDIF)、光、iLInk、HDMIの順。
#接点を磨く
#スピーカーユニットのネジを締め直す
#(古典音楽で)エージングする
#iPodの取り込みは非圧縮の「WAV48kHz」が一番いい。さもなくば「appleロスレス」または「WAV44.1kHz」。曲数が多くても、音が悪ければ聴きたくなくなる。
*PCのサウンドカードはオンキヨーのがよかった。

186 最新図鑑熱帯魚アトラス 山崎浩二・阿部正之

2011-01-23 14:30:47 | やらわ
 図書館より。平凡社。

 まさに図鑑。1000種以上の魚を網羅している。その一つ一つに写真がついている。必要であればカラーバリエーションや稚魚・成魚の写真も載せるなど、写真に徹底したこだわりを見せる。その写真がきれい。著者二人ともカメラマンであり、水産学科や水産学部を出ているその筋の人である。

#掲載した写真の多くは、著者自らがモデルを厳選し、美しく成熟するまで丹精込めて育てたうえで、時間をかけて最高の姿を撮影したものである。

 ここまで言い切るだけの美しさがある。

185 書斎の作りかた 林望

2011-01-23 14:14:42 | は行
 図書館より。カッパブックス。

 リンボウ先生の本はテーマが好みなので手にとってしまうが、おもしろいと思えない。文章の薄さが気になる。口述をレコーダーで記録したかのような文体だ。
 「テレビゲームは書斎ですることではない」「地下室に書庫」などと言われると著者と私の距離が瞬間で遠くなってしまう。

 それなりにドッグイヤーはある。

*壁にシナベニヤを貼ると全体がクリップボードになる。
*照明は後ろから当てる。
*日本語は横書きにするべきだ。手が汚れることと、外国語文を引用することから。
*名作はまた買えるから捨てる。業界紙やマイナー雑誌はとっておく。

184 星座・天文 星座天文萌研究会

2011-01-23 13:56:57 | さ行
 図書館より。PHP研究所。

 萌えブームかける国際天文年(2009年)で安直にできたのがこの本。
 星座や惑星、よく知られた天体がすべて擬人化されている。コップ座も杯を持ったメイド、レチクル座も望遠鏡を抱えた女性の姿になっている。40人ほどの絵師が採用されているようで、趣味が合えば見ていて楽しい。

 だが。中身が圧倒的に雑なのだ。知らない人がネット検索でつなぎ合わせた文章。「マイペディア」から転載させていただきました、なんて部分もある。
 ミスもある。みずがめ座では「1月22日~」の人がその星座で、やぎ座は「~1月20日」とある。間の1月21日の人はどうなるのだ。
 メシエ天体では「M41とM91、M102は(略)未特定」とあるが次のページで「観察しやすいメシエ天体」としてM41が挙げられている。正しくはM40が欠番である。

 一番許せないのは、オールカラーでないことだ。
 カラーなのは表紙と口絵だけ。価格が1,900円ということで、2,000円台にはどうしてもしたくなかったのであろう。
 イラストを売りにするわりに黒赤二色印刷。ずいぶんおかしな話である。

183 星空を歩く 渡部潤一

2011-01-16 19:56:45 | やらわ
 図書館より。講談社現代新書。

 星空散歩という天文用語がある。素敵な言葉だ。特定の星を観測するのでなく、星座や惑星などを見つける気軽な星へのアプローチである。
 本書は季節ごとに見られる星たちの紹介が主であるが、話の引き出しが多くて楽しい。国立天文台の情報・普及のセクションを長く務めているからだ。バンプオブチキンの歌以来「天体観測」という言葉が子供にもわかるようになったこと。星を見るために何度も高速道路を運転したこと。そして一大エポックは木製へのシューメーカー・レビー彗星の衝突である。この興奮が臨場感を持って語られる。
 この本を見たらきっと星が見たくなる。

*今井美樹の「プライド」で「南の一つ星」というフレーズが出てくるが、それはみなみのうお座のフォーマルハウトのことである。

182 フレディから学んだこと 日野原重明

2011-01-08 07:55:04 | は行
 図書館より。童話屋。

 著者は日本でもっとも有名なお医者さんの一人。
 前書きに「童話屋に電話をして」なんてあるから童話作家を揶揄してそう言っているのかと思った。出版者の名前なのね。

 前半は著者の音楽劇の台本。フレディだダニエルだと片仮名の名前ばかりで、女の子はバレエを習い、葬式にはフォーレを歌う。西洋的だ。と思わせておいてクライマックスでいきなり「良寛が『うらをみせ……』と詠っている」とお坊さんが出てくるから仰天する。

 後半は著者の哲学的随想集。生死について突き詰めているのがよくわかる。「日本人の死への対応」で「無関心型、楽天型、現業型、あきらめ型、ゆりかご型(運を天に任せる)、覚悟型、受容型、対決型、恐怖型、逃避型」の十に分類しているのが興味深い。

 最後の読書の感想で、「死が怖くなくなりました」と子供も書いているが、私は底まで悟れない。ずっと恐れていくのかもしれない。

181 絵でわかる熱帯魚の飼い方・ふやし方 杉浦宏

2011-01-08 07:49:19 | さ行
 図書館より。日東書院。

 89年発行ということだが、文体や構成などもっと古い感じがする。フルカラーは口絵の四ページのみ。あとはずっと二色カラー。泣けるのは熱帯魚が117種も出てくるのに、すべてイラストを付けているということ。画家は泣けるね。熱帯魚の魅力はその姿である。あの輝きをイラストで伝えるのは無理であろう。
 もう一人のイラストは完全にやっつけ仕事。文章と同じことを絵に描いている。

 著者の経歴には上野動物園やら子供電話相談室などがある。それだけに魚一つ一つの性格まであって詳しい。
 外掛けフィルタを丸型フィルタと呼んでいる。当時はそうだったのかな。

180 生きてこそ光り輝く 石橋幸緒

2011-01-02 07:41:03 | あ行
 図書館より。PHP研究所。

 素晴らしい本に出会ってしまった。未熟児で腸の癒着があり、医者に「三日もたないかもしれない」といわれた命。何度も手術を繰り返す。四歳まで病院のベッドを下りたことがなかった。病弱のため養護学校に高等部まで通った。
 小学校三年生の夏、将棋教室に通い始めた。清水友市先生の教えは厳しかった。ポスターにきれいなお姉さんがいた。それは先生の娘、清水市代女流三冠(当時)だった。

 子供が読めるように漢字にはルビがふってある(すべてではない)。それでもぜひ大人にも読んで欲しい本だ。こんな人生があるなんて。
 何でもやりたがる本人の負けん気。孟母三遷を地で行く母親の愛情。的確な清水先生の教え。それらがあって十九歳で女流王将になったのだ。

 病を嘆く暗い話では決してない。ユーモアがある。最後にギャグを持ってくるところは落語的だ。赤ちゃんの自分をマヨネーズと言ったり、歩けない自分をクララと言ったり。
 アマ女王戦、女流アマ名人戦ともに相手が差し違えをして勝つところがある。そういうものなのか。
 好きな言葉は「万物生きてこそ光り輝く」。書道の名人でもある。原典では「光輝を生ず」だが、それよりいい解釈だと思う。

*学校に行ったら玩具がないので「何で遊ぶんだろう?」と不思議に思った。
#トランプのポーカーが好きで、給食のデザートを賭けて勝ち、一週間のデザートを独占していた。
*車椅子の子が著者の頭を靴で叩いた。授業参観に来ていた母はいじめかと驚いた。本人は驚かない。車椅子に乗せて欲しいというサインなのである。
#普通校も養護学校のように、生徒にとって魅力的な学校に変わればいいのに……
#「家で、お父さんやお祖父さん相手に将棋を指したことがある子は、気がつかないうちに変なクセがついている。何も知らない子は、正しい将棋を最初から覚えられる。そのほうが、後になって、絶対に強くなる」
#「どうしてでもいい。後からそれはわかってくる。今は、ただ覚えなさい」
#「中途半端に将棋を覚えて、これで将棋がそこそこ指せるようになったと思うのが一番よくない。そんな将棋は、弱い相手となら勝てても、強い相手とでは勝てない。勝てないと、将棋に嫌気が差してくる。そうなっては長続きしなくなる」
 三段論法を使って、そう言った。
「だから、私がいいと言うまで、誰とも将棋を指してはいけない」